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バイアウト投資とは?ベンチャー投資やM&Aとの違い、メリット・デメリットを解説

M&A / スキーム

  • 公開日2025.04.30
  • 更新日2025.04.30

バイアウト投資とは?ベンチャー投資やM&Aとの違い、メリット・デメリットを解説

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バイアウト投資に興味はあるけれど、仕組みやリスクがよく分からず一歩踏み出せないと感じていませんか?事業承継や企業再生の選択肢として注目されている一方で、ベンチャー投資や一般的なM&Aとの違いが曖昧なままでは、適切な判断が難しいのも事実です。

本記事では、バイアウト投資の基礎知識や、ベンチャー投資やM&Aの違いなどを分かりやすく解説していきます。

バイアウト投資とは?

バイアウト(Buyout)とは、基本的には「買収」を意味し、特に企業の経営権(過半数以上の株式)を取得する形態の買収を指します。この中でも、企業価値を高めて将来的に売却することを前提とした投資目的での買収を特に「バイアウト投資」と呼びます。

つまり、バイアウト投資とは、企業の経営権を取得したうえで、経営改善を通じて企業価値を高め、最終的に株式を売却して利益を得る投資手法です。一般的なM&Aと異なり、バイアウト投資では3〜7年程度の比較的短期間での売却(エグジット)を前提としている点が特徴です。

ベンチャー投資の違い

バイアウト投資は、すでに一定の売上や事業基盤を持つ企業を対象とし、経営権を取得して事業改善を進める投資方法です。一方、ベンチャー投資は創業初期の企業に対して、資金提供を通じた成長支援を行うことが目的です。

バイアウト投資では過半数の株式を取得し、経営に積極的に関与します。一方、ベンチャー投資では一般に少数株の保有でありながらも、経営陣への助言や戦略支援といった形で積極的に関与することもあります。

つまり、バイアウト投資は「経営を引き継ぐ投資」であり、ベンチャー投資は「成長を見守る投資」である点に明確な違いがあります。

M&Aとの違い

バイアウトはM&Aの手法の一つですが、一般的なM&Aとは目的と買い手の性質が異なります。一般的なM&Aは企業戦略の一環として、事業の拡大や多角化、他社とのシナジー創出を目指し、長期的な事業統合を前提として行われます。買収後も事業を継続的に保有・運営することを想定しています。

一方、バイアウト投資では、経営権を取得した上で企業価値を高め、一定期間(通常3〜7年)後の売却によるリターン獲得が主な目的です。買収時点から「出口戦略(Exit)」を見据えた経営改善が行われる点が特徴的です。

また、M&Aの買い手は通常、事業会社(戦略的買収者)であることが多いのに対し、バイアウト投資では主にプライベート・エクイティ・ファンドや既存の経営陣(MBO)、投資目的の個人などが買い手になるケースが多いという違いもあります。近年では事業会社が投資部門を通じてバイアウト的な投資を行うケースも増えています。

このように、バイアウト投資は一定期間での売却を前提とした、収益性を重視した再成長支援型の買収である点が、長期保有を前提とした一般的なM&Aとの大きな違いです。

バイアウトの主な実施主体

バイアウトは主に以下のような主体によって行われます。

  • プライベート・エクイティ・ファンド(PE):多くの投資家から集めた資金で企業を買収し、企業価値向上後に売却するファンド
  • 経営陣:MBO(Management Buyout)と呼ばれる、企業の経営陣が自ら出資して自社を買収するケース
  • 事業会社:グループ再編や完全子会社化などを目的とした買収
  • 個人投資家:主に中小企業を対象としたケース

特に本記事で説明している「バイアウト投資」は、主にプライベート・エクイティ・ファンドによって行われる投資活動を指します。

ファンドには投資期間があるため、バイアウト後は一定期間(通常3〜7年)で企業価値を高めてから売却するという出口戦略が明確であることが特徴です。

レバレッジド・バイアウト(LBO)とは

レバレッジド・バイアウト(LBO)とは、企業の買収資金に外部からの借入金を活用することで、自己資金以上の大規模な買収を可能にする手法です。企業買収の際に用いられる代表的なスキームであり、バイアウト投資の中でも特に効率的にリターンを得るために用いられています。

LBOでは、買収先企業の将来キャッシュフローや保有資産を担保に借入を行い、その資金で企業を買収します。買収資金の大部分を負債で賄うことで、自己資金の投入を最小限に抑えながらも、企業の支配権を獲得できるのです。このような仕組みによって、投資家は限られた元手でも大きなリターンを狙うことが可能となります。

しかし、この手法は財務レバレッジを効かせた高効率な買収手段である一方、借入依存度が高いため財務リスクも大きくなります。買収後に十分な収益を上げられなければ、借入金の返済が経営を圧迫する可能性があります。

つまり、LBOは高リスク・高リターンの投資スキームであり、資金調達と事業再生の両面で高度な運用スキルが求められるでしょう。

国内のバイアウト市場の動向

日本国内におけるバイアウト市場は、ここ数年で急速に拡大しており、今後もさらなる成長が期待されています。これは事業承継問題や企業の事業再編が進む中で、プライベート・エクイティ(PE)ファンドによる買収ニーズが高まっていることを示しています。

特に、後継者不在の中小企業や、大企業がノンコア事業を切り離す「カーブアウト」案件において、バイアウト投資が多く活用されているのです。

また、経営資源の最適化やガバナンス改革を目的として、自社株をファンドに譲渡するケースも増えています。日本市場ではバイアウトが成長戦略・再生戦略として定着しつつあり、高齢化や経営課題を背景に今後もニーズ拡大が予想されます。

バイアウト投資のメリットとデメリット

バイアウト投資の対象となる企業は、一定の事業基盤を持つ場合が多いですが、必ずしも安定しているとは限りません。特に企業再生型の案件では、経営状態が悪化しているケースも多く、改革の成否によっては倒産リスクも伴います。しかし、その反面でリスクも大きく、投資判断を誤れば損失につながる可能性があります。

本章では、バイアウト投資を行う際に知っておくべきメリットとデメリットについて、それぞれ具体的に解説します。

バイアウト投資のメリット

バイアウト投資の大きなメリットは、経営改善を通じて企業価値を高めることで、高い投資リターンを狙える点にあります。買収後に積極的な経営関与を行い、コスト構造の見直しや収益性の向上を図ることで、短期間で企業価値を引き上げることが可能です。

また、事業承継に悩む企業にとっては、後継者不在という課題を解決しつつ、雇用や取引先との関係を維持しながら事業を継続できるという社会的意義もあります。さらに、ファンドの支援を受けることで、デジタル化やグローバル展開などの新たな取り組みにチャレンジできる環境が整います。

このように、バイアウト投資は投資家にとっては高収益を、企業側にとっては成長機会をもたらす有効な手段です。

バイアウト投資のデメリット

バイアウト投資には魅力的な面がある一方で、リスクが高い点も見逃せません。特に、買収後の経営改革が想定通りに進まなかった場合、企業価値が十分に高まらず、投資回収が困難になる可能性があります。さらに、LBOのように多額の借入金を活用するスキームでは、返済負担が企業の経営を圧迫し、倒産リスクすら伴うことがあります。

売却側にとっても、外部資本の介入により経営方針が変わったり、従業員の処遇に不安が生じたりすることも少なくありません。したがって、バイアウト投資を行う際には、財務面と経営面の両方で慎重な判断が求められます。

成功すれば大きなリターンが見込める一方で、失敗した場合の損失も大きくなるという点を理解する必要があります。

バイアウト投資を成功させるためのポイント

バイアウト投資は、高い収益を狙える一方で、失敗すれば大きな損失を招く可能性もあります。成功させるためには、事前準備と投資後の戦略が非常に重要です。

本章では、投資を成功に導くために欠かせない5つの視点について解説します。

投資対象企業を適切に選定してデューデリジェンスを徹底する

バイアウト投資の成否は、初期段階での企業選定とデューデリジェンスの質に大きく左右されます。なぜなら、将来性のある企業を見極め、リスクを正確に把握しないまま投資を進めると、後に深刻な問題が表面化するおそれがあるからです。

財務、法務、ビジネスの各側面から徹底的に精査を行い、潜在的な課題や成長機会を見落とさないようにする必要があります。たとえば、財務上の簿外債務や、契約関係の問題点が発覚すれば、想定外のコストや損失につながる可能性があります。

このように、投資前の段階でリスクと可能性を正しく把握することが大切です。

経営改革を進めて収益性を向上させる

買収後の経営改革は、企業価値を高めて投資リターンを最大化するための中心的な取り組みです。なぜなら、経営に直接関与できるのがバイアウト投資の強みであり、企業の成長を加速させる大きな武器になるからです。

たとえば、非効率な業務プロセスを見直したり、収益性の低い事業を切り離したりすることで、経費を削減し、利益体質へと転換することが可能になります。加えて、デジタル化の推進や新規事業への投資も、企業の成長性を高めるうえで効果的です。

このように、短期間で収益性を改善し、企業の魅力を向上させることが、バイアウトの成功に直結します。

適切な資本構成を構築して財務リスクを管理する

財務リスクを抑えるためには、買収後の資本構成を慎重に設計する必要があります。理由は、バイアウト投資では多くの場合レバレッジ(借入)を活用するため、過度な負債依存は経営の安定性を脅かすからです。買収先企業のキャッシュフローで無理なく返済可能な範囲で資金調達を行い、バランスの取れた資本構成を目指すことが重要です。

たとえば、金利上昇や業績不振など不測の事態に備え、返済期間や条件を柔軟に設定することもリスク管理の一環です。財務構造を健全に保つことで、買収後の経営改革や成長戦略にも集中できます。

投資回収を見据えた明確な出口戦略を策定する

バイアウト投資では、あらかじめ出口戦略を明確に定めておくことが成功に直結します。投資回収の見通しが曖昧だと、適切なタイミングでリターンを得られないリスクが高まるため、注意が必要です。

戦略的売却、セカンダリーバイアウト、IPOなど、複数の選択肢を検討しながら、どの道が最も利益を最大化できるかを判断します。

たとえば、業界内でのシナジーが見込める企業への売却を見据えた事業構造の再編は、出口戦略の一例です。投資当初から出口を意識した行動を取ることで、計画的かつ効率的に成果を実現できます。

経営陣と連携を強化してガバナンス体制を確立する

バイアウト後の企業価値向上には、現経営陣との信頼関係を築き、強固なガバナンス体制を整えることが不可欠です。その理由は、ファンドだけで経営を主導するのではなく、現場を熟知する経営陣の協力があってこそ、実効性のある改革が実現するからです。

たとえば、インセンティブ制度を導入して経営陣のモチベーションを高めたり、定期的な経営会議で課題を共有したりすることで、双方が同じ目標に向かって進む体制を築けます。結果として、経営の透明性と意思決定のスピードが向上し、企業全体のパフォーマンス向上につながります。

まとめ|バイアウト投資を正しく理解し、戦略的に活用を

バイアウト投資は、企業の経営権を取得して成長を支援することで、高いリターンを実現できる投資手法です。ベンチャー投資やM&Aと比較して特徴が明確であり、近年は国内市場でも事業承継や再生ニーズを背景に活用が広がっています。成功させるポイントは、投資先の選定、経営改革、財務設計、出口戦略、そして経営陣との連携などです。

バイアウト投資の成功には、慎重な企業選定と的確な戦略実行が不可欠です。CINC Capitalでは、こうした投資やM&Aの課題について豊富な知見を持つ専門家がご支援いたします。ご相談をご希望の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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