CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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売却 / 会社売却
- 公開日2025.04.22
- 更新日2025.04.23
会社売却は儲かる?金持ちになれる?売却益の相場や計算方法を解説
会社を売却することで、まとまった資金を得られるものの、「本当に儲かるのか?」「どれくらいの価格で売れるのか?」と疑問に感じている人は多いでしょう。
さらに、売却後の税金負担や資産管理を考えずに進めると、思ったより手元に残るお金が少なくなってしまうこともあります。
本記事では、会社売却で得られる利益の計算方法、相場、税金対策、成功させるためのポイントを詳しく解説します。会社売却を考えている方はぜひ参考にしてください。
目次
会社売却は儲かる?お金持ちになれる?
会社をM&A(売却)すれば、まとまった資金を得られます。ただし、それだけで「お金持ちになれる」とは限りません。
売却価格は企業の業績や市場価値、交渉の仕方によって大きく変動します。
一般的に、売却価格は「純資産+年間利益の1~5年分」が目安とされます。例えば、純資産1,000万円で年間利益が500万円の会社であれば、2,500万~3,500万円の売却価格が期待できます。ただし、売却後には税金が課せられるため、すべての売却益が手元に残るわけではありません。
また、売却によって得られる資金をどのように活用するかによって、経営者の人生は大きく変わります。資金を投資に回す、別の事業を立ち上げる、セミリタイアするなどの選択肢があります。適切な計画を立てずに資金を使ってしまうと、思ったほどの恩恵を受けられない可能性があります。
会社売却の相場
会社売却の相場は、企業の業種や収益性、成長性によって大きく異なります。一般的には「純資産額+年間利益の3~5倍」が売却価格の目安とされます。
ただし、これはあくまで目安であり、業種や市場の動向によってはさらに高い価格がつくこともあります。特に成長が見込まれるIT企業や安定した収益基盤を持つ企業は、より高額で売却できる傾向があります。一方で、経営状態が悪化している会社や業界全体が低迷している場合は、相場よりも低い価格で売却せざるを得ないこともあります。
また、売却後に得られる実際の利益は、売却価格から税金や手数料を差し引いた後の金額になります。そのため、売却益の計算方法を把握し、税金対策を検討することが重要です。
売却益の計算方法
会社売却によって得られる利益は、単に売却価格から税金を差し引いた金額ではありません。実際に手元に残る資金を正確に把握するには、売却益の計算方法を理解しておくことが重要です。
売却益は以下のように算出されます。
売却益=売却価格-(株式取得費+売却関連費用)
ここでいう「株式取得費」とは、株主が株式を取得した際にかかった費用を指します。創業オーナーの場合、会社設立時に出資した資本金の額が取得費になるのが一般的です。
例えば、オーナーが資本金100万円で設立した会社を5,000万円で売却し、売却にかかった仲介手数料が500万円だった場合、売却益は5000万円-(100万円+500万円)=4,400万円となります。
この売却益に対して課税されるのが「譲渡所得税」です。税率は所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%を合わせた合計約20.315%です。したがって、譲渡所得税は約894万円、手元に残る金額は約3500万円となります。
売却益を最大化するには、適切な税金対策や経費の計上が重要です。例えば、役員退職金の活用や売却時期の調整による節税が効果的なケースもあります。こうした対策は、事前に専門家と相談しながら慎重に検討すると良いでしょう。
会社売却にかかる税金
会社を売却する際には、売却益に対して税金が課されます。売却方法によって税金の種類や税率が異なるため、どの方法が適切かを理解することが重要です。会社売却には「株式譲渡」と「事業譲渡」の2つの方法があります。それぞれの課税の仕組みについて解説します。
株式譲渡
株式譲渡では、会社のオーナーが保有する株式を買い手に売却します。株主個人の所得として処理されるため、法人税の対象にはならず、売却益には譲渡所得税(約20.315%)が課されます。
株式譲渡のメリットは、税率が一定で計算がシンプルな点です。また、会社の契約や資産をそのまま引き継ぐことができるため、手続きがスムーズに進みます。一方で、会社の負債や未払い債務も引き継がれるため、買い手が慎重になるケースが多く、売却価格の交渉が難しくなることがあります。
事業譲渡
事業譲渡では、会社の一部または全部の事業を売却します。この場合、売却益は会社の収益として計上され、法人税(約30~40%)が課税されます。さらに、売却する資産に対して消費税(10%)が発生することがあります。
事業譲渡のメリットは、負債や不要な資産を引き継がせずに売却できることです。そのため、買い手にとってリスクが少なく、交渉がスムーズに進む可能性が高くなります。ただし、契約や資産の移転手続きが必要になり、手間がかかる点がデメリットです。
会社売却を成功させた後の人生は?
会社を売却した後、経営者の人生は大きく変わります。得た資金を活用し、新たなビジネスを始める人もいれば、投資や資産運用を行う人もいます。中には、長年の経営から解放され、悠々自適なリタイア生活を選ぶ人もいます。
ただし、売却後の人生を有意義なものにするには、資産管理や税金対策をしっかり行うことが重要です。予期せぬ税負担や資産の目減りを防ぐため、事前にライフプランを立て、適切な運用を行う必要があります。
また、仕事に情熱を持っていた経営者ほど、売却後に「やることがなくなった」と感じるケースもあります。そのため、次のキャリアやライフスタイルをしっかり考えた上で、会社売却に臨むことが大切です。
会社売却を成功させるためのポイント
会社売却を成功させるためには、企業価値を最大化し、適切な買い手と交渉し、税金対策を講じることが重要です。ここでは、具体的な成功のポイントについて解説します。
企業価値を高めてできるだけ高く売却する準備をする
会社の売却価格を最大化するには、売却前に企業価値を向上させる必要があります。買い手は、収益性や安定性、将来の成長可能性を重視しており、これらの要素が強いほど高い評価を得やすくなります。
まず、財務の整理が重要です。過剰な借入金を減らし、無駄な経費を削減することで、利益率を向上させることができます。また、経理処理を透明化し、正確な財務諸表を準備することで、買い手が安心して評価できる環境を整えることが大切です。
次に、事業の強化を図ることで、競争力を高められます。例えば、売上の安定性を示すために、長期契約を増やす、顧客基盤を広げる、技術力やブランド力を向上させるなどの取り組みが有効です。こうした努力によって、買い手にとって魅力的な企業となり、売却価格を引き上げることが可能になります。
さらに、適切な売却タイミングを見極めることも大切です。業界の市場環境が好調な時期や、企業の業績が上向いている時期に売却を進めることで、より高い価格での売却が期待できます。
適切な買い手を見つけて有利な条件で交渉を進める
会社売却を成功させるためには、適切な買い手を見つけ、有利な条件で交渉を進めることが重要です。買い手によって企業の評価や条件が異なるため、複数の候補を比較しながら、最も良い条件を引き出すことが求められます。
まず、買い手選びでは、自社の価値を最大限に評価してくれる相手を見つけることが重要です。例えば、同業他社が自社を買収することで、事業拡大やシナジー効果が期待できる場合、買い手側のメリットが大きくなるため、高い価格での売却が実現しやすくなります。また、事業を継続して成長させてくれる企業を選ぶことで、従業員や取引先の安心感にもつながります。
交渉を有利に進めるためには、事前に売却の最低希望条件を明確にすることが大切です。価格だけでなく、従業員の雇用維持や事業の継続性など、自社にとって譲れない条件を決めた上で、交渉に臨むことが成功のポイントになります。また、買い手に対して、事業の成長性や将来の利益見込みを具体的に説明することで、より高い評価を引き出せます。
最後に、専門家を活用することも有効です。M&A仲介会社やアドバイザーを利用することで、適切な買い手を見つけるだけでなく、交渉をスムーズに進めることができます。特に、初めての売却では専門知識が必要になるため、プロの意見を取り入れることで、より良い条件での売却が実現しやすくなります。
売却後の税金対策を計画して手元に残る金額を最大化する
会社売却で得た資金のうち、手元に残る金額を最大化するには、適切な税金対策が不可欠です。税金の種類や課税のタイミングを理解し、事前に対策を講じることで、無駄な負担を抑えることができます。
まず、売却スキームの選択が重要です。株式譲渡と事業譲渡では税率が異なり、一般的に株式譲渡の方が税負担が軽いとされています。先述したように、株式譲渡では売却益に対して約20.315%の譲渡所得税が課されるのに対し、事業譲渡では法人税(約30~40%)がかかり、さらに個人が配当として受け取る際に追加の課税が発生する可能性があります。そのため、適切な売却方法を選ぶことが、税金対策の第一歩になります。
次に、役員退職金の活用が有効です。売却前に役員退職金を設定すると、法人税の計算上、損金として計上できるため、企業の課税所得を減らすことができます。また、退職金には所得税の優遇措置があり、譲渡所得よりも低い税率で受け取れるため、最終的な手取り額を増やすことが可能です。
さらに、納税資金の確保も重要になります。売却益にかかる税金は翌年に納付する必要があるため、無計画に資金を使ってしまうと、納税時に資金不足に陥る可能性があります。そのため、売却資金の一部を納税用に確保し、資産運用のプランを立てた上で資金を活用することが求められます。
まとめ|企業の魅力を高め、売却益の最大化を目指しましょう
会社売却は、適切な準備と交渉を行うことで、大きな利益を得ることができます。しかし、売却価格だけでなく、企業価値の向上、適切な買い手の選定、税金対策が成功の鍵を握ります。
売却益を最大化するには、財務や事業の整理を徹底し、企業の魅力を高めることが重要です。また、買い手と有利な条件で交渉し、最適な売却スキームを選ぶことで、手元に残る資金を増やせます。さらに、売却後の資産管理やライフプランを考え、次のステップに向けた準備を行うことが大切です。
事前の戦略と慎重な判断が、納得のいく会社売却につながります。適切な知識を持ち、専門家の助言を活用しながら、後悔のない売却を目指しましょう。
CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。