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小規模M&Aとは?増加している背景やメリット・デメリット、押さえるべきポイントを解説

M&A / 基礎知識

  • 公開日2025.04.09
  • 更新日2025.04.09

小規模M&Aとは?増加している背景やメリット・デメリット、押さえるべきポイントを解説

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小規模M&Aは、大企業同士の巨大な買収や合併だけでなく、事業規模の小さな中小企業や個人事業主にとっても有効な手段として注目されています。近年では、経営者の高齢化と後継者不足の問題が顕在化していることから、特に小規模M&Aへのニーズが一層高まっています。

一方で、小規模M&Aには大規模M&Aとは異なる留意点や特有のリスクも存在します。情報開示や調査が不十分なまま進めてしまうと、譲受側・譲渡側の双方が予期しない負担や経営上のトラブルを招くことがあるため、正しい知識と手続きの把握が欠かせません。

本記事では、小規模M&Aの基礎知識から増加している社会的背景、メリットやリスク、具体的な進め方までを幅広く解説します。また、実例を通じて成功事例と失敗事例も紹介します。小規模M&Aを検討している方だけでなく、今後の事業承継や新規事業参入を考えている方は、よりよい意思決定のためにご参考ください。

小規模M&Aとは?

まずは、小規模M&Aの定義と通常のM&Aとの違いを把握しましょう。

小規模M&Aとは、比較的小さな企業や事業単位で行われる合併・買収のことを指し、年間売上高や譲渡額が数千万円から数億円規模といった小さな範囲で取引されるケースが多いとされています。

一方で、小規模M&Aであっても、企業買収・統合後の運営や従業員・顧客への対応は大規模M&Aと同程度に慎重な配慮が必要になります。むしろ少人数の組織であるからこそ、経営者の判断やコミュニケーションがダイレクトに事業活動へ影響を及ぼす面が強いといえます。

中小規模ならではの利点とリスクをしっかりと把握するために、以下で小規模M&Aの概要や特徴をご紹介します。

小規模M&Aの概要

小規模M&Aは、主として中小企業や個人事業主などを対象とした第三者承継の手段として用いられます。特に、年商1億円未満や譲渡金額1,000万円程度といった比較的低額の取引が含まれるのが特徴です。必ずしも明確な金額基準があるわけではありませんが、市場では売り手と買い手の両者が手頃なコストで経営資源を移転できる点が魅力として認識されています。

小規模M&Aの特徴

小規模M&Aの特徴として挙げられるのは、意思決定プロセスが短期間で進むことや、案件規模が小さいために大手の仲介会社だけでなく公的支援機関やオンラインマッチングプラットフォームなど多様な選択肢を利用しやすい点です。

また、大企業同士のM&Aとは異なり、買い手にとっては比較的少額の投資で事業のノウハウや地域の顧客基盤をまるごと取得できるメリットがあります。一方、情報の開示や調査が不十分なまま進めると、思わぬ負債やトラブルを引き継ぐリスクもあるため、事前の準備と専門家によるチェックが不可欠です。

小規模M&Aが増加している背景

小規模M&Aが注目されるようになった要因を理解することで、市場の動向を把握できます。ここでは、小規模M&Aが増加している主な背景を3つ取り上げます。

事業承継や経営者の高齢化問題

日本の中小企業では、経営者の平均年齢が60歳近くに達しており、後継者不足が深刻化しています。事業をたたむしか選択肢がない状況も珍しくないため、第三者への事業承継として小規模M&Aのニーズが高まっています。早期の段階で継承プランを立て、必要に応じてM&Aの選択肢を検討することが重要になっています。

市場競争と中小企業の生き残り戦略

グローバル化や国内市場での競争激化により、中小企業も迅速な変革を求められるようになりました。大企業のように潤沢な資金を投入しづらい場合、小規模M&Aで既存の事業と異なるノウハウや人材を素早く取得し、経営基盤を強化する動きが出てきています。

これにより、ニッチ市場で存在感を高めたり、新たな成長分野へ進出したりするダイナミックな経営戦略が可能になります。

インターネット活用の促進

インターネットを活用したM&Aマッチングサイトや公的支援サービスの整備が進み、誰でも気軽に案件を探せる環境が整いつつあることも要因の一つです。大手仲介会社に依頼しなくても、オンラインで複数の買い手・売り手と比較・検討ができるため、交渉コストが抑制され、取引のハードルが下がりました。これが小規模M&Aを加速させる大きな要因となっています。

小規模M&Aのメリットとリスク

小規模M&Aには多くの可能性がある一方で、注意すべきリスクも存在します。ここでは、売り手側・買い手側それぞれのメリットとリスクについて整理します。

小規模M&Aのメリット

【売り手側】小規模M&Aのメリット

小規模M&Aの売り手側のメリットとして、まず挙げられるのは、経営努力の成果を資金化できる点です。長年築いてきた事業を売却することで、経営者はその資金を得て、セカンドキャリアや新事業への投資へとつなげることが可能になります。また、大規模M&Aと比べて審査や手続きが簡素なケースが多いため、比較的スムーズに取引を進めることができるのも魅力の一つです。

さらに、事業譲渡によって従業員の雇用が維持される可能性が高いことも重要なポイントです。事業を継続してもらうことで、取引先との関係性も維持しやすく、会社としての価値を残しながら次のステップへ進むことができます。

【買い手側】小規模M&Aのメリット

買い手側にとっては、比較的少額の投資で経営資源を獲得できる点が大きな魅力です。ゼロから新規事業を立ち上げるよりも、すでに実績や顧客基盤を持つ企業を取得することで、事業拡大をスピーディーに進めることができます。

特に、地域密着型のサービス業や独自の技術を持つ企業を取得することで、適切なノウハウの引き継ぎ次第では短期間での成長も期待できます。また、既存事業とのシナジーを活かすことで、顧客層を広げたり、リスクを分散させたりすることが可能です。中小企業ならではの柔軟な経営戦略を立てやすく、成長の機会を最大限に活用できる点も、小規模M&Aの大きな利点といえるでしょう。

小規模M&Aのリスク

【売り手側】デメリット

小規模M&Aの売り手側にとって、最大のリスクの一つは、事業の適正価格での売却が難しいことです。小規模な企業では事業価値の算定が困難な場合が多く、適正価格よりも低く評価されるリスクがあります。また、売却後に買い手側の経営方針が大きく変わることで、従業員や取引先に影響を及ぼす可能性も考慮する必要があります。

さらに、買い手との交渉や契約に関してトラブルが発生することもあります。情報開示が十分でなかったり、契約内容の認識が食い違ったりすることで、売却後のトラブルにつながるケースも少なくありません。そのため、慎重に契約を進めることが重要です。

【買い手側】デメリット

買い手側にとっては、情報の不透明さが大きなリスクとなります。小規模企業では財務状況や事業の透明性が十分に確保されていないケースも多く、買収後に予想外の負債や問題が発覚する可能性があります。また、経営統合がうまく進まなかった場合、企業文化やマネジメント手法の違いが顕在化し、従業員の離職や業務の混乱を招くこともあります。

また、経営者の交代によって従業員や顧客が不安を抱き、モチベーションの低下や顧客離れが発生するリスクも考えられます。買収後の経営方針を明確にし、従業員や取引先に対する適切な対応を行わなければ、スムーズな統合は難しくなるでしょう。

小規模M&Aの依頼先

小規模M&Aを成功させるためには、信頼できる支援先の選定が欠かせません。自社のニーズや財務状況に合った依頼先を見つけ、複数の観点からアドバイスを受けることでリスクを低減できます。

以下に、おすすめの相談先をご紹介します。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、売り手と買い手を結びつける専門サービスを提供する存在で、取引条件の調整やデューデリジェンスのサポートなど幅広い業務を行います。

成功報酬型の報酬体系が多いものの、小規模M&Aの場合は手数料が実行金額に対して相対的に高くなる可能性もあるため、契約条件をよく確認することが重要です。

また、多くの案件を保有する大手仲介会社だけでなく、地域に根差した中小仲介会社を検討するのも一つの手です。

M&Aマッチングプラットフォーム

オンラインで売り手と買い手が案件情報を登録・検索できるマッチングプラットフォームは、近年大きく普及しています。仲介会社を通さず直接やり取りできるメリットがある一方、交渉やデューデリジェンスは当事者同士の責任で進める必要があります。

そのため、情報収集や契約手続きにかかる負担はやや増える傾向にありますが、幅広い案件情報にアクセスできる利点も見逃せません。

士業

法律や税務など専門的な知識を要する場面では、弁護士・公認会計士・税理士といった士業のサポートが非常に心強い存在となります。

契約書の作成や財務調査、税務面でのシミュレーションなど、細部のケアを専門家の視点でカバーすることでリスクの軽減につながります。依頼する際は、M&Aの実務に精通した経験豊富な士業を選ぶのがポイントです。

事業承継・引継ぎ支援センターや商工会議所

公的機関である事業承継・引継ぎ支援センターや商工会議所は、無料または低コストで専門家の紹介や相談対応を行っています。

特に地域に根差した中小企業の売買情報が集まりやすく、地元でのM&Aを検討している場合に有用です。公的機関を活用することで、信頼性の高いサポートを受けながら取引を進めることができます。

小規模M&Aの進め方と基本プロセス

具体的にM&Aを進める際のフローを押さえて、スムーズな実行を目指しましょう。

小規模M&Aを進めるにあたっては、大まかに準備段階、マッチング・交渉段階、そしてクロージング段階に分けて検討するのが一般的です。それぞれの段階で必要となる手続きやチェックポイントが異なるため、全体像を把握してから個別のタスクに取り組むとスムーズに進みます。

ここでは、それぞれのフェーズのポイントをご紹介します。

準備段階で押さえるべきポイント

準備段階では、売り手側は自社の事業価値や強みを明確化するために財務諸表やビジネスモデルを整理し、買い手側は自社の成長戦略と照らし合わせてどのようなシナジーを求めるのかを明確にします。

また、それぞれが希望する契約条件や譲渡額の目安を設定し、仲介会社や公的機関への相談も検討します。この段階で自社や相手企業のニーズと条件をできるだけ明確にしておくことで、後の交渉が円滑に進みます。

マッチング・交渉段階で押さえるべきポイント

マッチング・交渉段階では、売り手と買い手それぞれの利害が一致するかどうかを深く確認します。機密保持契約を結んだ上で財務情報や事業内容の詳細を開示し、デューデリジェンスを行うことでリスクを調査します。

その結果を踏まえて、譲渡条件や譲渡価格についての意向表明書(LOI)を作成し、最終契約の合意に向けた交渉を進めるのが一般的な流れです。

クロージング段階で押さえるべきポイント

クロージング段階では、最終契約書を締結し、譲渡の引き渡しや決済を行います。並行して従業員や取引先に対してM&Aの内容を周知し、事業継続に必要な手続きや段取りを速やかに進めることがスマートな運営に欠かせません。

クロージング後も引き継ぎが不十分だと、利用客や従業員に戸惑いが生じる可能性があるため、経営者同士の連携を続け、スムーズな統合作業を心掛けることが大切です。

小規模M&Aの成功事例と失敗事例

小規模M&Aを実施する上では、過去の事例を参考にすることが大変有用です。

成功事例では、企業同士の強みを掛け合わせて地域に根ざしたサービスを拡大したり、新たな市場への参入をスムーズに実現したりといった具体的な成果が報告されています。

一方で失敗事例を見ると、デューデリジェンス不足や経営方針の不一致など、準備不足やコミュニケーションの欠如が原因で大きな損害を出したケースも少なくありません。

成功事例と失敗事例から学び、実際のM&Aプロセスのイメージをつかみましょう。

成功事例

地域特化型M&Aの成功ポイント

地域特化型の企業を買収する場合、地元の需要や特産品を最大限に活かすことが鍵となります。観光業やイベント事業などは、地域限定の需要を取り込むことで安定した収益を得やすいのが特徴です。双方が地域に根付いた人脈やリソースを共有し、地域の活性化にも寄与している事例が数多く見られます。

未成熟市場への参入事例

ニッチな分野や新興産業へ小規模M&Aで乗り出すことにより、未成熟なマーケットを独占的に開拓するチャンスを得られる場合があります。既に稼働している事業の仕組みや実際の顧客データを活用しながら、新商品や新サービスを展開できるため、大きな初期投資を伴わずに事業ポートフォリオを拡充できるのです。

失敗事例

デューデリジェンス不足による損害

簿外債務や訴訟リスクといった会社の潜在的な問題を十分に洗い出さないまま契約に進むと、買収後に多額の損害を被る可能性があります。

小規模企業では資料整備が行き届いていないケースが多く、デューデリジェンスを軽視すると後から想定外の負債やトラブルが発覚することもあるため、入念に行う必要があります。

契約後の経営方針不一致からの失敗

譲渡前は円滑に話がまとまっていたとしても、経営方針や企業文化に関する理解が不十分だと、譲渡後の運営で大きな対立が生じることがあります。

特に小規模企業では、代表者のリーダーシップや価値観が組織運営に大きく影響するため、譲渡元と譲受元の経営者同士が将来像を共有しないまま取引を進めると、従業員のモチベーション低下など深刻な問題につながりやすいです。

まとめ|小規模M&Aを理解し、適切なパートナーと成功させましょう

小規模M&Aを活用することで事業承継や成長戦略に大きな可能性が生まれますが、正しい知識と入念な準備が不可欠です。

小規模M&Aは、高齢化や後継者不足に直面する中小企業にとって、有力な解決策の一つになりつつあります。大企業による大型買収ほどのインパクトはなくとも、少額投資で企業のノウハウや顧客基盤をまとめて獲得できるため、効率的な事業承継や成長路線の実現が期待できます。

一方、デューデリジェンスの不足や経営方針の不一致などによる失敗リスクもはっきりしているため、専門家のサポートを受けながら丁寧に検討を進めることが肝要です。しっかりと下準備を整え、将来のビジョンを共有できる相手を見極めることで、小規模M&Aをより有効に活用できるでしょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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