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M&Aに携わる専門家の仕事内容は?経営者が知っておきたい依頼先選びのポイントや準備すべきこと

M&A / 基礎知識

  • 公開日2025.04.22
  • 更新日2025.04.23

M&Aに携わる専門家の仕事内容は?経営者が知っておきたい依頼先選びのポイントや準備すべきこと

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M&Aは企業の成長戦略や事業承継において重要な手段ですが、専門知識が必要な分野でもあります。そのため、「M&Aを進めたいが、どのような専門家に依頼すれば良いのかわからない」「事前にどのような準備が必要なのか知りたい」と悩む経営者も多いのではないでしょうか。

本記事では、M&Aに関わる専門家の種類や役割、取引の流れ、事前準備のポイントについて解説します。

M&Aの仕事を担う専門家の種類

M&Aを成功させるためには、専門的な知識や交渉力が必要です。そのため、M&Aのプロセスにはさまざまな専門家が関与します。各専門家の役割を理解し、適切な支援を受けることで、スムーズな取引が可能になります。

ここでは、M&Aにおいて重要な役割を果たす「M&A仲介会社」「ファイナンシャル・アドバイザー(FA)」「公認会計士・税理士」「金融機関」について解説します。

M&A仲介会社/アドバイザー/コンサルタント

中小企業のM&Aにおいては、M&A仲介会社が売り手と買い手のマッチングを行いながら、アドバイザリーやコンサルティングの機能も兼ねてサービスを提供するケースが多く見られます。

戦略の整理や条件交渉、クロージング支援、PMIに至るまで、取引全体を一貫してサポートするのが特徴です。

実務においては「M&A仲介会社」「アドバイザー」「コンサルタント」といった名称が使い分けられることがありますが、役割の違いは明確に分かれているわけではありません。

経営者が依頼する場合には、ワンストップ型のサービスを提供するM&A仲介会社を活用することが多いです。

ファイナンシャル・アドバイザー(FA)

上場企業や大型案件の場合には、売り手または買い手の一方に立ち、財務的な観点から助言を行うファイナンシャル・アドバイザー(FA)が関与することがあります。

FAは主に投資銀行や専門のブティックファームが担い、企業価値の評価や交渉戦略の立案、条件交渉など、より高度な財務アドバイスを提供します。

中小企業M&Aにおいては、案件の規模や複雑さによってFAを別途起用するかを検討するケースもありますが、多くの場合は仲介会社がその役割を包括しています。

このようにM&Aに関わる専門家の役割は、案件規模や企業の事情によって柔軟に構成されます。

公認会計士・税理士

公認会計士や税理士は、M&Aにおいて財務・税務の専門家として重要な役割を果たします。主に財務デューデリジェンスを担当し、財務リスクや税務上の問題点を分析します。企業価値評価(バリュエーション)については、M&Aアドバイザーや投資銀行と連携しながら実施されることが一般的です。

金融機関

金融機関はM&Aに必要な資金調達を支援し、一部の銀行は買収先の紹介も行います。特に銀行は、取引先企業の財務状況を把握しているため、売り手・買い手双方にとって有力な選択肢となります。

金融機関はM&A資金の融資や買収のためのファイナンススキームを提供し、企業の成長を支援します。銀行系M&A支援の強みは、長年の取引を通じた信用情報や業界ネットワークを活かせる点にあります。

M&Aの基本的な流れと仕事内容

M&Aは、初期の相談から企業探索、価値評価、交渉、契約締結、そしてPMI(統合プロセス)まで、複数のステップを経て進行します。

各段階では専門家の関与が必要になり、それぞれのプロセスを適切に進めることで、取引の成功確率を高めることができます。

ここでは、M&Aの基本的な流れと、それぞれの段階での仕事内容について解説します。

【初期相談】M&Aの目的整理・戦略立案

M&Aを成功させるには、明確な目的を持ち、適切な戦略を立案することが重要です。事業の成長、競争力の強化、後継者問題の解決など、M&Aを実施する理由を明確にすることで、適切な手法やスキームを選択できます。

目的が不明確なまま進めると、買収後の統合や経営方針にズレが生じ、期待した成果が得られないことがあります。そのため、初期段階でM&Aの意義を整理し、具体的なゴールを設定することが求められます。

このプロセスでは、M&A仲介会社やアドバイザーと相談し、自社に最適なM&Aの進め方を検討することが有効です。専門家の意見を取り入れることで、M&Aの方向性が明確になり、スムーズな進行につながります。

【企業探索・マッチング】売却・買収先の選定

M&Aの成功には、適切な売却先または買収先を見つけることが不可欠です。売り手企業は、希望する条件に合う買い手を探し、買い手企業は成長戦略に適したターゲット企業を見極める必要があります。

企業探索には、仲介会社やアドバイザーのネットワークを活用することが効果的です。候補企業をリストアップし、秘密保持契約(NDA)を結んだうえで、詳細な情報を提供し合い、相互理解を深める流れになります。

売却・買収先の選定が適切に行われないと、事業シナジーが生まれず、M&A後の運営に支障が出る可能性があります。そのため、業界動向や企業の財務状況、経営方針などを十分に考慮し、慎重に相手を選ぶことが大切です。 

【企業価値評価】バリュエーションの重要性

M&Aにおいて、適正な価格での取引を実現するためには、企業価値の評価(バリュエーション)が欠かせません。売り手企業は適正な売却価格を算定し、買い手企業はその価格が妥当であるかを確認することで、交渉をスムーズに進めることが可能です。中小企業のM&Aにおいては、主に以下の2つの評価アプローチが用いられています。

1つ目は、「時価純資産価値+のれん価値」のアプローチです。これは、まず企業の純資産を時価に評価した上で、将来の超過収益力やブランド力、顧客基盤など無形資産としての「のれん価値」を加味して企業価値を算出する方法です。日本国内の中小企業M&Aでは、特に一般的に活用されています。

2つ目は、「マルチプル法(収益倍率法)」です。この手法では、EBITDAや税引前利益などの財務指標に、業種別の市場倍率を掛けて企業価値を導き出します。たとえば「EBITDAの5倍」「税引前利益の3~5倍」といった評価が行われるのが一般的です。収益力をベースに評価するシンプルな方法として、多くの実務で用いられています。

なお、DCF法(将来キャッシュフローを現在価値に割引く方法)は、上場企業や大型案件において活用されることが多いものの、中小企業M&Aでは使われるケースは限定的です。

売り手としては、保有資産を適正に時価評価するとともに、安定的な利益を継続して示すことが、企業価値を高める上で非常に重要な要素となります。評価の手法だけでなく、日頃の経営体制や数字の見せ方によって、買い手の印象や交渉結果が大きく変わる可能性があるため、専門家と連携しながら準備を進めることが重要です。

【交渉・契約】デューデリジェンスと契約締結

M&Aの交渉段階では、企業価値評価をもとに売却価格や取引条件を決定し、最終契約の締結を目指すことが重要です。そして、この過程では、買い手企業が売り手企業の財務状況や法務リスクを詳細に確認するデューデリジェンス(DD)が欠かせません。

デューデリジェンスでは、財務、法務、税務、人事などの多角的な視点から企業の健全性を精査します。さらに、問題が発見された場合は、契約条件の修正や買収価格の見直しが必要になるのです。

ただ、適切なデューデリジェンスが行われないと、買収後に予期せぬリスクが顕在化し、経営に悪影響を及ぼす可能性があります。事前に潜在的なリスクを洗い出し、契約締結前に適切な対応策を講じることが望ましいでしょう。

【PMI(統合プロセス)】M&A後の組織づくり

M&Aの成功は、契約締結だけでは終わりません。

取引成立後のPMI(Post Merger Integration、統合プロセス)を適切に進めることで、企業の成長とシナジーの実現につながります。

PMIでは、企業文化や人事制度の統合、業務フローの見直し、ITシステムの統合など、さまざまな課題に対応する必要があります。特に、従業員の意識統一やモチベーション維持が重要であり、適切なコミュニケーションと施策が求められます。

PMIが適切に行われないと、人材流出や業務の混乱が発生し、M&Aの本来の目的が達成できなくなります。買収企業と被買収企業の双方が協力し、円滑な統合プロセスを進めることが大切です。

M&Aの仕事は激務?経営者が依頼先を選ぶためのポイント

M&Aは多くの企業、専門家が関わる重要な取引であり、関係者には高度な専門知識と長時間の業務対応が求められます。そのため、M&Aの仕事は「激務」と言われることが多く、特にアドバイザーや仲介会社の担当者は、多忙な日々を送っています。

ここでは、M&Aの仕事が激務とされる理由と、依頼先を選ぶ際の注意点について解説します。

M&Aの仕事が激務と言われる理由とは?

M&Aの仕事は、高度な専門知識と柔軟な対応が求められ、長期間にわたる交渉や膨大な資料チェックを伴います。そのため、担当者は多忙な状態に置かれがちになります。

M&Aの案件は一つひとつ異なり、業種や企業規模、財務状況などが異なるため、担当者は各案件ごとに最適な戦略を立てる必要があります。取引先のニーズを理解しながら、交渉や手続きが円滑に進むよう調整するには、幅広い知識と経験が求められます。

また、M&Aの交渉は長期にわたることが多く、突発的な対応を求められる場面も少なくありません。特に最終段階の契約締結前には、価格や条件の見直し、デューデリジェンスの結果を踏まえた調整などが頻繁に発生します。買い手・売り手の双方が納得できる条件を引き出すためには、粘り強い交渉力と調整力が必要になります。

さらに、デューデリジェンスや契約業務では、企業の財務状況や法務リスクを詳細に調査しなければなりません。数百ページに及ぶ資料を精査し、不明点があれば関係者に確認しながら進めるため、時間的な負担が大きくなります。契約締結直前には多くの書類をチェックしなければならず、徹夜作業が発生することもあります。

激務な環境で働くM&Aの専門家に依頼する際の注意点

M&Aはアドバイザーや仲介会社の担当者が適切な対応をしてくれるかどうかが、取引の成功に直結します。多忙な担当者に依頼する場合は、「対応の質」「案件の優先度」「サポート体制」をしっかりと確認することが重要です。

M&Aアドバイザーや仲介会社の「対応の質」は、初回の相談時に見極めることができます。具体的には、質問に対するレスポンスの速さや、企業の課題に対する理解度をチェックすると良いでしょう。事務的な対応ではなく、経営者の立場に立って最適な提案をしてくれる専門家を選ぶことが大切です。

また、担当者が抱えている案件の数も重要な判断基準になります。多くの案件を同時に担当している場合、個々の案件にかけられる時間が限られてしまいます。依頼先がどの程度の案件を抱えているのか、チームで対応できる体制が整っているのかを事前に確認することが必要です。

さらに、担当者のリソース不足が取引のリスクになることを考慮し、サポート範囲を事前に確認することも重要です。特に、契約締結後のPMI(統合プロセス)まで対応してくれるのか、また、税務や法務の専門家と連携しているのかをチェックすることで、スムーズなM&Aを進めることができます。

M&Aの仕事を依頼する際に経営者が準備すべきこと

M&Aを成功させるためには、経営者が事前に準備を進めておくことが不可欠です。準備が不十分な場合、交渉が難航したり、適切な評価を受けられなかったりするリスクがあります。そのため、事前に財務データや事業計画を整理し、社内調整を行うことが求められます。

ここでは、M&Aの準備段階において経営者が対応すべきポイントについて解説します。

財務データ・事業計画の整理

M&Aをスムーズに進めるには、財務データや事業計画を整理し、買い手が適正な企業価値を判断できるようにすることが重要です。

財務諸表や資産・負債の詳細な情報が整理されていないと、買い手側のデューデリジェンスが円滑に進まず、交渉が長引く可能性があります。

財務データが不十分な場合、企業価値が低く見積もられたり、想定外の税務リスクが発生したりすることがあります。さらに、売却後のスムーズな引き継ぎにも支障が出るため、正確な情報を整理し、事前に提供できる状態にしておくことが大切です。

そのため、最新の決算書や試算表、資産負債の明細、主要契約書類などを準備し、必要に応じて専門家の助言を受けながら財務状況を明確にしましょう。

また、将来の事業計画も整理し、買い手に対して企業の成長性や魅力を具体的に伝えることが求められます。

社内調整とM&Aの進め方の共有

M&Aを円滑に進めるためには、社内での調整と情報共有を計画的に行うことが不可欠です。特に売却を検討している経営者にとっては、社内の信頼関係や組織の安定を維持しながらM&Aを進めることが、スムーズな取引とその後の引き継ぎに大きく影響します。

経営層や幹部社員がM&Aの意図を理解していない場合、売却の過程で反発や不安が生じる可能性があります。また、従業員が突然M&Aの事実を知らされると、動揺や不信感が広がり、業務に支障をきたすリスクも考えられます。

そのため、M&Aを検討する初期段階で、信頼できる幹部や関係者に対して意図や背景を丁寧に説明し、段階的に協力体制を構築していくことが重要です。取締役会での早期承認を得て、社内の意思統一を図ることで、買い手企業との交渉もスムーズに進行しやすくなります。

さらに、従業員への情報開示についても、買い手と協議の上でタイミングと方法を慎重に決める必要があります。従業員が安心して業務を継続できる環境を整えることで、M&A後の事業継続性にも好影響をもたらします。

オーナー経営者は、社内外の信頼関係を守るためにも、関係者との対話を大切にしながら、段階的かつ計画的に情報を共有し、M&Aを進めていくことが求められます。

まとめ|適切な専門家を選んでM&Aを成功させましょう

M&Aを成功させるためには、適切な専門家を選び、プロセスごとの対応を慎重に進めることが重要です。

企業価値評価や交渉、デューデリジェンスなど各段階で専門知識が求められるため、信頼できるM&A仲介会社やアドバイザー、公認会計士等と連携しながら進めましょう。

M&Aは契約締結がゴールではなく、統合後の組織運営(PMI)が大切です。売却・買収の目的を明確にし、適切な準備を整えることで、企業の成長につながるM&Aを実現しましょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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