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レンタカー業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.04.21
  • 更新日2025.04.21

レンタカー業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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アフターコロナ以降、国内のレンタカー市場は徐々に回復を見せています。一方で、多くのレンタカー事業者は複数の経営課題に直面しており、解決に向けてM&Aが活用されている状況です。

本記事では、レンタカー業界におけるM&Aの最新動向を中心に、売り手企業目線のメリット・デメリット、成功のポイントを解説します。

レンタカー業界の市場動向(or現状)

「株式会社矢野経済研究所」の調査によると、2023年における国内レンタカー市場規模は、事業者売上高ベースで7,736億円とされています。都市部の居住者増加などの社会的要因も加わり、2030年には市場規模が1兆826億円まで拡大すると予測されています。

その一方で、2022年3月末時点における国内レンタカー車両の総数は約64万6,815台で、前年同期と比べると16.3%の減少となりました。このような台数減少の背景には、新型コロナウイルス感染拡大により観光客が減り、外出制限によりレンタカー需要が落ち込んだことがあります。

レンタカー業界はアフターコロナを迎え、今後は日本を訪れる外国人観光客の回復や、個人・法人における多様なニーズの活性化を背景に、レンタカーの車両数が増加すると考えられます。

【出典】株式会社矢野経済研究所「レンタカー&カーシェアリング市場に関する調査を実施(2023年)」

レンタカー業界が抱える課題

レンタカー業界では、車両管理の複雑性、デジタル化対応の遅れ、そして人材確保の困難さが主な課題となっています。これらの問題解決手段として、M&Aを検討する企業が増えました。詳しく見ていきましょう。

煩雑な車両管理

レンタカー事業における重要な課題の一つが車両管理です。車両管理業務では、運輸局への年間走行距離・貸出件数・利益額・点検実施状況などの詳細な報告が義務づけられており、これらの業務が事業者にとって大きな負担となっています。

また、業界全体での車両管理システム導入率は半数以下にとどまり、多くの事業者はいまだに紙ベースでの管理を続けているのが実情です。このような非効率な管理方法は人的ミスを引き起こしやすく、業務効率の低下を招きます。

デジタル化対応の遅れ

レンタカー業界では、中小事業者におけるデジタル化が遅れています。大手企業がオンライン予約システムやデジタルマーケティングを展開する一方で、中小事業者はホームページの充実や予約システムの導入に出遅れている状況です。

無人化・自動化技術の導入も課題です。先進企業ではタッチパネルを活用した無人貸出システムを取り入れていますが、中小事業者は資金不足やノウハウ不足から、こうした技術導入に踏み出せないケースが少なくありません。

人材確保の困難さ

観光シーズンの繁忙期における人材確保が深刻化しています。需要の季節変動が大きい業界特性から、繁忙期に対応できる柔軟な人材の確保が難しい状況です。

地方や観光地に拠点を構えるレンタカー事業者は、さらに深刻です。沖縄県など観光地には多くのレンタカー事業者が集中していますが、地域の人口減少や若年層の流出により、人材確保競争が激化しています。都市部などに比べると、人材確保が一層難しくなっています。

レンタカー業界のM&A最新動向(2025年)

2025年に入り、業界再編や事業拡大を目的とした買収・合併の動きが加速しています。ここでは、レンタカー業界のM&A最新動向をご紹介します。

デジタル化推進のためのM&A増加

昨今はデジタル化推進を目的としたM&Aが増加しています。具体的には、デジタルキーの採用や、スマホを連携させた新しい予約システムの導入など、利便性向上のためにデジタル化を図っている企業の買収案件が多く見られます。

観光地でのレンタカー事業のM&A活発化

観光地におけるレンタカー需要を見込んだM&Aも見られます。例えば、「株式会社エアトリ」は沖縄県でレンタカー事業を手掛けるため、「沖縄オープンレンタカー」を運営する「ミナト株式会社」の株式取得を実施して子会社化しました。今後も各地の観光需要に対応したM&Aが展開される可能性があります。

【出典】株式会社エアトリ「沖縄にてレンタカー事業『沖縄オープンレンタカー』を展開するミナト株式会社の株式取得のお知らせ~新たに当社の19事業目となる『レンタカー事業』を開始~」

長期レンタカーモデルを展開する企業の経営統合

長期レンタカーとは、1ヶ月以上の長期間にわたって車両を貸し出すサービスで、カーリースと比較して解約のリスクが低い特徴があります。昨今はこうした長期レンタカーサービスを展開する企業間の経営統合や、大手による長期レンタカー事業者の買収が増加しています。

レンタカー会社がM&Aで売却するメリット

M&Aを有効活用することで、レンタカー事業の継続的な成長と競争力強化が期待できます。ここでは、レンタカー会社がM&Aをするメリットについて、売り手目線でご紹介します。

後継者問題を解消できる

昨今はさまざまな業界で後継者問題が深刻化しており、レンタカー業界でも大きな課題となっています。M&Aは後継者問題を解消し、事業を存続させるための有効な手段です。第三者に事業を譲渡することで自社を存続させ、買い手企業との交渉次第で従業員の雇用を守れる可能性があります。

自社のデジタル化が加速する

大手グループの傘下に入れば、潤沢な経営資源や技術を活用できます。具体的には、オンライン予約システム・非接触型の車両受け渡し・AIによる需要予測など、先進的なシステムを導入できる可能性があります。これにより、業務効率化や収益性の改善、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。

車両調達・更新コスト負担の軽減

EVやハイブリッド車といった環境配慮型車両への移行が求められる現状において、車両調達・更新コストの負担は看過できません。M&Aで大手グループの一員となり、購買力が向上すれば、車両調達・更新を行いやすくなるでしょう。現代のニーズに適合した車両ラインナップの提供が可能となるため、市場における競争力の維持・強化につながります。

レンタカー会社がM&Aで売却するデメリット

レンタカー会社がM&Aをする際には、一般的なデメリットに加えて、業界特有の課題が生じる可能性があります。売り手側の目線で詳しく見ていきましょう。

経営方針やサービス品質の変化

地域密着型のレンタカー会社の場合、その地域のニーズに合わせて構築されてきたサービス体制が、買収企業の方針によって変更される可能性があります。特に、小規模な地域密着型レンタカー事業では、地元の顧客との信頼関係が重要な資産となっているため、関係性が損なわれると事業価値の低下を招くかもしれません。

従業員間の摩擦・衝突

異なる経営理念や価値観を持つ企業が統合する場合、従業員間の摩擦・対立が生じることがあります。特にレンタカー業界では、サービス時間の都合上、長時間勤務が一般的です。その際は、食事も店舗内で取りながら顧客対応をするなど、特有の労働環境があります。こうした文化が買収側に理解されないと、従業員の不満が高まり、優秀な人材の流出につながる可能性があります。

レンタカー会社がM&Aで売却を成功させるためのポイント

M&Aでは業界特有の要素を理解し、適切な準備に取り組むことが不可欠です。ここでは、レンタカー会社がM&Aを成功させるためのポイントをご紹介します。

車両資産を適切に管理する

レンタカー会社のM&Aでは、保有車両の資産価値が企業価値の大きな部分を占めるため、車両の状態や残存価値の評価が重要となります。車両の購入時期、走行距離、メンテナンス履歴などを詳細に記録し、透明性の高い資産管理を行うことが買い手からの信頼獲得につながります。

長期契約顧客の確保

長期契約顧客は、レンタカー事業における収益の安定性を示す指標です。とりわけ法人顧客との長期契約は、安定した収益源となるため、買い手企業から高く評価されるでしょう。リーマンショック以降、多くの企業が社有車を減らし、必要な時だけレンタカーを利用する傾向が強まりました。この流れを捉えた法人向けサービスは、買い手の関心を引きやすくなります。

デジタル予約システムの導入

近年はAIやIoT技術を活用した需要予測、オンライン予約システム、無人店舗運営の有無を重視する買い手が少なくありません。中でも自社開発の予約システムや顧客管理システムを持つレンタカー会社は、M&A市場において高い評価を受ける傾向があります。

レンタカー業界のM&A事例

最後に、レンタカー業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

株式会社エアトリによるミナト株式会社のM&A

株式会社エアトリは、2025年2月に沖縄でレンタカー事業「沖縄オープンレンタカー」を展開するミナト株式会社の株式を取得し、子会社化しました。

ミナト社はスポーツカー「マツダロードスター」など約70台を保有し、那覇を拠点にホスピタリティ重視のサービスを展開しています。

本件は、エアトリが推進する事業ポートフォリオ「エアトリ経済圏」の第19事業として新たにレンタカー事業を立ち上げるもので、既存の旅行・IT・訪日観光領域と連携したクロスセル販売や直販サイトの強化による収益拡大を見込んでいます。

旅行関連の周辺需要取り込みを通じ、サービスの多角化と地域密着型観光事業の拡大を図る動きです。

【出典】株式会社エアトリ「沖縄にてレンタカー事業「沖縄オープンレンタカー」を展開するミナト株式会社の株式取得のお知らせ」

株式会社ディー・エヌ・エーとSOMPOホールディングス株式会社による合弁会社の設立

ディー・エヌ・エー(DeNA)とSOMPOホールディングスは、2019年に個人間カーシェア事業およびマイカーリース事業に関する合弁会社を設立しました。

これにより、DeNAが運営していたカーシェアサービス「Anyca」は新会社「DeNA SOMPO Mobility」が承継し、保険・デジタル技術の融合により安心・安全なカーシェアの普及を目指しています。

また、新たに設立された「DeNA SOMPO Carlife」では、サブスクリプション型のマイカーリースを提供し、カーシェアとの連携により実質負担の軽減を実現。両社の強みを活かし、リアルとデジタルを組み合わせた新しいモビリティサービスの創出を進める戦略的な資本業務提携といえます。

【出典】株式会社ディー・エヌ・エー「DeNAとSOMPOホールディングス個⼈間カーシェア事業とマイカーリース事業の合弁会社2社を設⽴」

静岡トヨタ自動車とトヨタレンタリース浜松の会社統合

静岡トヨタ自動車とトヨタレンタリース浜松は、2025年4月1日付で会社統合を実施します。静岡トヨタを存続会社とする吸収合併方式で、レンタリース浜松の権利義務をすべて継承します。

両社はともに遠州鉄道グループに属し、自動車販売とカーリース・レンタカーという異なる分野で展開してきました。今回の統合は、モビリティサービスの多様化や「利用」志向の拡大といった市場環境の変化に対応し、経営資源の集約によって競争力の強化を図るものです。

店舗名やサービス内容は統合後も維持される予定で、地域に根ざしたブランド力を活かしつつ、トヨタグループが目指すモビリティカンパニーへの進化を支える動きとなります。

【出典】株式会社豊田レンタリース浜松「静岡トヨタ自動車とトヨタレンタリース浜松の会社統合について」

まとめ|レンタカー業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

後継者不在の解消、大手のデジタル技術活用、車両調達コスト軽減など、M&Aには多くのメリットがあります。今後も業界の成長が見込まれる今こそ、自社の強みを整理し、M&Aという選択肢を検討するタイミングに来ています。事業承継・事業売却・会社売却などに興味のあるレンタカー業界の経営者の方は、ぜひ一度M&A仲介会社にご相談ください。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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