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事業DD(デューデリジェンス)とは?目的や実施の流れ、調査項目、費用相場を解説

法務 / デューデリジェンス

  • 公開日2025.05.01
  • 更新日2025.05.01

事業DD(デューデリジェンス)とは?目的や実施の流れ、調査項目、費用相場を解説

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事業DD(デューデリジェンス)は、M&Aや事業の買収・投資を検討する際に、対象事業の実態や将来性を多方面から調査・評価するプロセスです。財務や法務にとどまらず、事業そのものの価値やリスクを把握することで、買収後の経営判断がより円滑になります。

この記事では、事業DDの概要や目的、調査対象や進め方などをわかりやすく解説します。実際に専門家に依頼した場合の費用相場や、成功に導くポイントなども併せて紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

事業DD(デューデリジェンス)とは?

まずは事業DDの定義や、財務DD・法務DDとの違いを把握しておきましょう。

事業DDとは、対象事業のビジネスモデルや市場性、内部リソースなどを総合的に評価する調査手法です。財務や法務の数値分析だけでは把握しきれない、事業そのものの魅力やリスクを可視化することができます。

M&Aや投資だけでなく、事業再編や将来的な成長戦略の検討においても有益な指針を与えてくれるため、多くの企業が重視しています。

財務DDや法務DDとの違い

財務DDは企業の財務状況や収益性を検証し、法務DDは契約関係やコンプライアンス面を確認するのが基本的な役割です。一方で事業DDは、市場や競合環境のなかでのポジションや、提供する製品やサービスの優位性、経営者のビジョンなどを幅広く調査します。

こうした知見を得ることで、買収後のシナジー効果やリスク要因をより正確に見極めることが可能になります。

事業DDを実施する目的

事業DDを行う主要な目的を理解し、M&A後のリスク軽減やシナジー効果の把握につなげます。

事業DDの第一の目的は、現在および将来の事業価値を正しく評価することにあります。これにより、買収金額や投資額に見合うだけの利益が見込めるか、リスクを許容できるかを判断できます。

また、事前に事業予定先の強みと弱みを把握しておくことで、買収後の企業統合やプロジェクト推進をスムーズに行う助けにもなります。さらに、経営者の想定していないリスクを早期に洗い出すことで、契約交渉や買収後の意思決定における付帯条件の検討にも役立ちます。

事業DDの対象となる項目

実際にどのような項目が事業DDの調査対象になるのか、外部環境・内部環境など具体的にチェックしましょう。

事業DDでは広範囲にわたる要素を精査する必要があります。市場動向や企業内部の体制、さらには買収後のシナジーに関する可能性など、多角的な視点が求められます。ここでは代表的な調査対象に分類し、具体的に見ていきましょう。

外部環境

外部環境の調査では、市場動向や競合他社の状況、さらに景気や社会の変化による需要の変動などを分析します。加えて、政策や規制が事業へ与える影響も見逃せません。これらを正確に捉えることで、市場での優位性やターゲット顧客との接点をより明確に把握することが可能です。

内部環境

内部環境では、製品やサービスの競争力、経営組織や人材の質、経営者のビジョンとリーダーシップを確認します。また、組織内のプロセスや情報管理体制、従業員のモチベーションなども重要な調査ポイントです。これにより、買収後の経営統合の際に生じる可能性がある組織摩擦や人的リスクを見極めることができます。

シナジー効果

シナジー効果の調査では、自社が持つリソースや技術、販売チャネルと対象事業のアセットを組み合わせることで得られるメリットを試算します。そこにはコスト削減効果や販路拡大、新たなサービス開発などが含まれます。

一方で、実現できなかった場合のリスクや投資コストへの影響も評価材料として含め、買収後の事業計画に反映させることが大切です。

事業計画

将来の収益見込みや投資計画を含む事業計画の精査も欠かせません。これには、対象事業が策定している新製品・サービスのローンチ戦略や、どのように市場シェアを拡大していくのかといった具体的プランが含まれます。

計画の実現可能性を検討することで、買収後の収益獲得や経営方針の方向性をより明確にすることができます。

事業DDを実施する流れ・進め方

実際にどのような手順で調査を進めるか、そのフローを把握して円滑にDDを進めましょう。

事業DDは綿密な調査と分析が必要なため、しっかりとしたプロセス設計が求められます。調査チームの構成や契約についての段取りを明確にし、双方の協力体制を整えながら段階的に情報を収集・検証していくことが基本です。

以下のようなステップを順守することで、スケジュールの混乱や漏れを防ぎ、より的確な成果を得ることができます。

調査チームの構成

事業DDには、多角的な視点を持つ人材を集めることが重要です。業界知識を持つコンサルタントや、社内で対象事業に知見を有する担当者など、必要に応じて外部スタッフを含めたチームを組成します。こうした体制を整えることで、各分野の専門知識を総合的に生かした調査を実施できます。

秘密保持契約の締結

事業DDでは、対象事業に関する機密情報を扱うため、情報漏洩防止のためのNDA(秘密保持契約)が必須となります。契約には、どの範囲の情報を保持すべきかや、情報を取り扱う期間などを明確に記載します。調査を円滑に進めるには、双方の信頼関係も欠かせないため、早い段階で結ぶことが望ましいでしょう。

調査方針の決定

対象事業の事業規模や特徴によって、調査範囲が大きく異なります。そのため、優先順位や必要な調査項目の洗い出しを行い、無駄のない調査体制を構築します。十分なヒアリングと初期情報の分析をもとに、どの領域を深掘りするかを事前に決めることが調査の成功につながります。

市場分析と評価

まずは対象事業が属する市場の規模や成長率、主要プレイヤーなどをリサーチします。市場内での競合優位性を見極めることで、どの程度のシェア拡大が見込めるかや、将来的な売上計画にどれほどの現実性があるかを評価するのが目的です。的確な市場分析こそ、買収後の戦略を組み立てやすくする鍵となります。

資料の準備と分析

事業計画書や契約書、財務諸表など、関連資料を徹底的に収集し、体系的な分析を行う段階です。それぞれの資料に矛盾がないかや、将来予測が過度に楽観的ではないかなども検討します。また、補足資料を必要に応じて取り寄せることで、情報の正確性と網羅性を高めることが可能です。

ヒアリング

現場担当者や経営幹部への直接ヒアリングも重要なステップです。書類には現れない実際の運用課題や、組織風土などを把握することで、数字だけでは計り知れないリスクが見つかることもあります。これらの生の情報を分析に加えることで、より実態に即したDDが行えます。

最終報告書の作成

収集した情報を総合的に分析し、リスクや評価結果をわかりやすくまとめた報告書を作成します。報告書にはシナジーの可能性だけでなく、潜在的なリスクへの対策案や経営統合に向けた提言なども盛り込むことが望ましいでしょう。株主や経営層が買収額や条件を最終決定するうえで重要な資料となります。

事業DDの分析手法

事業DDで使用される代表的な分析手法を知り、どのように適用するかイメージをつかみましょう。

事業DDでは複数の分析手法を組み合わせて、事業の強みや成長ポテンシャルを見極めます。ビジネスモデルの構造から、競合や市場の動向、リスク評価など、多面的に検討するプロセスです。ここでは代表的な分析手法を挙げ、各手法の概要を確認していきます。

ビジネスモデル分析

対象事業の収益モデルや提供価値を整理し、どのような仕組みでお金を稼いでいるのかを明確にします。顧客セグメントやチャネル、コスト構造を分析し、ビジネスモデルに持続的な競争力があるかを評価します。しっかりとしたビジネスモデルが確立されているか否かで、事業継続の安定性が大きく左右されるのです。

SWOT分析

SWOT分析は、対象事業の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を整理する手法です。内的要因と外的要因を対比させることで、短期的なリスクや長期的な成長機会を見つけやすくなります。M&A後の施策を立案する際に、SWOT分析の結果が大きく参考になります。

マーケット分析

マーケット分析では、市場規模や成長率、顧客ニーズを定量・定性の両面から検討します。需要動向だけでなく、消費者や取引先の購買行動の変化に注目することが重要です。将来的な市場の変化に対応できるかどうかを見極めることが、買収後の事業展開を成功に導くカギになります。

競合他社分析

市場シェアや価格帯、サービスラインナップなどを比較し、対象事業の差別化要因を明確にします。競合他社が多い市場では、対象事業がどのように独自性を発揮しているかが成否を左右します。商品の特長やブランド力、技術力などを戦略的に把握し、競合優位性を整理することが欠かせません。

収益性分析

過去の財務実績や利益構造、キャッシュフローの安定度などを検証し、長期的な収益獲得の可能性を見極めます。利益率が一時的に高くても、持続性に問題がある場合には注意が必要です。また、シナジー効果でどの程度利益改善が見込めるかを試算し、投資回収期間を具体的にイメージします。

事業ポートフォリオ

複数の事業や製品ラインを保有する場合には、ポートフォリオ全体でのバランスを検討します。特に成長事業と成熟事業が混在している場合、経営リソースの配分や投資タイミングが重要です。買収によってポートフォリオ内のシナジーが高まる可能性や、新規分野への参入機会などを総合的に評価することが求められます。

事業DDを専門家に依頼する際の費用相場

実際に専門家やコンサルに事業DDを依頼する際の主な費用イメージを把握しておきましょう。

一般的に、事業DDの費用は企業の規模や調査範囲によって大きく変動します。小規模の案件なら数百万円から、大規模案件では数千万円以上が相場になることも珍しくありません。

専門家の所属するコンサルティングファームや、公認会計士・弁護士などのチーム編成によっても費用構造が変わるため、事前に複数社から見積もりを取得し、内容とコストを比較検討することが大切です。

事業DDを成功させるためのポイント

調査をスムーズかつ的確に進め、M&Aを成功に導くための重要なポイントを確認します。

事業DDは単に情報を集めるだけではなく、買収後の方針や戦略にどう活用するかが重要です。事前準備や専門家との連携を徹底し、リスクやシナジーを見極めたうえで最終的な意思決定につなげる必要があります。

以下に挙げるポイントを意識することで、調査の品質と効率性が格段に向上するでしょう。

事前準備を徹底し情報開示の精度を高める

事業DDの精度は前提となる情報の質によって大きく左右されます。調査を受ける側の企業は、必要書類やデータを整え、スケジュールや調査範囲を明確にしておくことが肝心です。そうすることで、情報の重複や漏れを防ぎ、専門家の知見を最大限に引き出すことができます。

財務・法務・税務の観点から専門家と連携する

事業DDに加えて、財務や法務、税務などの専門分野も併行して検討することで、より包括的なリスク把握が可能となります。各分野の専門家が連携し、互いの視点を補完し合うことで、見落としや重複を防ぎ、最適な買収構造や契約条件を模索できるのです。特に税務面の最適化はM&A成功のカギを握るため、早期から協力体制を整えることが望ましいでしょう。

リスクとシナジーを見極めて意思決定に活かす

DDの結果を単なる情報にとどめず、買収後の経営戦略やリスク対策に直結させることが大切です。ポジティブな面だけでなく、ネガティブなリスク要素にも対処法や代替案を検討することで、事後のトラブルを未然に防ぐことができます。シナジーとリスクを総合的に比較し、投資回収や収益増加の見通しを鑑みた上で、慎重かつ迅速に最終判断を行いましょう。

まとめ|事業DDを活用して、M&Aを成功に導くには専門家へ依頼しよう

ここまで解説してきたように、事業DDはM&Aの成否を大きく左右する重要プロセスです。正確な事業評価のためにも、専門家の協力を得ながら進めることが成功への近道と言えるでしょう。

事業DDを徹底することで、M&A後の統合プロセスや経営判断が格段にスムーズになります。特に、外部環境と内部環境の精査やリスクの洗い出しを入念に行うことで、シナジー効果を最大化し、投資の回収率を高めることが期待できます。

専門家の知見を活用して、買収先との関係構築や調査対象のビジネスモデルを深く理解し、長期的な成長戦略を描くことがM&A成功の鍵となるでしょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、事業DDを含めたM&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

 

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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