CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。

お電話でのご相談はこちら(無料)

03-4500-7072

CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。

事業再生とは?手法や流れ、活用できる補助金、融資制度を解説

再生 / 事業再生

  • 公開日2025.04.22
  • 更新日2025.04.23

事業再生とは?手法や流れ、活用できる補助金、融資制度を解説

シェアする

企業が経営危機に直面した際、どのように立て直しを図れば良いか悩んでいる方は多いでしょう。事業再生は、そのような状況を乗り越えるための重要な手段ですが、どこから始めれば良いのかわからないことも少なくありません。

本記事では、事業再生の手法や流れ、活用できる補助金や融資制度について解説します。

事業再生とは?

事業再生は、経営不振に陥った企業の事業を再構築し、経営の立て直しを目指すプロセスです。主に債務整理や事業の再編、資金調達の見直しなどが含まれます。目的は、企業を持続可能な状態に戻し、再び成長を実現することです。

企業再生との違い

事業再生と企業再生は似たような意味で使われることが多いですが、実際には異なる概念です。企業再生は企業全体の再建を目指し、法人の存続を確保するための手続きです。一方で事業再生は、企業内の特定の事業や部門の改善を指し、必ずしも企業そのものの存続を目指すわけではありません。つまり、企業再生は法人格の存続を前提にしており、事業再生は不採算部門の整理や再編を行うことに焦点を当てます。

事業再生の主な手法

事業再生にはいくつかの方法があり、企業の状況に応じて選ばれます。代表的な手法には「私的整理」「法的整理」「M&A」「事業譲渡」があります。それぞれの方法は、企業の規模や状況、目指すべき結果に応じて異なるアプローチを取ります。

私的整理

私的整理は、裁判所を介さずに企業と債権者が協議して行う再生手法です。まず、企業は自社の再生計画を立て、債権者と個別に交渉を進めます。この方法の最大の利点は、柔軟性があり、取引先や従業員に与える影響を最小限に抑えられる点です。しかし、全ての債権者が合意することが必要であり、調整が難航することもあります。私的整理は比較的小規模な企業や、法的整理を避けたい企業に向いています。

法的整理

法的整理は、裁判所を通じて行う再生手続きで、主に「民事再生」や「会社更生」などの手続きが含まれます。法的整理の特徴は、裁判所の強制力を使って債務整理を進められる点にあります。これにより、債権者の不同意を押し切っても再建計画を進めることができます。再建型の手続きでは、経営陣が再建計画を策定し、裁判所と債権者の承認を得て進めます。法的整理は、特に大企業や複雑な債務問題を抱えた企業に適用されます。

M&A

M&A(合併・買収)による事業再生は、第三者企業との合併や買収によって経営資源を補充し、再建を目指す手法です。企業が再生できない場合、他社に事業や株式を譲渡することで、新たな資本や経営体制を導入できます。

この方法のメリットは、迅速に経営資源を補完できる点で、企業の存続や雇用維持が可能になります。また、買収側の持つノウハウやネットワーク、資金力を活用することで、単独での再生よりも短期間で業績回復が期待できます。特に技術力や特許など優れた経営資源を持ちながらも資金不足や経営ノウハウ不足で苦戦している企業には、M&Aによる事業再生が効果的です。

ただし、M&Aには注意点もあります。買収側の企業が提案する条件次第で経営権が移行するため、従業員や取引先の不安を招くこともあります。また、企業文化の違いから統合後の運営がスムーズに進まないケースもあるため、適切なマッチングが重要です。

M&Aによる事業再生を成功させるためには、企業価値を適切に評価し、相性の良いパートナー企業を見つけることが不可欠です。特に、透明性の高い手数料体系と、経験豊富な担当者を持つM&A仲介会社を選ぶことで、適切な条件での売却が可能になります。

事業譲渡

事業譲渡は、企業が特定の事業を第三者に売却し、経営資源の最適化を図る手法です。この手法では、譲渡する事業のみが対象となり、企業全体の再生を目指すのではなく、事業の一部を切り離すことで経営資源を効率化します。事業譲渡のメリットは、譲渡によって得た資金を債務返済や他の事業再建に活用できる点です。また、譲渡先の企業がその事業を引き継いで運営するため、雇用や取引先関係を維持できる可能性もあります。

事業再生の流れ

事業再生には一連のステップがあります。この流れを順番に進めることで、企業は効率的に立て直しを図ることができます。ここでは、事業再生の一連の流れについて解説します。

現状分析と課題の明確化を行う

事業再生の最初のステップは現状分析です。再生を成功させるためには、まず企業が抱える問題点を明確にし、解決すべき課題を特定する必要があります。この分析では、財務状況の評価や市場環境の調査が重要です。現状を正確に把握しなければ、再生計画が現実的で効果的なものとなりません。そのため、企業の強みと弱みを詳細に分析することが、再生プロセスの出発点となります。

事業再生計画の策定を行う

現状分析が完了したら、次は具体的な事業再生計画の策定です。再生計画は、企業の現状を踏まえた具体的な戦略を示し、再建のために必要な手段を決定する段階です。この計画には、コスト削減や収益向上のための施策、資金繰り計画、事業の再編成などが含まれます。再生計画は実行可能でなければならないため、計画を立てる際には、過去の実績や将来の見込みに基づく現実的な目標設定が求められます。

関係者への説明を実施する

事業再生には、従業員、取引先、金融機関など多くの関係者の理解と協力が必要です。再生計画を立てた後は、これらの関係者に対して説明を行い、再生への協力を得ることが重要です。特に、債権者や金融機関に対しては、計画の信頼性を示し、追加の支援や債務軽減の合意を得ることが求められます。また、従業員には再建のビジョンを共有し、士気を高めるために計画を説明することが必要です。

資金調達とコスト削減を計画する

事業再生には新たな資金の調達と、無駄なコストの削減が不可欠です。資金調達には、金融機関からの融資や投資家からの資金調達が含まれますが、資金を確保するためにはしっかりとした再生計画が求められます。また、コスト削減は、無駄な支出や非効率的な業務を見直し、企業の財務状況を改善するために行います。このプロセスでは、事業の優先順位を見直し、非効率な事業から撤退することも必要となります。

業務改善と収益向上に向けた取り組みを行う

事業再生の重要な要素の一つは、業務改善を通じて収益を向上させることです。業務の効率化や生産性向上、新規市場の開拓など、収益向上のための取り組みが必要です。この段階では、企業が得意とする分野に注力し、成長を見込める事業や製品に資源を集中することが重要です。また、顧客のニーズを的確に把握し、売上拡大を図るための施策を実行します。

モニタリングと継続的な改善を行う

再生計画を実行した後は、その進捗状況をモニタリングし、必要に応じて計画を見直すことが大切です。モニタリングによって、計画通りに進んでいない部分を早期に発見し、修正を加えることができます。継続的な改善を行うことで、再生後の安定した成長を実現することができます。事業再生は一度で完了するものではなく、継続的に改善を加えながら進めていく必要があります。

事業再生に活用できる補助金や融資制度

事業再生を進める際に、公的な補助金や融資制度を活用することができます。これらの支援制度は、企業の負担を軽減し、再生に必要な資金を確保するために重要です。以下では、事業再生に利用できる主要な補助金や融資制度について説明します。なお、各制度は年によって実施の有無や条件、補助額などが変わるため、それぞれの公式ページで必ず最新の情報をご確認ください。

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響を受けた企業が、事業転換や業態転換を行う際に支援される制度です。この補助金を活用することで、企業は設備投資や新しい事業への取り組みを行うことができ、再生のための基盤を作り上げることが可能です。特に、売上が減少した企業が新たな事業展開を目指す場合に有効であり、中小企業であれば最大1億円まで支援を受けることができます。これにより、企業は経営を立て直すための新しいチャレンジをしやすくなります。

【参考】中小企業等事業再構築促進事業

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり補助金は、製造業や商業、サービス業の中小企業が生産性向上のための設備投資を行う際に提供される補助金です。この補助金は、生産性を向上させるための新技術や設備導入を支援するもので、再生を進める企業が効率的に業務を運営するために役立ちます。補助額の最大は従業員規模によって750万円(5人以下)、1,000万円(6~20人)、1,500万円(21~50人)、2,500万円(51人以上)となっています。

【参考】ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助事業

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模な事業者が販路開拓や業務改善に必要な経費を支援する補助金です。事業再生を目指す中小企業にとって、特に効果的な制度です。この補助金は、広告宣伝や設備導入、店舗改装など、多岐にわたる事業活動に活用できます。最大50万円、特定の条件では200万円(※インボイス特例の要件を満たす場合は、それぞれの補助上限額に50万円を上乗せ)の補助が受けられ、事業の収益性向上を目指す企業にとって非常に有益です。

【参考】小規模事業者持続化補助金<一般型>

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業が業務効率化のためにITツールを導入する際に支援される補助金です。事業再生においても、業務の効率化や生産性向上が求められる中で、IT導入が重要な施策となります。この補助金を活用することで、企業はITシステムを導入し、コスト削減や業務改善を実現することができます。最大450万円の補助が受けられ、デジタル化を進める企業にとって大きな支援となります。

【参考】サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金

事業再生・企業再建支援資金

事業再生・企業再建支援資金は、事業再生を進める企業が必要な資金を低金利で調達できる融資制度です。特に事業再生のために資金繰りが厳しくなった企業にとって、非常に重要な支援となります。この資金は、企業が再生計画を実行するための資金として利用でき、経営改善を目指す企業をサポートします。日本政策金融公庫は、再建のために必要な資金を長期的な低金利で融資するため、企業の負担を軽減することができます。

【参考】事業再生・企業再建支援資金(企業再建・経営改善支援関連)

事業再生を成功させるためのポイント

事業再生を成功させるために押さえておくべきポイントがいくつかあります。ここでは、その具体的なポイントについて解説します。

早期に経営課題を把握し迅速に対応する

事業再生を成功させるためには、まず経営課題を早期に把握することが重要です。経営状態の悪化に気づくのが遅れると、再建のために必要な手を打つタイミングを逃し、企業の立ち直りが難しくなります。経営者は、売上の減少や支払いの遅延、資金繰りの悪化などの兆候を早期に察知し、問題に迅速に対処する必要があります。早期対応を行うことで、企業の再生可能性が高まり、関係者の信頼も得やすくなります。

専門家と連携し適切なアドバイスを受ける

事業再生において、専門家と連携し適切なアドバイスを受けることは欠かせません。経営者一人では判断が難しい場面も多いため、弁護士や公認会計士、中小企業診断士などの専門家のサポートを受けることが重要です。専門家は、再生計画の策定や資金調達、債権者との交渉など、実務的なアドバイスを提供してくれます。適切なアドバイスを受けることで、事業再生の成功確率が高まります。

従業員や取引先との信頼関係を維持する

事業再生を進める中で、従業員や取引先との信頼関係を維持することは非常に重要です。経営状態が悪化している企業では、従業員が不安を抱えたり、取引先が契約の見直しを求めたりすることがあります。そのため、再生計画の進捗を定期的に報告し、誠実に対応することが信頼を得る鍵となります。信頼関係が崩れると、再生のための協力が得られなくなり、企業の立て直しが難しくなる可能性があります。

実現可能な事業再生計画を策定する

実現可能な事業再生計画を策定することは、再生を成功させるための大きなポイントです。再生計画は、企業の現状を反映したものでなければなりません。過度な楽観的見通しや実行不可能な目標を設定すると、計画が破綻する原因となります。計画を策定する際には、具体的な数値目標を設定し、達成可能な範囲で改善策を打ち出すことが求められます。また、再生計画は柔軟である必要があり、状況に応じて見直しができるようにしておくことも重要です。

コスト削減と収益改善を並行して進める

事業再生において、コスト削減と収益改善は並行して進める必要があります。コスト削減は、無駄な支出を見直すことで企業の財務状況を改善しますが、それだけでは持続的な成長は望めません。そのため、同時に収益改善策も講じることが重要です。収益を増加させるためには、新たな顧客層の開拓や商品・サービスの改善を行い、売上を安定させることが求められます。コスト削減と収益改善をうまくバランス良く進めることで、企業は再生を果たすことができます。

事業再生後の持続的な成長戦略を構築する

事業再生後、企業は再建を果たしたとしても、持続的な成長戦略を構築することが不可欠です。再生後の成長戦略には、既存事業の拡大、新規事業の立ち上げ、市場の多様化などが含まれます。これにより、再生した企業が再び同じ過ちを繰り返さないようにし、将来の安定した成長を実現します。再生後に油断することなく、未来を見据えた長期的な戦略を策定することが企業の成功に繋がります。

まとめ|専門家の力を借りて効率的な事業再生を

事業再生は、経営不振に陥った企業が立て直しを図るための重要なプロセスです。再生の手法としては、私的整理や法的整理、M&A、事業譲渡があり、それぞれの企業の状況に応じて選択することが求められます。

事業再生を成功させるためには、現状分析と課題の明確化、実現可能な再生計画の策定、関係者との信頼関係構築が欠かせません。また、再生を支援するための補助金や融資制度を適切に活用することで、企業は再建に向けた資金調達を進めやすくなります。

特にM&Aによる事業再生を検討する場合は、適切なM&A仲介会社のサポートを受けることが重要です。CINC Capitalでは、業界最低水準の手数料体系と、10年以上の経験を持つM&A専門家による丁寧なサポート、そして最新のマーケティングテクノロジーを活用した効率的なM&A仲介サービスを提供しています。

経営危機を乗り越え、企業を再生させるためには、早期に適切な対策を講じることが不可欠です。事業再生は単なる経営の立て直しにとどまらず、持続的な成長を実現するための戦略的な取り組みです。企業の未来を切り拓くために、専門家の力を借りながら、効果的な事業再生に取り組みましょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

OTHERS 関連コラム すべてのコラムを見る

SEMINARセミナー すべてのセミナーを見る

“経営者”のためのM&A研究会 ~単独成長・IPO・M&A 選ぶべき道~
  • M&A体験談

“経営者”のためのM&A研究会 ~単独成長・IPO・M&A 選ぶべき道~

2025/06/18(水)14:00〜18:30

オンライン

申し込む
【60代の経営者様向け】会社売却準備を徹底解説
  • Tips

【60代の経営者様向け】会社売却準備を徹底解説

2025/05/13(火)17:00〜18:00

オンライン

申し込む
最大800万円!?手残りを最大化するための「M&A補助金」~申請前に押さえるべきポイントを徹底解説~
  • Tips

最大800万円!?手残りを最大化するための「M&A補助金」~申請前に押さえるべきポイントを徹底解説~

2025/04/22(火)17:00〜18:00

オンライン

申し込む

CONTACTお問い合わせ

秘密厳守いたします。お気軽にご相談ください。最新の業界動向・M&A相場などわかり易くご説明させていただきます。