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ガソリンスタンドのM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

業種

  • 公開日2025.04.24
  • 更新日2025.04.24

ガソリンスタンドのM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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近年、ガソリンスタンド業界では車両の燃費向上やEV・ハイブリッド車の普及などによりガソリン需要が変化しており、経営環境も厳しさを増しています。事業規模の縮小や新エネルギー対応の必要性が高まる中、一部の企業では大手元売りとの契約見直しや新しいサービスの展開など、多角的な戦略が模索されています。こうした中で、事業承継や経営効率化の観点からM&Aが注目され、具体的な事例も増えています。

本記事では、ガソリンスタンド業界の課題やM&A動向、メリット・デメリット、そして成功のポイントについて詳しく解説します。

2025年に向けてガソリンスタンドの数はさらに減少し、市場規模の再編が進むと予想されています。中小事業者のみならず大手企業同士でも統合の動きが見られ、地域社会のインフラ維持とビジネスチャンスの両面からM&Aに対する関心はますます高まっています。ぜひ最後までご覧ください。

ガソリンスタンド業界の市場動向

厳しい経営環境下でどのような市場動向が見られるかを確認しましょう。

ガソリンスタンドの数は年々減少傾向にあり、かつてのピーク時に比べると大幅に数が減っています。要因としては、車両の省エネ性能の上昇やハイブリッド車・EVの普及などにより、ガソリン需要が全体的に縮小している点が挙げられます。また、タンクや設備の老朽化対策費用、新規投資への余力不足などで廃業を選択する経営者も増えており、業界全体として競争激化と再編が進んでいるのが現状です。

一方で、企業規模の拡大と多角化を進める大手元売り企業や商社は、店舗数の集約やプライベートブランドを積極的に展開し、市場シェアを確保しています。地方や都市郊外の主要幹線道路沿いに大型店舗を構えるケースも見られ、コンビニやカフェとの併設で非燃料事業による収益補完を図る動きが顕著です。今後もM&Aによって効率化と事業継続を図る流れは加速していくと予測されます。

ガソリンスタンド業界が抱える課題

ガソリンスタンド経営者が直面する具体的な問題点を整理します。

人手不足と高齢化が顕著

若年層の労働力が減少している現代では、新規スタッフの確保が困難であり、既存の社員やパート・アルバイトの負担が大きくなっています。加えて、経営者や店長の年齢が高いまま後継者不在というケースも増加し、事業継承の問題が浮き彫りになっています。こうした背景から、M&Aによる経営統合や組織体制の再編は、人材面の課題を一挙に解決する手段として注目されています。

需要の減少

車種の多様化や燃費性能の向上によって、かつてのように大量のガソリンを消費する時代は終わりを迎えています。特にEVやハイブリッド車が普及しつつある都市部では、ガソリン消費量は総体的に減少傾向にあります。これに伴い、ガソリンスタンドの運営は厳しさを増し、売上の確保が容易ではなくなっています。

燃料価格が高止まりによる消費者の節約志向

国際情勢や為替相場によって燃料価格が高止まりすると、利用者は給油量や給油回数を減らすなどの省コスト志向を強める傾向があります。こうした消費者意識の変化は、売上面だけでなく、付随サービスの利用にも影響を及ぼします。価格戦略やリピーター獲得策を工夫することで、いかに買い控えを回避するかが大きな課題となっています。

ガソリンスタンド業界におけるM&Aの動向

業界再編が進む中でのM&Aの主な動きについて確認します。

同業者の買収による規模拡大と再編

同じ業態のスタンドを束ねることでバルク購入によるコスト削減や統一的なマーケティング戦略が可能になります。これにより、利益率の向上だけでなく地域での存在感を強めることができ、外部環境の変化に左右されにくい安定経営が目指せます。特に法人経営のスタンド同士が合併するケースでは、財務基盤や供給体制の強化による相乗効果が期待されています。

大手企業の参入・PB(プライベートブランド)展開

大手石油元売りや商社が独自のプライベートブランドを展開し、店舗網を積極的に拡大しています。M&Aを活用して地域に根差した中小スタンドを取り込み、生産から流通までの一貫した管理体制を整える動きが強まっていることも特徴です。こうした取り組みによって担保された安定供給力やブランド力は、経営の推進力となり得ます。

非燃料事業の強化

ガソリン収益の減少を補うため、コンビニやカフェなどの併設を進めるスタンドが増えています。M&Aを通じて販路やノウハウを取り込み、従来の給油サービスだけでなく多岐にわたるサービスを提供することが可能となるのです。新規顧客の獲得や既存顧客のリピート利用につながり、地域密着型のコミュニティ機能をさらに高める方向性も見られます。

ガソリンスタンドを売却するメリット

株式譲渡や事業譲渡などにより、自社の持つ課題を解決できる可能性があります。ここでは、ガソリンスタンドがM&Aをする売り手目線のメリットをご紹介します。

後継者不足の解消と事業継続

高齢化の進行によって経営者が引退を考えるタイミングで、後継者が見つからないという状況は少なくありません。M&Aの場合、買収企業が既存の人材やノウハウを継承し、スタンドを運営してくれるため、地域社会にとっても大きなメリットとなります。長年培ってきた顧客との信頼関係を損なわずに、事業を継続できるのが大きな強みです。

従業員の雇用維持と地域貢献

スタンドがなくなれば地域インフラとしての給油拠点が減り、住民や物流を担う業者にとって大きな痛手となります。M&Aによって事業が継続されれば、従業員の雇用はもちろん、地域のサービスが保持される点が大きな意義です。引き続き地域社会に貢献しながら、安定的な需要を確保できる点が売却側・買収側双方にとってメリットとなります。

資金の確保

売却益を得ることで個人の引退後の生活資金や、新たな事業投資に充てることが可能となります。設備改修やマーケティング費用に多額の資金を要するガソリンスタンド経営にとって、外部資本を得る選択肢は大きなメリットです。特に老朽化したタンクやポンプの入れ替えなど、将来的なコスト負担を軽減する手段としても有効といえます。

ガソリンスタンドを売却するデメリット

M&Aには、いくつかのデメリットが存在します。今後M&Aを検討する中で、売り手側が知っておくべき注意点は以下の通りです。

地域の雇用喪失リスクがある

買収先が効率化の一環として人員削減を進める場合、地域にとって重要な雇用の場が失われる可能性があります。特に長年地元で働いてきた従業員には大きな不安要素となり、利用客との信頼関係にも影響を与えるでしょう。経営の合理化が進む一方で、地域社会の声をどう反映させるかが課題です。

価格交渉での不利になる場合がある

早めに手離したいという思いや、経営の継続が難しいという事情を相手が理解している場合、交渉が買い手優位に進みがちです。結果として、希望売却額を大幅に下回る価格や厳しい契約条件を受け入れざるを得ない場合もあります。複数の買い手候補と接触し、専門家の助言を得ることで、不利な交渉を避ける工夫が求められます。

こうした状況を避けるためには、M&A登録支援機関など信頼できる仲介会社に依頼し適切な企業価値評価を受ける、複数の買い手候補に同時に打診するプロセスを構築する、事業計画や財務資料を整理し交渉材料を準備しておく、などの対策が効果的です。

特に専門的な仲介会社の活用は、買い手側との情報の非対称性を軽減し、公正な交渉環境を整える上で重要です。

地域密着型ブランド価値の低下

これまで地元で築いてきたオリジナルブランドやサービスの特色が、買収後は大手ブランドに切り替わることがあります。そうなると、顧客から見れば“いつものスタンドらしさ”が失われるため、利用頻度が下がる恐れもあるのです。長期的に店舗運営を安定させるには、買収後も地域密着の方針を一定程度維持する取り組みが鍵となります。

【買い手】ガソリンスタンドがM&Aするメリットデメリット

ガソリンスタンドの買収を検討する企業側の視点で、利点と懸念点を紹介します。

買い手側にとって最大のメリットは、既存の販売網や顧客基盤を瞬時に手に入れられる点です。特に地方の主要路線沿いなど好立地のスタンドを獲得すれば、一気に地域シェアを拡大できます。

一方でリスクとしては、ブランド統合の過程で既存顧客の離反が生じたり、購入後に法定設備の修繕費用が予想以上にかかる場合があることです。買収においては、財務面や設備面のデューデリジェンスを徹底し、経営方針の整合性を早期に図ることが重要となります。

ガソリンスタンドのM&A相場は?

ガソリンスタンドのM&A評価では、一般的に『時価純資産+営業権』方式や『EBITDA×マルチプル』方式が採用されます。

ガソリンスタンドの場合、土地・建物などの不動産価値と設備価値(時価純資産)を基礎とし、そこに営業権(のれん代)を加算する評価方法が主流です。

マルチプル法を採用する場合、業界標準では通常EBITDA(利払前・税引前・減価償却前利益)の数倍程度が目安となりますが、立地条件や設備状態、顧客基盤によって変動します。特に地域独占状態にある優良立地のスタンドは高いマルチプルが適用される傾向があります。

ガソリンスタンドM&Aを成功に導くポイント

ガソリンスタンド業界のM&Aを成功に導くためには、綿密な事前準備と適切な実行プロセスの管理が重要となります。以下に、特に重要なポイントを3つ解説します。

早期準備と経営状況の見直し

M&Aを念頭に置いた経営者は、可能な限り早い段階で財務状況や設備の状態を整理しましょう。タンクやポンプの耐用年数、土壌汚染のリスクなどは買い手にとって重要な検討材料となります。

特に土壌汚染の有無は、デューデリジェンスの重要項目です。土壌汚染が見つかった場合の対応として、以下のような方法があります。

  1. 浄化費用見積もりを取得し売却価格から控除する方法
  2. 表明保証条項と補償条項を契約に盛り込み将来的な浄化費用を売主負担とする方法
  3. エスクロー口座を設定し一定期間資金を留保する方法

実務では①と②を組み合わせるケースが多く、売主は土壌汚染調査を事前に実施しておくことでスムーズな交渉が可能になります。

事前に専門家と連携し、適正価格での交渉を円滑に進めるための資料をそろえておくことが大切です。

地域特性へ配慮する

ガソリンスタンドは地域のインフラとして重要な役割を担っています。買収側・売却側ともに、地域住民のニーズや競合状況を踏まえた経営戦略を打ち立てることで、買収後の円滑な事業運営を確保できます。現場スタッフや顧客の声に耳を傾けながら、地域密着のサービスをどう発展させるかを考慮することが求められます。

適切なアドバイザーや専門家を活用する

M&Aの手続きでは、法務・税務・財務にわたる総合的な知識が必要です。経験豊富なアドバイザーやコンサルタントに相談することで、リスクの洗い出しや契約書のチェックなどを確実に行えます。特にガソリンスタンド特有の設備面や土壌関連のリスクを事前に把握し、円滑な取引を進めるためにも専門家との連携は不可欠です。

ガソリンスタンドM&Aの主な事例

最後に、ガソリンスタンド業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

ウェルビングループ株式会社による綿仁株式会社のM&A

ウェルビングループ株式会社は、2022年11月に静岡県でガソリンスタンド11店舗を展開する綿仁株式会社の全株式を2億1,000万円で取得し、子会社化しました。

ウェルビングループはこれまで北関東を中心にオート事業を展開してきましたが、南関東エリアへの進出を図る中で、綿仁の既存顧客基盤と同社の車両販売・整備ノウハウの相乗効果を見込み、事業拡大に踏み切りました。本件は地理的拡大と既存事業との融合によって、グループ全体の企業価値向上を目指すM&A戦略といえます。

【出典】ウェルビングループ株式会社「綿仁株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

大和自動車交通株式会社による宮園砿油株式会社のM&A

大和自動車交通株式会社は、2022年7月に宮園砿油株式会社を株式交換により完全子会社化しました。宮園砿油は、ガソリンスタンド運営やFCカード事業、不動産賃貸を展開しており、これまで宮園自動車グループに属していました。

本件により、大和自動車交通は燃料供給量の増加と既存の不動産事業とのシナジーを見込みます。さらに、自己株式を活用した簡易株式交換により資金流出を伴わない点も特徴です。燃料供給網の拡充とグループ資産の有効活用を図る戦略的M&Aといえます。

【出典】大和自動車交通株式会社「簡易株式交換による宮園砿油株式会社の完全子会社化に関するお知らせ」

三和エナジー株式会社、ヒラオカ石油株式会社、株式会社Go-toの吸収合併

三和エナジー株式会社は、2024年10月1日付で、同じ宇佐美配送事業グループのヒラオカ石油株式会社および株式会社Go-toアサヒエナジーを吸収合併し、両社を解散会社として統合しました。

本件は、関西・京都エリアを含むグループ内の配送・サービス事業を一本化するもので、経営判断の迅速化、営業力の強化、管理業務の効率化を目的としています。吸収合併により契約や債権債務も三和エナジーに承継され、グループ全体の組織力向上と更なる成長戦略の加速が期待される再編型M&Aです。

【出典】三和エナジー株式会社、ヒラオカ石油株式会社、株式会社Go-toアサヒエナジー「会社(吸収)合併のお知らせ」

まとめ|ガソリンスタンドM&Aの特徴を理解し、M&Aを成功へ

本記事で解説したように、ガソリンスタンドM&Aには業界特有のメリットとリスクが存在します。最後に要点を振り返りながら成功のヒントを整理しましょう。

ガソリンスタンド業界は縮小傾向にあるものの、地域インフラとしての重要度は依然高く、M&Aは事業継続と成長戦略を両立させる選択肢となっています。

売り手側は後継者不足の解消や従業員の雇用維持が期待できる一方、売却後のブランド価値や価格交渉の面でリスクが存在します。

買い手側にとっては既存の顧客基盤を得られるメリットがある反面、設備維持費などの負担と地域密着型のブランド継承が課題となります。総合的に見れば、早期準備や専門家との連携をしっかり行うことが、M&A成功の大きな鍵といえるでしょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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