CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。

業種
- 公開日2025.07.01
- 更新日2025.07.01
マンション管理のM&A動向は?事例や成功のポイントを解説【2025年】
マンション管理業界の将来に不安を感じていませんか?管理員の高齢化や人材不足、老朽化が進む建物への対応など、課題が山積しています。
本記事では、マンション管理業界が抱える課題やM&Aを活用した解決策や成功事例を紹介します。
目次
マンション管理業界における市場動向
マンション管理業界は、新築マンションの供給がやや減っている一方で、管理費の上昇や古いマンションの修繕ニーズの増加により、市場は広がり続けています。この成長は、必要な修繕が増えていることや、管理にかかる費用が高くなっていることが主な理由です。
また、大手企業が中小企業を買収する動きが活発になっており、業界の再編が進んでいます。中でも、管理戸数の増加や、地域に根ざしたサービス強化を目的としたM&Aが増えています。こうした流れから、マンション管理業界は今後も成長が続くでしょう。
マンション管理業界が抱えている課題
マンション管理業界では、いくつもの深刻な課題が明らかになっています。中でも、管理員の高齢化と人手不足、老朽化が進むマンションへの修繕対応、さらに法改正やIT化によって複雑化する管理業務が大きな問題です。
本章では、これらの課題について順に解説していきます。
管理員の高齢化と人材不足
マンション管理業界では、管理員の高齢化と人材不足が深刻化しています。定年延長や再雇用制度の普及によりシニア人材の確保が難しくなり、若年層の応募も少ない状況です。この人手不足は、管理業務の質やサービス提供に影響を及ぼす可能性があります。
老朽化マンションの増加と修繕対応
全国で築30年以上のマンションが増え、修繕の必要性が高まっています。一方で、積立金の不足や合意形成の難しさから、工事が進まないケースも少なくありません。対応が遅れると安全性や資産価値に悪影響を及ぼす恐れがあります。
法改正・IT対応など管理業務の複雑化
法改正やIT化の進展により、マンション管理業務は複雑化しています。改正法により専門性や透明性が求められる一方、高齢者対応やITリテラシー不足などの課題も残ります。これらの変化に対応するためには、管理会社の組織体制や業務プロセスの見直しが不可欠です。
マンション管理業界のM&A最新動向(2025年)
2025年現在、マンション管理業界ではM&Aが活発化しています。特に、大手企業による中小管理会社の買収や、地方の中小管理会社の売却事例が増加傾向です。
本章では、3つの観点から詳しく解説していきます。
大手による中小管理会社の買収が加速
マンション管理業界では、大手による中小管理会社の買収が進んでいます。管理戸数の拡大や地域対応力の強化を目的とした動きで、スケールメリットを重視する傾向が強まっています。このようなM&Aは、業界の再構築を後押ししており、今後も継続する見込みです。
地方の中小管理会社が売却を選択
地方の中小管理会社では、後継者不在や経営資源の限界から、事業の継続が困難となり、売却を選択するケースが増えています。特に、地域密着型で運営されてきた企業が、大手の資本力やノウハウを活用することで、サービスの質の向上や経営の安定化を図る動きが見られます。
これは地域社会におけるマンション管理の質の維持・向上にも寄与しているでしょう。
業界再編の一般化と異業種の参入
マンション管理業界では、業界再編が一般化し、異業種からの参入も増加傾向です。例えば、IT企業や建設業など、異なる業種からのM&Aによる参入も進んでおり、業界の多様化が進んでいます。
このような動きは、マンション管理業界の競争力強化やサービスの多様化につながると期待されています。
マンション管理業界でM&Aを成功させるためのポイント
マンション管理業界におけるM&Aを成功させるためには、既存顧客との信頼関係の維持、従業員のモチベーション向上などが重要です。本章では5つのポイントについて詳しく解説します。
既存顧客との信頼関係を維持する対応
M&Aにおいて、既存顧客との信頼関係を維持することは極めて重要です。信頼関係が損なわれると、契約の継続が難しくなる可能性があります。そのため、丁寧なコミュニケーションや引き継ぎを行い、サービスの質を維持・向上させることが求められます。
例えば、定期的な説明会やワークショップを開催し、変更点や今後の方針を明確に伝えることで、顧客の不安を軽減できるでしょう。
従業員のモチベーションと定着支援
M&A後の組織統合において、従業員のモチベーション維持と定着支援は不可欠です。従業員の不安を解消するためには、雇用条件の明確化やキャリアパスの提示、研修制度の充実など、働きやすい環境づくりを進めることが重要です。
定期的な面談や意見の反映により一体感が生まれ、統合を円滑に進めることができます。
地域性と企業文化を尊重した統合設計
買収先企業の地域性や企業文化を尊重した統合設計が求められます。地域密着型のサービスや独自の企業文化を活かしつつ、親会社の経営資源やノウハウを融合させることで、シナジー効果を最大化できます。
地域住民との関係性を維持・強化するため、地元のニーズに応じたサービス提供を継続することが重要です。
統合後のIT・管理体制のスムーズな移行
業務プロセスの標準化や情報共有の強化を図ることで、効率的な運営が可能となります。例えば、システム統合を行う際には、情報管理コストや業務負荷の軽減を見込むことができます。また、迅速な戦略立案ができるようになるため、組織全体のパフォーマンス向上につながるでしょう。
管理組合に対する付加価値提案の強化
M&A後のマンション管理では、管理組合への付加価値提案の強化が重要です。体制変更による不安を払拭し、信頼関係を築くためには、ITの活用や省エネ、防災・防犯対策など、ニーズに応じた具体的な提案が求められます。
こうした取り組みにより、管理組合の満足度が向上し、サービスの継続性と質の向上につながります。
マンション管理業界のM&A事例
最後にマンション管理業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。
JPMCによるリークスプロパティのM&A
賃貸住宅の経営代行事業を展開する株式会社JPMCは、2024年12月、三重県を拠点に賃貸管理を手がける株式会社リークスプロパティの全株式を取得し、完全子会社化しました。リークスプロパティは約1,600戸の賃貸物件を運用する地域密着型企業で、JPMCとは既に業務委託関係にありました。
今回のM&Aにより、運用戸数の拡大によるスケールメリットを図るとともに、JPMCが展開するリフォームや保険、滞納保証などの事業とのクロスセルによる収益性の向上が期待されています。
また、DXを活用した業務効率化も視野に入れており、地域密着企業の買収を通じた全国展開の加速が見込まれます。
【出典】株式会社JPMC『株式会社リークスプロパティの株式取得に関する譲渡契約締結のお知らせ』
アンビションDXホールディングスによる株式会社START子会社のM&A
2024年7月、アンビションDXホールディングスは、株式会社STARTの子会社である賃貸管理会社3社(DRS株式会社、SPM株式会社、LTD株式会社)の全株式を取得し、子会社化しました。
これら3社はすべて2024年7月に設立された新会社で、STARTが100%出資しており、賃貸物件の維持管理や入居者対応などを担っていました。
今回のM&Aにより、アンビションDXは主力とする賃貸DXプロパティマネジメント事業の領域拡大を図るとともに、取得先の顧客基盤を活用し、少額短期保険や内装工事といった周辺事業の展開によるシナジーを期待しています。
設立直後の会社を対象とした買収であることから、スピード感ある事業拡大戦略がうかがえます。
【出典】株式会社アンビションDXホールディングス『株式会社 START の賃貸管理業を運営する子会社 3 社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ』
TAKUTOグループによるワールドウィン・プロパティのM&A
2024年8月、関西を拠点に不動産管理を展開する株式会社TAKUTOは、東京都新宿区に本社を置く株式会社ワールドウィン・プロパティの株式を取得し、同社を子会社化しました。ワールドウィン・プロパティは不動産の売買や管理を中心に事業を展開しており、首都圏でのプレゼンスを強化するうえで有力なパートナーといえます。
TAKUTOは近年、首都圏での管理物件拡大を重点戦略としており、本件はノウハウの共有とシナジー創出を狙った動きと見られます。
今後は首都圏と関西圏の両軸でのサービス強化により、全国規模での競争力向上が期待されます。
【出典】株式会社 TAKUTO『株式会社ワールドウィン・プロパティ子会社化に関するお知らせ』
まとめ│マンション管理業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう
マンション管理業界では、人材不足や老朽化、法改正などの課題が表面化しており、解決策としてM&Aが注目されています。大手による買収や中小企業の売却が進み、業界の再編が加速しています。
CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。