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建機リース業界のM&A動向は?事例や成功のポイントを解説【2025年】

業種

  • 公開日2025.09.29

建機リース業界のM&A動向は?事例や成功のポイントを解説【2025年】

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建機リース業界でM&Aを検討しているが、「何から始めればいいのか分からない」と悩んでいませんか?

建機リース業界は、高額な機材を扱い、技術者の継承や拠点の管理が重要なため、M&Aが複雑になりやすい業界です。

本記事では、市場動向や業界の課題を整理し、M&Aの最新トレンドと成功のための具体的な戦略を分かりやすく解説します。

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建機リース業界の市場動向

日本の建機リース市場は、ここ数年で安定した成長を続けており、2022年には約60億米ドル(約9,040億円)に達しました。

今後も年平均約4%(CAGR)の成長が見込まれており、2029年には約80億米ドル(約1兆1,976億円)規模になると予測されています。

この成長の背景には、老朽化したインフラの更新、災害復旧への対応、物流の増加、万博などの大型プロジェクトの進行があります。

さらに、建機の稼働率向上やデジタル化の推進も、市場の拡大を後押ししています。

【出典】RESEARCH AND MARKETS「Japan Construction Equipment Rental Market – Strategic Assessment & Forecast 2023-2029」

M&Aや事業承継は、まず自社の企業価値を正しく把握することから始まります。

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建機リース業界が抱えている課題

建機リース業界は、市場が拡大を続ける一方で、いくつかの深刻な課題にも直面しています。

本章では、主に3つの課題について詳しく解説します。

建設需要の変動と景気依存

建機リース業界は建設投資の動向に大きく左右される構造的特徴があります。

建設需要が減少すると機材の稼働率が低下し、収益に直接的な影響を与えるからです。

2020年の新型コロナウイルス感染症の影響では、大手企業を含む多くの事業者で稼働率が低下し、特に中小企業では遊休資産の維持コストが経営を圧迫する結果となりました。

人手不足・オペレーター高齢化・後継者問題

建機リース業界では、熟練オペレーターや整備士の高齢化が進み、若手の確保が難しくなっています。

中小企業では、経営者の高齢化と後継者不在も深刻です。

建設業全体では55歳以上が35%を超えており、技能継承の猶予も限られています。

このような人材・経営不在に対応するためには、教育制度を再構築するだけでなく、M&Aを通じて技術・経営の担い手を確保する必要が生じています。

【出典】国土交通省「最近の建設業を巡る状況について」

激しい価格競争と収益性の低迷

建機リース業界では価格競争が激化し、単価が下がっても収益率は改善しにくい状況です。

特に高所作業車などは、繁忙期に価格が崩れやすく、調達コストや部品費の高騰も重なり、収益維持が難しくなっています。

そのため、企業はM&Aを通じて規模を拡大し、共同購買やIT導入による効率化を図り、安定した収益モデルへの転換を進めています。

建機リース業界のM&A最新動向(2025年)

建機リース業界では、経営環境の変化や人材不足への対応、地域拡大や事業承継の必要性などを背景に、M&Aの動きが一段と活発になっています。

本章では、2025年時点におけるM&Aの最新傾向を3つの視点から解説します。

大手による地方中小の積極買収

建機リース業界では大手が地方中小企業をターゲットにした買収を強化しています。

例えばアクティオHDは2016年に北海道の共成レンテムをTOBで子会社化し、地域網の拡充を実現しました。

カナモトも2020年にオーストラリアのPorter Plant Groupを買収し、国内外ネットワークを強化しています。

これにより、大手企業は機材稼働率の向上や経営効率を追求し、結果として市場の寡占化が進む状況です。

【出典】株式会社共成レンテム「株式会社アクティオホールディングスによる当社株式に対する公開買付けに関する意見表明及び応募推奨に関するお知らせ」
【出典】株式会社カナモト「豪州企業グループの株式取得に関するお知らせ」

後継者不在対策としての事業承継型M&A

中小の建機レンタル企業では、経営者の高齢化と後継者不足が深刻になっており、M&Aによる事業承継が一般的な選択肢になりつつあります。

日本M&Aセンターなどの支援サービスを活用することで、従業員の雇用を守りながら、引き継ぎ先を見つける事例が増加しています。

このように、地域経済の維持だけでなく、現場の経験や技術の継承も実現しやすくなっています。

海外展開を目的としたM&A

日本の建機リース業界では、国内市場の成熟を受けて、海外進出や隣接業種との統合を目的としたM&Aが増えています。

例えば、西尾レントオールはシンガポールの発電機レンタル会社UPRを買収し、東南アジア展開を加速させました。これらの動きは、レンタル業にとどまらないサービス展開と業界再編を後押ししています。

【出典】西尾レントオール株式会社「UNITED POWER&RESOURCES PTE. LTD.の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

建機リース業界でM&Aを成功させるためのポイント

建機リース業界におけるM&Aを成功させるためには、業界特有の課題や構造を踏まえた対応が欠かせません。

本章では、建機リース業界ならではの視点から、M&Aを成功させるための5つの具体的なポイントを解説します。

市場補完と高付加価値機材の取り込み戦略

現在、大手企業は地方の中小企業を買収して地域展開を強化するとともに、ハイブリッド機やICT建機を扱う企業を取り込み、差別化を図っています。

環境技術やDX対応の高性能機材を確保することで、競争力を高め、新たな収益源も生まれています。

このように、M&Aによる機材ラインナップの強化は、業界全体の高付加価値化を推進する有効な戦略です。

建機稼働・整備データの精緻な評価

M&Aでは、稼働時間や整備記録だけでなく、IoTやテレマティクス技術による稼働データを活用し、機材の状態や故障リスクを正確に評価することが重要です。

これは資産価値を客観的に把握し、稼働効率を高める手段として注目されています。

許可・契約継承のスムーズな移行設計

建機レンタル企業がM&Aを行う際は、建設業の許可や長期契約をどのように引き継ぐかが重要なポイントになります。

株式譲渡と事業譲渡では、必要な手続きや法的要件が異なるため、スキームの選び方と許認可の準備が大切です。許可の継承が不十分なままだと、営業停止や契約違反といった大きなリスクにつながる恐れがあります。

現場熟練技術者の定着と安全文化の維持

熟練のオペレーターや整備士は、技術や安全意識を支える重要な人材です。

M&A後に待遇や職場環境が変わると、離職や稼働率の低下、事故リスクの増加につながる恐れがあります。

そのため、業界では待遇の維持や説明会の実施、安全ルールの継続が、離職防止と現場文化の継承に有効とされています。

物流・パーツ調達ネットワークの統合とIT連携

M&Aによって拠点や倉庫が統合されると、配車ルートの最適化や部品の調達効率が向上します。

IoTを活用した在庫管理により、部品の在庫状況や故障予兆もリアルタイムで把握できるようになります。

一部大手では、共同配送やエコ配車を導入し、コスト削減とCO2削減を両立させる成果も出ています。

物流とITを同時に強化することで、M&Aの効果を早期に引き出すことが可能になるでしょう。

建機リース業界のM&A事例

最後に建機リース業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

ニシオホールディングス株式会社によるサコス株式会社のM&A

建設機械レンタル大手のニシオホールディングスは、2024年10月、連結子会社サコスの建設機械レンタル事業を西尾レントオールへ承継する吸収分割を決議しました。

本再編により、グループ内の汎用的な建設機械レンタル事業を一本化し、特に首都圏市場での競争力強化を図る狙いです。

両社の経営資源を集約することで、同地域での売上を現状500億円から5年後に700億円へ引き上げることを目指しています。

サコスは今後、発電機や鉄道工事用機械など専門性の高い事業に特化し、国内外での展開を加速します。

今回の再編はグループ内での効率化にとどまらず、将来的な業界再編への対応力を高める実証実験の意味合いも持つ点が特徴です。

業界全体で統合が進む中、先行して体制を整える動きは他社にも示唆を与える事例といえます。

【出典】ニシオホールディングス株式会社「当社連結子会社間の会社分割(吸収分割)に関するお知らせ」

株式会社ワキタのよる日東レンタル株式会社のM&A

建設機械の販売・レンタルを全国展開するワキタは、2024年9月、栃木県小山市の建機メーカーである日東レンタルの株式90%を取得し、子会社化することを決定しました。

取得価額は約24億円で、同年9月30日に譲渡が実行される予定です。

日東レンタルは建設用機械の製造販売を手掛け、堅実な収益基盤を持つ企業であり、ワキタの既存拠点とのシナジーが期待されています。

特に北関東エリアにおける販売・レンタル体制の強化が見込まれ、地域密着型の事業展開をさらに推進する狙いです。

今回のM&Aは、堅調な収益を維持する中堅企業を取り込むことで地域基盤を補強する動きといえ、業界全体で進むエリア戦略型の再編を象徴する事例となっています。

【出典】株式会社ワキタ「株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

サコス株式会社による親和電気株式会社のM&A

建設機械レンタル事業を展開するサコスは、2021年1月に大阪府守口市の親和電気を全株式取得により子会社化することを決定しました。

親和電気は1964年創業の電気設備工事会社で、プラント工事なども手掛けています。

サコスは保有する発電機のレンタル事業と親和電気の施工ノウハウを組み合わせることで、新たな需要を開拓し、グループの成長戦略と中長期的な企業価値向上につなげる考えです。

親和電気は近年売上高が年間50億円台で推移し、安定した基盤を持つ一方、利益面では伸び悩む傾向がありました。

サコスによる傘下入りで、施工分野とレンタル事業の相互補完が可能となり、より付加価値の高いサービス展開が期待されます。

建設業界ではレンタル事業者が施工関連企業を取り込む動きが見られ、今回の事例もその流れを反映したものといえます。

【出典】サコス株式会社「親和電気株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

まとめ|建機リース業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

建機リース業界では、少子高齢化や価格競争の激化といった課題を抱えながらも、インフラ整備や再開発などの需要を背景に、今後も成長が見込まれています。

こうした中でM&Aは、事業拡大や人材・技術の継承、経営基盤の強化を実現する重要な手段となっています。

自社に合ったタイミングと手法でM&Aを活用し、建機リース業界における持続的な成長を実現していきましょう。

CINC Capitalは、様々な分野に精通した専門チームが、マッチングから価格交渉、許認可対応、PMI支援まで一貫してサポートします。

建機リース業界のM&Aに興味がある方は、ぜひお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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