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法人の清算とは?手続きの流れや費用、解散や破産との違いを解説

清算・廃業・解散 / 清算

  • 公開日2025.04.30
  • 更新日2025.04.30

法人の清算とは?手続きの流れや費用、解散や破産との違いを解説

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会社を閉じる際に必要となる「清算」は、事業活動を終えるうえで避けては通れないプロセスです。しかし、「解散」や「破産」との違いが分からず、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、法人清算の基礎知識から具体的な手続きの流れ、発生する費用などについて解説します。

法人の清算とは?

法人の清算とは、会社が解散したあとに、残された財産や負債を整理して法人格を完全に消滅させる手続きです。清算には通常清算と特別清算の2種類があります。

通常清算

通常清算とは、会社の債務超過がなく、比較的穏便に事業を終了する際に選択される一般的な清算方法です。

この手続きは、まず会社の解散決議を行い、清算人を選任することから始まります。選任された清算人が、会社の資産を売却・換金し、債務を弁済し、残余財産を株主に分配することで法人を閉鎖します。

例えば、業績悪化により事業継続が難しくなったが、債務の支払いには問題がない場合、通常清算が適しています。清算期間は数カ月から1年程度が目安で、比較的短期間で完了するのが特徴です。会社を円満にたたむことを目的とした清算方法といえます。

特別清算

特別清算は、債務超過の可能性がある法人や、利害関係人とのトラブルが想定される場合に選ばれる清算方法です。

東京地方裁判所などの管轄裁判所に申立てを行い、裁判所の監督のもと清算手続きを進める必要があります。債権者保護がより強化されており、利害調整が必要なケースに適しています。

例えば、負債が資産を上回っており、通常清算では債権者との交渉が困難と判断された場合、特別清算を選択するのが一般的です。裁判所の関与があるため、時間や手間がかかるものの、法的に確実な手続きを実現できる点がメリットです。

法人の精算と解散の違い

「解散」と「清算」は同時に語られることが多いものの、意味や役割は異なります。それぞれの違いを正しく理解することが重要です。

解散とは、法人が事業を終了する意思決定を行い、活動を停止することを指します。一方、清算は解散後に行う実務的な手続きであり、資産と負債の整理を経て法人格を完全に消滅させる段階です。

つまり、解散は「終わりの意思表示」、清算は「終わらせる作業」と言えます。例えば、株主総会で会社の解散が決議されても、その後に清算が行われなければ、法人は法的には存続したままとなります。実際に法人格を消滅させるためには、必ず清算の完了が必要なのです。

清算人とは?

清算手続きを進めるうえで欠かせないのが「清算人」の存在です。清算人の役割や選任方法について理解しておきましょう。

清算人とは、解散後に法人の財産整理や債務処理を行う責任者のことです。通常は株主総会の決議によって選任され、代表取締役がそのまま清算人になるケースも多く見られます。

清算人の主な業務には、資産の売却、債権者への通知、債務の支払い、残余財産の分配などがあります。また、税務申告や清算結了登記など、法的義務も多く、非常に重要な役割を担います。

特に、特別清算においては裁判所の監督下で業務を行うため、法律知識や調整力も求められます。適切な清算人の選任が、スムーズな法人清算の成否を分けると言っても過言ではありません。

法人清算と破産はどちらを選ぶべき?

債務がある状態で法人を閉鎖する場合、「清算」と「破産」のどちらを選択すべきかは、状況により異なります。

法人が債務超過に陥っている場合、「特別清算」または「破産」が選択肢となります。どちらを選ぶかは、債権者との関係性、債務の複雑さ、手続きにかけられる時間や費用によって判断されます。

特別清算は、ある程度債権者との話し合いが可能で、裁判所の監督下で円満に整理を進めたい場合に向いています。一方、債権者との折衝が難航しそうな場合や、資産よりも負債が大幅に多い場合は、破産を選ぶ方が法的整理として適切です。

例えば、債権者が多数いて協議が困難なケースでは、破産手続きにより公平に処理することが望ましいです。最終的には、経営状況や法的リスクを慎重に見極めて選択することが重要です。

法人の清算手続きの流れ

法人清算にはいくつかのステップがあります。以下では、通常清算の具体的な手続きを順を追って解説します。

Step1. 株主総会での解散決議と清算人の選任

最初のステップは、株主総会で法人の解散を決議し、清算人を選任することです。この決議には特別決議(原則として株主総会における3分の2以上の賛成)が必要です。同時に、清算人を選出し、以後の清算手続きを担ってもらいます。

この段階では、会社の今後の方針や手続きのスケジュールなども決めておくとスムーズです。なお、議事録は登記時に必要になるため、正確に記録しておく必要があります。

Step2. 解散登記と関係機関への届出

解散決議が終わったら、2週間以内に法務局で解散登記を行う必要があります。このとき、清算人の選任登記も同時に実施します。加えて、税務署、都道府県税事務所、市区町村の役所などへ、異動届や解散届出書を提出します。

提出が遅れると、罰則が科されることもあるため注意が必要です。法人番号の登録内容変更も求められる場合があるため、事前にチェックリストを用意しておくとよいでしょう。

Step3. 財産目録・貸借対照表の作成と債権者通知

解散登記後、清算人は会社の財産状況を明らかにするために、財産目録と貸借対照表を作成します。これにより、債務整理や資産処分の優先順位が明確になります。あわせて、官報に公告を出して債権者に対し、一定期間内に債権の申出を求める必要があります。(原則2ヶ月以上)

この公告を怠ると、あとから債権者からの請求が発生する可能性があるため、慎重な対応が求められます。債権者との信頼関係を保つうえでも、丁寧な通知が重要です。

Step4. 債務の支払いと財産整理

次に、確定した債務を順に支払いつつ、会社の残存資産を整理していきます。この段階では、資産の現金化(売却・回収)を進め、債権者への弁済を実施します。債務がすべて清算された後に、残余財産があれば株主へ分配します。

清算人の手腕が問われる場面であり、誤った資産処分や優先順位のミスは法的トラブルの原因になりかねません。専門家と相談しながら、慎重かつ計画的に進めることが大切です。

Step5. 清算確定申告と残余財産の分配

清算中の法人も、通常の法人と同様に税務申告義務があります。清算確定申告では、清算期間中の利益や損失を計上し、法人税等を申告・納付します。その後、残った財産があれば、株主に対して分配を行います。

この分配も税務上の扱いがあるため、配当所得として課税されることがある点に注意が必要です。配分比率の計算ミスや税務処理の不備がないよう、税理士のサポートを受けるのが安心です。

Step6. 決算報告と清算結了登記

すべての債務処理と税務対応が完了したら、最後に決算報告を作成し、株主総会で承認を得ます。その後、法務局に対して清算結了登記を行い、法人格が完全に消滅します。これをもって法人の清算手続きは終了です。

清算結了登記には、決算報告書や株主総会議事録などの添付書類が必要です。忘れずに準備し、スムーズに手続きを完了させましょう。

法人の清算時に発生する費用

法人を清算するには、各種登記費用や税務処理費など、一定のコストがかかります。事前に把握しておくことで、予期せぬ出費を避けられます。

法人清算にかかる主な費用には、登記関連費用(約4万円)、官報公告費用(約3万円)、税理士報酬(10〜30万円程度)、清算人報酬などが含まれます。加えて、資産売却に伴う諸費用や、未払いの社会保険料・租税公課なども発生する可能性があります。

例えば、小規模な法人でも総額20〜50万円程度の出費が見込まれます。特別清算や破産になるとさらに費用が膨らむため、早期に見積もりを立てることが重要です。税理士や司法書士と連携して、無駄のないコスト管理を行いましょう。

まとめ|清算方法を適切に理解し、円滑な手続きを

法人清算は、会社を正式に終わらせるための重要なプロセスです。適切な手続きを踏むことで、法的リスクを回避し、関係者全員にとって円満な終了が可能となります。法人の清算には「通常清算」と「特別清算」があり、解散とは異なるプロセスであることを理解する必要があります。

手続きは複雑で、費用や期間もかかりますが、適切に対応すればリスクを最小限に抑えられます。清算人の選任や税務処理の正確性が特に重要であり、専門家との連携が成功のポイントです。

事業を終える決断は容易ではありませんが、清算を正しく行うことで、経営者自身の再出発にもつながります。しっかり準備を整えて、円滑な法人清算を進めていきましょう。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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