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医薬品卸業界のM&A動向は?事例や成功のポイントを解説【2025年】

業種

  • 公開日2025.07.01
  • 更新日2025.07.01

医薬品卸業界のM&A動向は?事例や成功のポイントを解説【2025年】

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医薬品卸業界の将来に不安を感じていませんか?医薬品卸業界では、薬価制度の改革、デジタル化の遅れなど課題が多く、事業の将来に危機感を持つ企業も少なくありません。

本記事では、業界のM&A動向を中心に、市場の変化や事例、成功のポイントをわかりやすく解説します。

医薬品卸業界の市場動向

医薬品卸業界は、医療費抑制策や薬価制度の見直しにより、収益性の低下が続いています。業界再編が進み、大手4グループに集約される中、企業数は2002年の175社から2024年には69社まで減少しました。

また、後発医薬品の使用促進や薬価改定の頻度増加が、業界の経営環境に影響を与えています。

医薬品卸業界が抱えている課題

医薬品卸業界は、薬価制度改革、物流と人材不足、そしてデジタルトランスフォーメーション(DX)対応の遅れといった複数の課題に直面しています。これらの要因が複合的に影響し、業界全体の収益性や業務効率に大きな影響を及ぼしているのです。

本章では、主に3つの課題について詳しく解説します。

薬価制度改革による収益性の低下

医薬品卸業界では、薬価制度改革が収益性の低下を招いています。特に、薬価改定の頻度が増加し、価格競争が激化する中で、利益率の圧迫が続いているのです。後発医薬品の使用促進政策も進められており、卸業者は厳しい経営環境に置かれています。

アンケート調査によれば、薬価改定の頻度増加により、医薬品卸の経営にマイナスの影響を与えているとの指摘があります。

物流と人材不足の深刻化

医薬品卸業界では、物流と人材不足が深刻な課題となっています。特に、2024年問題と呼ばれる労働時間規制の強化により、トラック運転手の確保が困難となり、配送リードタイムの延長や輸送品質の低下が懸念されています。

このような物流の課題は、医薬品の安定供給に直接的な影響を及ぼし、医療現場への影響も少なくありません。

DX対応の遅れと業務効率の限界

医薬品卸業界では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の対応が遅れており、業務効率の向上に限界が生じています。特に、在庫管理や受発注システムのデジタル化が進んでいない企業では、業務の非効率性が顕著です。

例えば、医療現場のDX実態調査によれば、医療関係者の半数が医薬品の在庫管理にWMSなどのシステムを導入しています。

一方で、デジタル化にかかる費用が高いため、導入が進んでいない現場もあります。今後もデジタル化が進まないと、業務の効率化や正確性の向上を妨げ、業界全体の競争力低下につながるでしょう。

医薬品卸業界のM&A最新動向(2025年)

医薬品卸業界では、事業の多角化やデジタル化の推進、異業種からの参入などにより、M&Aが活発化しています。本章では、2025年時点で注目される3つの主要な動向について解説します。

動物用医薬品など周辺領域への拡大

医薬品卸業界では、動物用医薬品など周辺領域への事業拡大を目的としたM&Aが進んでいます。これにより、事業の多角化と新たな収益源の確保が図られています。

例えば、バイタルケーエスケー・ホールディングスは、連結子会社であるアグロジャパンを通じて、アローメディカル株式会社の株式を取得し、子会社化しました。これにより、関東エリアへの商圏拡大と動物用医薬品分野への進出を実現しています。

DX・IT企業とのM&Aによる価値提供

デジタル技術の導入を目的としたM&Aが増加傾向です。特に、在庫管理や配送システムの効率化を図るため、IT企業との連携が進められています。

例として、バイタルケーエスケー・ホールディングスは、物流受託事業の拡大を目指し、物流関連企業との連携を強化する方針を示しています。ITを活用した物流網の構築と新たな収益源の確保を図っています。

異業種企業による参入・再編の加速

異業種からの参入が進んでおり、新たな競争環境が生まれています。その結果、業界内では再編の動きが活発化し、各社には競争力のさらなる強化が求められています。

実際には、水平統合から垂直統合へとM&Aが広がっており、異業種との提携や買収も進んでいるのです。こうした動きによって、業界全体の再編が進み、競争環境が大きく変化しています。

医薬品卸業界でM&Aを成功させるためのポイント

医薬品卸のM&Aを成功させるには、物流・在庫体制の統合や法規制の承継、キーパーソンの離職防止など、業界特有の課題への対応が欠かせません。以下で、これらのポイントを詳しく解説します。

物流・在庫体制をスムーズに統合する

M&A後の物流網や在庫管理システムの統合は、業務効率の向上とコスト削減に直結します。統合プロセスでは、業務の中断を最小限に抑える計画が必要です。

特に、医薬品の安定供給を確保するためには、物流体制の整備が不可欠です。厚生労働省の資料では、物流の課題が医薬品の安定供給に影響を及ぼす可能性が指摘されています。

法規制・許認可の承継と遵守対応

医薬品卸業界は厳格な法規制の下にあります。M&Aに際しては、許認可の承継手続きや法令遵守体制の整備が不可欠です。

医療機関の承継では多くの行政手続きが必要で、継承形態に応じた申請や書類の確認・対応が重要です。

キーパーソンの離職防止と営業網維持

M&A後に人材が辞めないようにするには、中心となる人の待遇や将来の働き方をわかりやすく示すことが大切です。

また、既存の営業網を維持・強化する取り組みも求められます。医薬品卸業界では、従業員の離職が業務に大きな影響を及ぼす可能性があるため、適切な人材マネジメントが必要です。

PMIを迅速に進めてシナジーを実現

ポスト・マージャー・インテグレーション(PMI)を迅速に進めることで、M&Aのシナジー効果を早期に実現できます。統合計画の策定と実行が成功のポイントとなります。PMIの成功には、明確なビジョンと戦略的なアプローチが必要です。

取引先との信頼関係を丁寧に引き継ぐ

M&A後も取引先との信頼関係を維持することが重要です。特に、医療機関との関係性を継続するためには、丁寧なコミュニケーションとサービスの質の維持が求められます。取引先との関係性を損なわないよう、慎重な対応をしましょう。

医薬品卸業界のM&A事例

最後に医薬品卸業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

東邦ホールディングス株式会社等による株式会社ファルモのM&A

2025年6月、株式会社エムティーアイは連結子会社である株式会社ファルモの株式の一部を、東邦ホールディングス株式会社および自身の連結子会社である株式会社エムティーアイ・ヘルスケア・ホールディングス(HCHD)に譲渡しました。

譲渡総額は9億円で、THDが5億円、HCHDが4億円を出資。ファルモは調剤薬局向けICTソリューションを展開しており、今回の株式譲渡は、薬局・薬剤師の価値向上や地域医療への貢献を目的としたものです。

出資比率を変えつつも、ファルモは引き続きエムティーアイの連結子会社として位置づけられます。大手医薬品卸との連携強化は、デジタルヘルスの深化を進めるうえでの戦略的な布石といえます。

【出典】株式会社ファルモ『連結子会社の株式譲渡および特別利益の計上(個別決算)に関するお知らせ』

株式会社メディカル一光による高知第一薬品株式会社のM&A

2025年1月、メディカル一光グループの連結子会社である株式会社メディカル一光は、高知第一薬品株式会社の全株式取得に向けた協議を開始し、基本合意書を締結しました。

高知第一薬品は沢井製薬の販売代理店として、高知県における医薬品卸事業で確固たる地位を築いています。

医療費抑制やインフレによるコスト上昇が進む中、両社は事業規模の拡大による効率化を図り、持続可能な医療提供体制の構築を目指しています。

本件は、地域密着型の卸業者を取り込むことで、調剤薬局・ヘルスケア・医薬品卸の三位一体体制を強化しようとする動きであり、医薬品業界における再編の一環と位置づけられます。

【出典】株式会社メディカル一光グループ『当社連結子会社による高知第一薬品株式会社の株式取得に関する協議開始のお知らせ』

株式会社バイタルケーエスケーHDによるアローメディカル株式会社のM&A

2024年8月、株式会社バイタルケーエスケー・ホールディングスの孫会社である株式会社アグロジャパンは、アローメディカル株式会社の株式90%を取得し、子会社化しました。

アグロジャパンは新潟を拠点に動物用医薬品を販売する企業で、今回のM&Aにより、関東圏で同分野の販売実績を持つアローメディカルを傘下に加えることで、商圏拡大とサービスの多様化を図ります。

本件は、同社が掲げる長期ビジョン「医療の未来を革新する」の一環として、動物医療分野の事業拡張を実現する戦略的な動きといえます。地方発の専門商社が都市圏市場への進出を進める好例です。

【出典】株式会社バイタルケーエスケー・ホールディングス『連結子会社(孫会社)の株式会社アグロジャパンによるアローメディカル株式会社の子会社化(曾孫会社化)に関するお知らせ』

まとめ│医薬品卸業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

現在の医薬品卸業界は、薬価制度の見直しや物流課題、デジタル対応の遅れといった複数の課題に直面しています。こうした変化に対応し、安定した成長を続けるには、M&Aの活用がますます重要になっています。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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