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人材業界の事業承継動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

業種

  • 公開日2025.04.21
  • 更新日2025.04.21

人材業界の事業承継動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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人材業界では、少子高齢化や働き方の多様化を背景に、企業間の競争が激化しています。特に人材派遣・人材紹介・HRテックといった分野では、デジタル化対応や市場シェアの拡大を目的としたM&Aが活発です。近年は、大手企業による中小企業の買収や子会社化、海外企業とのM&Aの事例も増加しています。

本記事では、人材業界のM&A動向や成功事例、メリットやデメリットについて解説します。

人材業界の市場動向

人材業界は、企業の採用活動や人材育成を支援する重要な役割を担い、人材派遣・人材紹介・求人広告・HRテックなど多岐にわたるサービスを提供しています。「株式会社矢野経済研究所」の調査によると、2023年度の人材関連ビジネス市場規模は9兆7,156億円に達し、前年比6.3%増となりました。その要因として、IT人材の需要拡大や同一労働同一賃金制度による派遣社員の単価上昇などが挙げられます。

近年は少子高齢化による生産年齢人口の減少が進んでおり、とりわけ介護業・飲食業・建設業などの分野では慢性的な人手不足が深刻な問題となっています。さらに長時間労働の是正やワークライフバランスの推進、転職・副業の活発化により、人材業界のサービス内容が変化している状況です。人材派遣や人材バンクのニーズが高まり、企業側もより柔軟な採用戦略を求められるようになっています。

【出典】株式会社矢野経済研究所「2024年人材ビジネス市場に関する調査を実施」

人材業界が抱える課題

テクノロジーの発展や労働市場の変化に伴い、人材業界はさまざまな課題に直面しています。ここでは、人材業界が抱える主要な課題について解説します。

雇用形態の多様化への対応

近年、終身雇用制度の崩壊やフリーランス・ギグワークの増加により、雇用形態が多様化しています。企業側は柔軟な雇用形態を導入する一方で、求職者側も多様な働き方を求める傾向が強いです。こうした変化に対応しきれない人材業界の企業では、従来の採用手法が通用しなくなると懸念されています。

少子高齢化による労働力不足

日本の労働人口は年々減少しており、特に中小規模の事業者は採用難が深刻化しています。若年層の人口減少に加えて、高齢者の労働市場参入も進んでいるため、企業側はシニア層の活用や外国人労働者の受け入れ検討が必要です。一方で、これらの人材を双方の希望通りに適切にマッチングできるかどうかが、人材業界にとっての大きな課題となっています。

グローバル人材の確保と適切なマッチング

企業の海外展開が進む中で、語学力や異文化理解に優れたグローバル人材のニーズが高まっています。しかし、こうした人材の確保は容易ではなく、採用のミスマッチが生じるリスクがあります。外国人労働者の受け入れ制度の整備や、国内外の人材を効果的にマッチングできる体制を構築することが、人材業界にとっての大きな課題です。

人材業界のM&A最新動向(2025年)

人材業界では、近年M&Aの動きが活発化しており、大手企業による買収の加速や中小企業同士の統合が増えています。ここでは、2025年の人材業界におけるM&Aの最新動向について解説します。

大手人材企業による中小企業の買収が加速

人材業界では、大手人材企業による中小規模の人材紹介・派遣会社の買収が進んでいます。大手企業は、既存事業の強化や新たな市場への進出のためにM&Aを活用しています。業界の再編が加速し、中小企業にとっては独立経営が厳しくなる状況が生まれています。また、大手企業同士の提携やM&Aも増えており、特定の市場においてシェアを拡大する動きが顕著です。

別業界の企業が人材業界に参入

人材業界の成長性に注目し、異業種の大手企業がM&Aを通じて参入するケースが増加中です。特にIT・建設・介護など、人材不足が深刻な業界では、関連する企業が人材ビジネスを手掛ける動きが目立っています。例えば、大手IT企業がエンジニア専門の人材紹介会社を買収し、自社のエンジニア採用力を強化するといった事例があります。

人材会社がM&Aで売却するメリット

近年、人材業界ではM&Aが活発化しています。ここでは、人材会社がM&Aをするメリットを売り手側の目線でご紹介します。

後継者不足の解消

中小規模の人材会社では、後継者不在のまま経営者が高齢化し、廃業を余儀なくされるケースが少なくありません。M&Aを活用すれば、買収企業が新たな経営体制を整えて事業を継続できるため、後継者候補を探す手間や後継者育成の手間も省けます。大手企業の傘下に入ることで、より安定した経営基盤を築ける可能性が高まります。

取引先との信頼関係を維持できる

人材業界は信用が重視される業界です。単なる廃業ではなく、M&Aによって事業譲渡を行うことで、既存の取引先やクライアントとの関係を維持しながらスムーズに経営を引き継ぐことが可能です。特に経営の安定した大手企業とのM&Aでは、取引先に対して安心感を与えるメリットもあります。

従業員の雇用維持と待遇改善

人材会社の事業は「人」が資産であり、優秀なコンサルタントの雇用継続が極めて重要です。M&Aによって事業を継続すれば、従業員の雇用を守れる可能性が高まります。特に、大手企業のグループ入りをする場合、従業員のキャリアの選択肢が広がり、離職防止にもつながるでしょう。

業界再編の流れに乗ることで競争力を強化

人材業界は競争が激しく、テクノロジーの進化や市場の変化に対応できない企業の生き残りが難しいといえます。M&Aを活用すれば、買収企業のシステムやノウハウを取り入れ、自社の競争力を高められます。近年は人材業界でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでおり、IT企業とのM&Aによって新たなサービス展開の可能性が広がります。

人材会社がM&Aで売却を成功させるためのポイント

人材会社のM&Aを成功させるためには、業界特有の傾向を押さえることが重要です。ここでは、売り手側の人材会社がM&Aを成功させるための具体的なポイントについて解説します。

集客力の確立

M&Aを成功させるためには、求職者と求人企業の双方を安定的に集客できる仕組みが重要です。自社サイトやランディングページの運用、SNSの活用、広告戦略など、オンライン集客の施策が確立されている企業は買収側からの評価が高くなります。また、既存の取引企業や求職者との関係が強固で、安定した案件獲得ができる企業も魅力的な売却対象となります。

紹介実績と採用成功率の向上

人材紹介会社の評価を高める要素の一つに、紹介実績と採用成功率があります。単に求職者を紹介するだけでなく、企業とのマッチングの質が高く、採用後の定着率も良好であることが求められます。紹介した人材の定着率が高い企業は、買収側にとって事業の安定性が高いと判断され、評価が上がるでしょう。

高需要業界への対応

人材業界は扱う職種や業界によってM&A時の評価が大きく異なります。なかでも医療・IT・グローバル人材・エンジニアなど、慢性的な人材不足に悩む業界に特化している企業は、買収側にとって魅力が高まります。買い手企業が既存事業と親和性の高い領域を有する場合は、M&Aによる相乗効果を生みやすくなるでしょう。

キャリアコンサルティングの強化

求職者へのキャリア支援の充実度も、M&Aの評価に影響を与えます。近年では、単なる紹介業務だけでなく、キャリアコンサルティングを強化することで、より質の高いマッチングを実現する企業が増えています。専門性の高いキャリアアドバイザーが在籍し、求職者との信頼関係を築ける企業は、M&A市場でも高く評価される傾向です。

M&Aの専門家に相談する

M&Aを成功させるためには、適切な買収候補の選定や交渉の進め方が重要です。M&A仲介会社に相談することで、最適な相手を見つけやすくなり、手続きのスムーズな進行が可能になります。特に初めてM&Aを行う企業にとっては、専門家のアドバイスを受けながら進めることで、売却価格の最大化や条件交渉の成功率を高められます。

人材業界のM&A事例

最後に、人材業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

株式会社ツナググループ・ホールディングスによる株式会社GEEKのM&A

採用支援やRPOサービスを展開するツナググループ・ホールディングスは、2020年4月にWeb開発会社の株式会社GEEKを子会社化しました。

GEEKはHRテック領域に強みを持つエンジニア集団で、人材採用や人事評価などに関するソリューション開発を多数手がけています。

少子高齢化や就労スタイルの多様化を背景に、省人化・生産性向上が人材業界の重要課題となる中、ツナググループは本件を通じてRPO事業の高度化と業務効率の向上、新サービスの迅速な開発を目指しています。

HRテック領域の成長性を見据えた戦略的なM&Aであり、今後のプロダクト展開の加速に寄与することが期待されます。

【出典】株式会社ツナググループ・ホールディングス「株式会社GEEKの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

パーソルキャリア株式会社による株式会社ライボのM&A

パーソルキャリアは、2024年4月に子会社である株式会社ライボを吸収合併しました。ライボは匿名相談サービス「JobQ Town」を運営し、キャリアや転職に関する悩みをユーザー間で共有・解決できるプラットフォームとして成長。

2019年にパーソルキャリアが完全子会社化し、主力サービス「doda」との連携によって、転職前からの一貫した支援を強化してきました。今回の吸収合併により、両社の組織統合を図り、サービス連携をよりスムーズに進めることで、顧客体験の向上を目指しています。

キャリアの選択肢が多様化する中で、「はたらく」に関する悩みに応える相談機能と転職支援の融合は、今後の人材業界における提供価値のモデルケースといえるでしょう。

【出典】パーソルキャリア株式会社「株式会社ライボの吸収合併に関するお知らせ」

株式会社ワールドホールディングスによる株式会社ディンプルのM&A

ワールドホールディングスは2022年2月、J.フロント リテイリングから人材サービス会社のディンプルの株式90%を取得し、子会社化しました。

ディンプルは百貨店業界で培ったホスピタリティに強みを持ち、接客人材の派遣やインフォメーション業務の受託、教育研修を展開しています。

ワールドホールディングスは「サービス」分野の拡大を図る中で、同社を中核事業会社として位置づけ、これまでの人材事業とのシナジーにより高付加価値なサービス提供を目指す方針です。

製造業からサービス業への領域拡大と、ホスピタリティ人材の確保が重視される中で、同社のM&Aは事業の多角化と成長戦略の一環と位置づけられます。

【出典】株式会社ワールドホールディングス「株式会社ディンプルの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

まとめ|人材業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

人材業界におけるM&Aを成功させるためには、集客力の強化・採用実績の向上・高需要業界への対応・キャリアコンサルティングの充実化などが鍵を握ります。また、M&Aを円滑に進めるためには、適切な相手先の選定や交渉戦略も重要です。

専門家のサポートを活用することで、スムーズな取引を実現でき、より良い条件でのM&Aが可能となります。その際は、人材業界に詳しい専門家に相談するようおすすめします。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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