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葬儀業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.03.12
  • 更新日2025.03.12

葬儀業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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昨今、大手企業による地域密着型葬儀社の買収や中堅企業同士の経営統合が活発化しています。日本の葬儀業界においては、2040年問題として死亡人口の減少が予測されており、事業承継の選択肢としてM&Aを検討する企業が増えているのです。

そこで今回は、葬儀業界のM&A最新動向や、メリット・デメリット、成功事例、さらには成功に導くためのポイントについて徹底解説します。

葬儀業界の市場動向

葬儀業界の市場規模は拡大傾向にありますが、1件あたりの単価は減少傾向にあるのが特徴です。

また、生活スタイルの多様化や地域のつながりの希薄化により、葬儀の形態が大きく変化しています。具体的には、従来の大規模な「一般葬」から、家族や親しい友人のみで執り行う「家族葬」や「一日葬」、さらには身内だけで火葬のみをおこなう「火葬式・直葬」が増加しています。いずれにしても、業界全体で収益の仕組みの見直しを迫られている状態です。

葬儀業界が抱える課題

日本の葬儀業界は、葬儀形態の多様化もあり徐々に規模が縮小しています。業界全体で以下のような課題を抱えていることが背景にあります。

高齢化により増えていく死亡数への対応

厚生労働省の統計によると、2023年の死亡者数は約157万人を記録しており、今後も増加すると予測されています。ただし、時間や曜日に関係なく発生する葬儀業務に対して、質の高いサービスを求められ続けることが、一種の経営課題となっています。

【出典】厚生労働省「令和5年(2023)人口動態統計(確定数)の概況」 

一式場あたりの死亡数の減少への対応

葬儀式場の数が年々増加する一方で、1会館あたりの取扱件数は減少傾向にあります。特に最近は家族葬専用式場の新規出店が大半を占めており、市場での競争が一層激しくなっているのが実情です。このような状況の中、葬儀社各社は収益性の確保に向けて、さまざまな経営努力を迫られています。

日中の通常業務と施行中の夜間業務の両立

葬儀業界では、人が亡くなる時間帯を予測することができないため、24時間365日の対応が基本となります。遺族のケアをおこないながら葬儀を準備する必要があり、従業員の労務管理や教育コストが高くなる傾向にあります。

実質賃金の減少への対応

インフレの影響で実質賃金の減少が続いており、葬儀の単価を引き上げにくい状況が続いています。事前相談で提示した見積もりからの価格変更は難しく、多くの葬儀社が競合他社の価格を意識した設定を余儀なくされています。このような価格競争の激化は、業界全体の収益性に影響をおよぼしているといえるでしょう。

葬儀業のM&A最新動向(2025年)

日本の葬儀業界では、高齢化社会の進展により市場規模が拡大する一方で、家族葬の増加による単価下落や競争激化が加速しています。大手企業による地域密着型葬儀社の買収や、中堅企業同士の経営統合などが活発化している状況です。

業界再編の事例としては、2023年12月に「株式会社ティア」による「東海典礼・八光殿」のグループ化が注目されました。葬儀業界において、大手企業を中心としたM&Aが相次いでいます。

また、2040年までに日本における年間死亡者数の減少が予測されています。出生数の減少が続く中、将来的には高齢者人口も減少し、ピークを迎えた後は死亡者数が減少する見込みです。こうした人口動態の変化を見据え、事業承継の選択肢としてM&Aを検討する企業が増えているようです。

【出典】日本産業推進機構「NSSK IIによる八光殿グループ及び東海典礼の株式譲渡について

葬儀業がM&Aをするメリット

株式譲渡や事業譲渡などにより、自社の持つ課題を解決できる可能性があります。ここでは、葬儀業(葬儀会社)がM&Aをする売り手目線のメリットをご紹介します。

経営を継続できる可能性がある

M&Aの手法次第では、現経営者が引き続き経営に携われます。事実、買い手企業との協議により、これまでの経営方針や企業理念を維持しながら、事業を継続できるケースが多く見られます。

後継者の問題を解決できる

M&Aは、後継となる親族が不在の場合の有効な解決策です。特に2040年以降の市場縮小を見据えると、早期における第三者への事業譲渡は、十分に検討の余地があります。

株を売却することで対価を得られる

M&Aによる株式譲渡では、企業価値に見合った適切な対価が得られます。長年築き上げてきた事業の価値を金銭的な形で具現化できる点は、オーナー経営者にとって大きなメリットです。

従業員の雇用を確保できる

M&Aを通じて安定した大手企業グループの一員となることで、長年働いてきた従業員の雇用を守ることができます。特に地域密着型の葬儀社では、地元スタッフの雇用を継続できるのが大きいでしょう。

事業の成長や発展に期待できる

買い手企業の経営資源や知見を活用することで、自社の新たな成長機会が得られます。合わせて資金調達力の向上、人材獲得力の強化、ブランド力の向上、サービスラインの拡充など、さまざまなシナジー効果が期待できるでしょう。業界全体の課題となっているデジタル化やAI活用など、新しい取り組みへの投資も可能です。

葬儀業がM&Aをするデメリット

M&Aには、いくつかのデメリットが存在します。今後M&Aを検討する中で、売り手側が知っておくべき注意点は以下の通りです。

想定していた金額で売却できない可能性がある

葬儀業の売上高と取扱件数は増加傾向にありますが、1件あたりの単価は減少傾向にあります。このような市場環境の変化により、売り手企業が期待する売却価格と、買い手企業の提示価格との間にギャップが生じやすくなっています。

経営権が少なくなってしまう可能性がある

M&A後、売り手企業側における経営判断の自由度が低下する恐れがあります。通常、経営統合後は本社の方針に従う必要があるため、地域特性に応じた柔軟な営業戦略の実施が難しくなるかもしれません。

従業員が退職してしまうケースもある

M&A後の従業員の離職は、葬儀業界特有の深刻な課題です。特に地域密着型の葬儀社では、長年培ってきた従業員と顧客との信頼関係が資産になっているため、離職は事業継続に影響を与える可能性があります。

葬儀業がM&Aを成功させるためのポイント

葬儀業界の企業がM&Aを成功させるには、以下のポイントを意識することが大切です。具体的に見ていきましょう。

将来を見据えながら長期的な視点で行動する

2040年頃を境に、日本の死亡者数が減少に転じると予測されています。これは葬儀業界における市場規模の縮小と同義です。

将来、親族内承継を考えている経営者は慎重に検討することが求められます。子どもや孫に引き継がせても、将来的に十分な事業規模を維持できるとは限らないため、リスクヘッジの観点から第三者への事業譲渡も視野に入れるべきでしょう。後継者の人生設計も含め、長期的な視点にもとづいて決断することが大切です。

買い手企業のニーズを理解する

同業者である買い手が重視するポイントを把握しておきましょう。たとえば、地域での信頼関係や実績、従業員の専門性、施設の状態などは、M&Aにおける重要な評価要素となります。また、オンライン葬儀への対応力や、DXによる業務効率化の取り組みなども、近年は重視される傾向にあります。

葬儀業界に詳しいM&A仲介会社を選ぶ

M&Aの成功には、葬儀業界特有の商習慣や市場動向を熟知した専門家のサポートが欠かせません。葬儀業界のM&A実績があるか、仲介会社が公表している事例などを確認するといいでしょう。

葬儀業界のM&A事例

こころネット株式会社による喜月堂ホールディングス株式会社のM&A

こころネット株式会社は、2023年7月20日に、喜月堂ホールディングス株式会社(以下、喜月堂HD)の全株式を取得し、子会社化することを決議しました。これにより、喜月堂HDの完全子会社である株式会社セレオ、株式会社四季、有限会社喜月堂の3社も、こころネットの孫会社となります。

こころネットは、第4次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)において、M&Aによる事業拡大を掲げており、本件はその一環となります。喜月堂グループは、山梨県韮崎市を拠点に、葬祭会館の運営、葬儀関連の料理提供、仏壇・仏具販売などを手掛けており、地域に根差した安定した業績を有しています。今回のM&Aにより、こころネットは葬祭事業の営業エリアを拡大し、さらなるシナジー効果を狙います。

葬祭業界では、少子高齢化や地域ごとのニーズ変化に対応するため、広域展開やサービス強化を目的としたM&Aが進んでいます。本件も、地域密着型の葬祭企業を取り込み、事業基盤を強化する動きの一例といえるでしょう。

【出典】こころネット株式会社「株式取得(子会社化及び孫会社化)に関するお知らせ」

株式会社ティアによる株式会社八光殿のM&A

株式会社ティアは、2023年10月24日の取締役会において、株式会社NSSK-VV3および株式会社NSSK-TTの全株式を取得し、子会社化することを決議しました。これにより、それぞれの傘下にある株式会社八光殿(大阪府)と株式会社東海典礼(愛知県)をグループに迎え、葬祭事業の規模拡大を図ります。

ティアは、2025年9月期を最終年度とする中期経営計画において、葬儀会館の拡充やエリアシェアの向上を掲げています。八光殿は大阪府八尾市を中心に16施設、東海典礼は愛知県東三河地域で22施設を運営し、地域に根差した強固な事業基盤を持っています。本M&Aにより、ティアは関西・東海エリアでの認知度向上と事業基盤の強化を進め、葬祭市場における競争力を一層高める狙いです。

葬祭業界では、少子高齢化による市場変化に対応し、広域展開やサービス強化を目的としたM&Aが活発化しています。本件も、その戦略的な動きの一環といえるでしょう。

【出典】株式会社ティア「株式会社NSSK-VV3及び株式会社NSSK-TTの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

株式会社よりそうによるライブネット株式会社のM&A

株式会社よりそうは、2023年1月5日、ライブネット株式会社が提供する「ライフログピクチャー」事業を譲り受けることを発表しました。本事業譲渡により、葬儀社向けクラウドサービス「よりそうクラウド」の強化を図ります。

よりそうは、オンライン葬儀サービス「よりそうお葬式」を中心に、終活支援を手掛ける企業です。一方、ライブネットの「ライフログピクチャー」は、訃報情報をデジタル化し、遺族間で円滑に共有できるサービスを提供しており、葬儀社の業務効率化や売上向上にも貢献しています。よりそうは、2022年6月より「よりそうクラウド訃報案内」を提供しており、今回の事業譲渡によって、さらなる機能拡充と葬儀社支援の強化を目指します。

近年、葬祭業界ではDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、オンラインサービスの活用が加速しています。本件は、その流れを象徴する事例であり、今後も葬儀業界におけるデジタル化の動向が注目されます。

【出典】 株式会社よりそう【よりそう】お墓さがし事業譲受のお知らせ。

葬儀業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

葬儀業界のM&Aには、経営継続の可能性や後継者問題の解決、従業員の雇用確保など、多くのメリットがあります。成功のために、将来を見据えた長期的な視点を持ち、買い手企業のニーズを理解することなどが大切です。そして業界に精通した専門家の支援を受けることも重要となります。M&A仲介会社に相談しつつ、自社の未来について考えていきましょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長。リクルート関連会社や外資系製薬会社、国内最大手M&A仲介会社で営業組織を牽引。 特にM&A実績の多い業界は調剤・IT・運送業。

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