CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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M&A / スキーム
- 公開日2025.03.25
- 更新日2025.03.25
株式取得の基礎知識|手法の目的や種類、メリットとデメリット
株式取得はM&Aにおける代表的な手法の一つであり、さまざまな目的で利用されています。
手続きが比較的シンプルで、多様な状況に対応できる柔軟性が特徴です。
本記事では、株式取得の概要や目的、種類、メリットとデメリットについてご紹介します。
目次
株式取得の概要
はじめに、株式取得の概要や仕組みをおさらいします。企業買収や事業譲渡との違いについても確認しましょう。
株式取得とは
株式取得はM&Aにおける買収手法の一つです。買い手側の企業が対象企業の株式を取得することで、経営権を獲得します。株式を売却する側は対価として金銭を受け取り、買い手企業は取得した株式の割合に応じて経営への参画権を得る仕組みです。取得する株式の比率により、経営への影響力が段階的に変化します。
買収との違い
一般的に買収とは「相手企業の経営権を獲得する」という広義における概念です。一方で、株式取得は、買収という目的を達成するための具体的な方法となります。つまり、買収を実現するために、株式取得を検討することになります。
なお、企業買収には株式取得以外にも多様な方法が存在します。M&Aを検討する場合、株式取得以外の選択肢についても理解しておくことが大切です。
事業譲渡との違い
事業譲渡では、対象企業の事業や無形資産などを取得します。特定の事業のみ選択して取得するなど、買収する対象を限定できるのがメリットです。ただし、事業譲渡は原則として株主総会の特別決議が必要であり、法的手続きが複雑化する傾向にあります。
一方、株式取得は対象企業の株式を購入することで経営権を得ます。取得する株式比率に応じて、経営への影響力が変わるのが特徴です。株式取得と事業譲渡は、M&Aの目的や状況に応じて使い分けましょう。
株式取得の目的
株式取得は、企業の子会社化や株主提案権の獲得、敵対的買収対策などの目的で実施されます。ここでは、株式取得の目的を複数のポイントから解説します。
対象企業の子会社化
株式取得の主な目的は、対象企業を子会社化することです。発行済株式の50%以上を取得することで、対象企業を子会社化して経営支配下に置けるようになります。これにより、事業拡大や経営効率の改善などが期待できます。
株主提案権の獲得
一定割合の株式を保有することで、株主総会での株主提案権を得て、重要事項の決定に関与できるようになります。具体的には、議決権の1%以上または300個以上の議決権を6ヶ月以上継続して保有している株主は、株主総会議題提案権を行使できます。
敵対的買収の対策
自社株式を取得することで、市場に流通する株式数を減少させ、敵対的買収から自社を防衛することができます。これにより自社の持株比率が上昇し、敵対する相手が株式を取得しにくくなります。
また、株式の需給バランスにより株価が上昇すれば、買収コストが増加し、さらに敵対的買収の抑止力となります。
ストックオプションの付与
株式取得は、従業員に対するインセンティブの手段にもなります。ストックオプションを付与することで、従業員は自社株式を購入できるようになります。従業員が業務で活躍し、自社の業績が向上すれば、株価と権利行使価格の差額から利益を得られるようになるのです。企業価値の向上や、従業員のモチベーションアップに役立てられるでしょう。
自社株の投資家へのアピール
自社株式の取得によって株式数が減少すると、1株あたりの価値が向上します。さらに、「ROE(自己資本利益率)」などの経営指標が改善されるため、投資家からの評価が向上する可能性があります。
株主への利益の還元
余剰資金で自社株式を取得することで、株主への利益還元を実現できます。1株あたりの価値が向上することで、株主の利益配分が増えるためです。間接的に株主に利益を還元する手法として用いられることがあります。
事業承継対策
中小企業の事業承継では、後継者保有の株式を会社が買い取ることで、相続税の支払い資金を確保できます。後継者の相続税負担を軽減し、円滑な事業承継がしやすくなります。
少数株主の整理
少数株主の株式を取得することで、株主構成の分散を防ぎ、経営の意思決定を円滑に進められます。株主管理が効率化され、経営の機動性が向上するでしょう。
株式取得の種類
株式取得には、主に4つの手法があります。それぞれ特徴が異なり、M&Aの目的や状況に応じて使い分けると効果的です。
株式譲渡
株式譲渡は、既存の株主から直接株式を購入する手法で、企業の発行済株式を現金で買い取って経営権を獲得します。取得した株式の割合に応じて、経営に対する影響力が変わります。
たとえば、株式の50%以上を取得すれば子会社化が可能となり、さらに2/3以上を保有すれば特別決議事項の可決が可能となります。
株式交換
買い手側の企業が対象企業の全株式を取得する手法です。主に買収対象の企業を完全子会社とする目的で行われます。その際、対価として完全親会社の株式を完全子会社の株主に交付するケースが多いです。実行するには、株主総会の特別決議などの法的な手続きが必要です。
株式移転
株式移転は、既存企業が保有する株式を新設する会社に移転する手法です。過半数を超える株式の移転によって、株式移転は成立します。共同株式移転による経営統合や、持株会社化による企業再編などを目的に行われます。
株式移転により、既存企業の株主は新設した会社の株主となり、既存企業自体は新会社の完全子会社となります。株主総会の特別決議などの法的な手続きが必要です。
第三者割当増資
第三者割当増資は、企業が新たに発行する株式を第三者(株主以外)に割り当てる手法です。資金調達をしながら投資家との関係強化を図ることができますが、既存株主の持株比率が低下することから、株主総会での承認が必要となるケースもあります。上場企業が実施する場合は、情報開示による既存株主の権利保護への配慮が求められます。
株式取得のメリットやデメリット
M&Aの基本ともいえる株式取得ですが、メリットとデメリットが存在します。それぞれ詳しく解説します。
株式取得のメリット
多様な目的に対応
株式取得の目的は多岐にわたり、ビジネスのニーズを幅広く満たせる可能性があります。たとえば、買い手側の企業は取得する株式比率を調整すれば、資本提携から完全子会社化まで経営への関与度を柔軟に設定できます。
買収対象企業の許認可の承継が可能
株式取得の中でも株式譲渡では、買収対象企業の法人格がそのまま維持されます。事業のオーナーのみが移転する形となり、対象企業の社名・取引先との契約・許認可などを継続しながら事業を引き継ぐことが可能です。
ただし、場合によっては許認可の更新・再申請が必要となるケースや、承継に個別同意が必要なケースがあるため留意しましょう。
株式取得のデメリット
取得する資産や事業の選択が不可
株式取得では、株式取得では、企業の全ての資産と負債を包括的に取得します。買い手側の企業が不要な事業や負債まで引き継ぐこととなり、経営上の負担が増える可能性があります。
ただし、特定の事業や資産のみを取得したい場合は、事業譲渡という手法を選択することは可能です。
買収資金が必要
株式取得では企業価値に応じた株式買収資金が必要となるため、場合によっては多額の負担が生じます。実施するには買収資金を調達しなければなりません。事業承継を目的とする場合、資金不足で実現が難しいケースも考えられるでしょう。
期待したシナジー効果が得られないリスク
株式取得による買収後の統合プロセスで、既存の従業員との摩擦や文化の違いが生じ、企業間に想定していたシナジー効果を得られないリスクがあります。同時に、従業員の離職や組織統合の遅れなどが懸念されます。
まとめ|株式取得を正しく理解し、目的に応じた選択を
株式取得は、「対象企業の子会社化」「株主提案権の獲得」「敵対的買収の対策」など、企業の多様なニーズに応えられるM&A手法です。また、簡単な手続きで実施できる点でも注目されています。本記事でご紹介した内容を、M&Aでの戦略的な意思決定にお役立てください。
CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、株式取得のご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。