CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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M&A / スキーム
- 公開日2025.03.25
- 更新日2025.04.02
赤字会社の売却は可能?価格の計算方法や成功のポイント
企業経営では、業績不振や資金ショートにより赤字経営となることが珍しくありません。
そもそも「赤字会社(赤字企業)」とは、一定期間において支出が収入を上回り、利益がマイナスとなっている企業を指します。収支バランスが崩れ、収益が費用を下回っている状態です。
そんな赤字会社は、株式や事業を売却できるのでしょうか。本記事では、赤字会社の売却の可否や売り方、企業価値の算出方法などをご紹介します。
目次
赤字会社の売却の概要
まずは、赤字会社の売却における基礎知識をご紹介します。なぜ経営が赤字なのに売却できるのか、理由や手法とともに見ていきましょう。
赤字会社の売却とは
近年のM&A市場において、赤字会社の売却事例は少なくありません。企業が赤字状態であっても、保有技術・ノウハウ・市場での競争力などに価値がある場合や、将来的な成長可能性が見込める場合は売却できるのです。
なお、赤字会社には「会計上の損益計算書で赤字を計上している企業」と「資金繰りを示すキャッシュフロー計算書で赤字になっている企業」の2つのパターンが存在します。
その際、スタートアップ企業においては成長速度を重視する観点から、意図的に赤字を計上することもあり得ます。
赤字会社の売却手法
株式譲渡
株式譲渡は、買収対象企業の株式所有権を買収側企業に譲渡することで、経営権を移転する売却手法です。
中小企業のM&Aでは、比較的柔軟な対応が可能なため、よく活用される手法となっています。従業員の雇用契約や債権債務などの契約が包括的に引き継がれるため、事業の継続性を維持できるのが特徴です。
ただし、株主総会の承認や法的手続きが必要であり、帳簿外の債務リスクについても十分な事前デューデリジェンスが求められます。
事業譲渡
事業譲渡は、売却側企業が持つ一部の事業を売却する手法です。売却側企業は、法人格を残したまま事業のみを譲渡できますが、自社に負債が残る可能性があります。
一方、買収側企業の視点では、必要な事業のみを選択して引き継げるので、株式譲渡のように簿外債務まで引き継ぐリスクがないのがメリットだといえるでしょう。
ただし、資産・負債を個別に選定して移転する必要があるため、株式譲渡に比べると法的手続きはやや複雑となります。
合併
合併には「新設合併」と「吸収合併」の2つのパターンがあります。
新設合併は、既存の2社を統合して新しい会社を設立し、人材・取引関係・事業ノウハウなどすべての経営資源を新会社に集中させる手法です。事業規模拡大による経費削減や業務効率向上が期待できますが、統合プロセスを急ぎすぎると現場の混乱や負担増大を招くおそれがあります。
一方の吸収合併は、複数の会社が合併する際に、一方の会社の法人格のみを存続させ、他方の会社の権利義務のすべてを包括的に承継させる手法です。新設合併とは違い、一方の会社の法人格をそのまま引き継げます。
赤字会社の企業価値の算出方法
赤字会社であっても適切な評価手法を用いて、企業価値を正確に見極めることが大切です。ここでは、赤字会社の企業価値を算出する3つのアプローチをご紹介します。
コストアプローチ
コストアプローチは、企業の純資産価値を基準とした評価手法で「時価純資産法」と呼ばれます。具体的には、貸借対照表における資産総額から負債総額を差し引いた純資産額をベースに企業価値を算定します。
コストアプローチは収益性の見通しが不明確な赤字会社や、事業継続が困難な企業の評価に適していますが、将来の成長可能性や収益力を十分に反映できないデメリットがあります。
インカムアプローチ
インカムアプローチは、企業の将来収益力に着目した評価手法です。現在は赤字でも、今後の成長が期待できる企業の評価で使われます。
企業の成長性や将来性を数値として反映できるのが特徴です。ただし、将来予測の精度が評価結果を大きく左右するため、慎重な判断が求められます。
マーケットアプローチ
マーケットアプローチは、同業他社や類似企業の市場評価を参考に企業価値を導き出す手法です。現時点の市場評価を企業価値に反映する一方、適切な比較対象企業を見つけることが難しい場合があります。
赤字会社の売却を成功させるポイント
適切なM&A戦略によって、赤字会社を売却できる可能性があります。売却成功につなげるための大切なポイントを解説します。
赤字理由の分析
赤字の根本的な原因を明確にし、説明できる状態にしましょう。具体的には、その赤字が「将来の成長を見据えた設備投資による一時的な赤字」であるか、「事業構造に起因する慢性的な赤字」であるかを明らかにします。
赤字が一過性であったり、改善可能であったりする場合、買い手が見つかりやすくなるためです。
売却までに業績の改善
売却前は、可能な限り業績改善に取り組みましょう。完全な黒字化が難しい場合でも、改善の兆しを示すことで、買い手企業に将来性をアピールできます。具体的な改善策を実行し、効果を数値で明示できればさらに説得力が増すでしょう。
売却条件の妥協
赤字会社の売却においては、理想的な条件での譲渡が困難な場合があります。そのため、売却価格や条件について、ある程度の柔軟性を持ちましょう。ただし、譲歩できない条件については事前に明確にしておくことが重要です。
他社と差別化でアピール
独自技術・ノウハウ・優秀な人材・特許・ブランド力など、自社の強みを明確に打ち出しましょう。自社の強みが赤字という弱点を補い、買い手企業に訴求する手立てとなります。
シナジー効果が期待できる買い手の選択
買い手を選定する際は、自社と買収側企業との相乗効果を考えましょう。例えば、既存の販路や顧客基盤の活用、生産設備の共同利用によるコスト削減など、具体的なシナジー効果を見込める相手を探しましょう。
適切なタイミングでの売却
早すぎる売却は企業価値を十分に高められないまま手放すことになり、結果として売却価格が低くなる可能性があります。一方で、売却のタイミングが遅すぎると、市場環境の変化や競合他社の台頭により、企業価値が低下するリスクがあるでしょう。業績の改善傾向が見え始めた時期や、市場環境が好転し始めた時期など、適切な売却のタイミングを見極めることが重要です。
例えば、業績が上向き始めた段階での売却は、買い手企業に将来性をアピールできる絶好の機会です。会社の価値が上昇傾向にあり、買い手にとっても魅力的な投資対象となるでしょう。
一方で、業績が完全に回復してしまうと、さらなる成長の余地が限られると判断され、却って買い手の興味を失わせるかもしれません。
信頼できるM&A仲介会社への相談
赤字会社の売却は通常のM&Aよりも判断が難しく、専門知識が求められます。そのため、過去に類似案件の経験が豊富なM&Aの仲介会社に相談しましょう。
M&A仲介会社は、売り手と買い手の間に立ち、中立的な立場から交渉をサポートする役割を担います。上手く活用すれば、経営者のニーズや目標に合致する買い手企業が見つかるかもしれません。専門家のサポートを受けて、適切な買い手の選定から交渉まで効率的に進めましょう。
まとめ|成功のポイントを理解し赤字会社の売却検討を
赤字の原因を分析し、業績改善の兆しを示すことで、赤字会社でも売却できる可能性があります。その際は、頼できるM&A仲介会社のサポートを受けることで判断の参考になり、企業売却の複雑な手続きを効率的に進められます。今回解説したポイントを押さえて、赤字会社の戦略的な売却を目指しましょう。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。