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不動産管理業界のM&A動向(2025年)メリット/事例/成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.04.09
  • 更新日2025.04.10

不動産管理業界のM&A動向(2025年)メリット/事例/成功のポイントを解説

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不動産管理業界では、少子高齢化や空き家問題などの社会課題が深刻化する中で、多くの企業が新たな成長戦略を模索しています。こうした環境下で、事業を成長させる手段として注目されているのがM&Aです。

本記事では、2025年の最新動向を踏まえながら、M&Aのスキームを活用するメリットや成功のポイント、具体的な事例を解説します。

不動産管理業界の市場動向

住宅マンション管理やビルメンテナンスを含む不動産管理市場は、不動産市場全体の景気や新築物件の供給動向に大きく左右されるのが特徴的です。

「株式会社矢野経済研究所」が公表する国内分譲マンション管理市場の調査データによると、2022年における市場規模は、管理費ベースで8,206億円と推計されています。市場規模は拡大傾向にあり、2030年には9,764億円に達すると予測されています。

近年では、新築分譲マンションの供給戸数は微減傾向にあります。しかし、新築マンション価格や人件費の上昇にともない管理費が上昇を続けている背景から、管理費ベースでは市場成長が見られている状況です。ただし、今後の人口減少で世帯数が減少すると、新築需要が減少することから、中長期的には市場の伸びが鈍化していくと考えられます。

【出典】株式会社矢野研究所「マンション管理市場に関する調査を実施(2024年)」

不動産管理業界が抱える課題

生活インフラを支える重要な役割を果たす不動産管理業界は、いくつかの課題に直面しています。ここでは、不動産管理業界の課題について具体的に解説します。

人手不足と労働環境の課題

不動産管理業界は労働集約型産業であり、人材不足が深刻な問題となっています。管理人や修繕担当者といった現場スタッフの確保が難しく、労働負荷の増加や採用コストの上昇が経営に影響を及ぼしている状態です。また、最低賃金の引き上げや社会保険適用拡大に伴う人件費の増加も経営を圧迫しており、業界全体で大きな課題となっています。

市場競争の激化と収益性の低下

不動産管理業界では、サービス面での差別化が難しいため価格競争が激化しています。こうした競争環境が利益率の低下を招き、一度収益性が低下すると回復が難しい負のスパイラルに陥るケースも少なくありません。特に中小企業では、収益確保に向けた経営戦略の再構築が求められています。

デジタル化の遅れと業務効率化の必要性

不動産管理業界では、ITの導入が遅れていることが大きな課題の一つです。契約や報告業務をはじめとした多くの業務が依然として紙ベースで行われており、業務効率の低下や人的ミスの発生が問題視されています。

電子契約やオンライン管理システムの導入が進められているものの、中小規模の企業ではコストやノウハウの不足から対応が進んでいない場合も多く、業界全体としてデジタル化が遅れています。

不動産管理業界のM&A最新動向(2025年)

2025年における不動産管理業界では、M&Aが活発化している状況です。ここでは、特に注目すべき3つの動向について解説します。

経営者の高齢化に伴う売却・譲渡案件の増加

不動産管理業界では、経営者の高齢化が進み、事業承継を目的としたM&Aが増加傾向にあります。なかでも中小規模の管理会社が大手企業や同業他社に買収されるケースが増加中です。売り手側が事業承継の課題を解決すると同時に、買い手側は物件数を増やして収益基盤を強化できるため、双方にとってメリットのある形となっています。

異業種からの参入が活発化

不動産管理業界の安定した収益性に注目し、他業種からのM&A参入が増加しています。特に建築業界やIT業界からの参入事例が目立っており、既存の業務に新たな付加価値を加える動きが見られます。また、不動産管理業務に関連するリフォームや外壁塗装などのサービスを展開する企業が、シナジー効果を期待して不動産管理業界に進出する事例も少なくありません。

IT技術を活用したM&Aの増加

近年、不動産テックの重要性が高まり、不動産管理業務にIT技術を活用する動きが活発化しています。IT企業による不動産管理会社の買収や、不動産管理会社によるITスタートアップの取り込みなどのM&A案件が進行中です。デジタル化による効率化やサービス向上を目的としたM&Aは、2025年以降も増加が見込まれます。

不動産管理会社がM&Aをするメリット

不動産管理会社がM&Aを実施することで得られるメリットは多岐にわたります。以下では、不動産管理業界に特有のポイントに焦点を当て、売り手企業のメリットを解説します。

経営基盤の強化による安定的な事業運営

不動産管理業務には、物件管理・オーナー対応・契約事務手続きなど多岐にわたる業務が含まれ、多大な労力とコストが発生します。M&Aによって大手企業の資本傘下に入ることで、経営基盤が強化され、安定した事業運営が実現します。結果として、買い手企業の資金やシステムを活用した業務効率化が期待できるでしょう。

事業承継問題の解決

中小の不動産管理会社では、後継者不足が深刻な課題となっています。M&Aを活用すれば、適切な買い手企業に経営権を譲渡することで、事業を存続させることが可能です。これにより、廃業リスクを回避し、顧客や従業員との関係を維持できます。経営者は事業承継に伴う精神的負担を軽減し、安心して引退後の生活を計画できるでしょう。

顧客基盤の強化とサービスの拡充

近年の不動産管理業界では、リフォームや外壁塗装といった物件オーナー向けの付加価値サービスや、テクノロジーを活用した効率化サービスが注目されています。M&Aで買い手企業が持つ顧客基盤やノウハウを活用することで、売り手企業は管理物件数の拡大や新たなサービスの提供が可能になります。

不動産管理会社がM&Aを成功させるためのポイント

不動産管理業界のM&Aは、計画的かつ慎重に進めることが重要です。以下では、売り手側の成功に向けた具体的なポイントを解説します。

自社の強みを明確にし、買収側に効果的にアピールする

不動産管理会社では、地域密着型の業務や管理物件の数、顧客基盤の強さなどが自社の大きな価値となります。これらの強みを買い手企業へ明確に伝えることで、M&Aの交渉を有利に進めやすくなります。

特に、買収側が新たなエリアへ進出する目的を持っている場合は、地域特化の知識や実績が大きなアピールポイントとなるでしょう。

また、具体的な数値データや成功事例を用いて、自社の優位性を裏付ける資料を準備すると効果的です。入念な準備により、買い手企業にとっての魅力を高め、より良い条件でM&Aを実現できる可能性が高まります。

従業員の不安を解消し、円滑な引き継ぎを実現する

M&Aでは、従業員の雇用継続も非常に重要となります。不動産管理業務では長期的な顧客対応が求められるため、従業員の知識やスキルの引き継ぎがスムーズに行われることが、M&Aの成功の鍵を握ります。

従業員に対してM&A後のビジョンや雇用条件、職場環境の変化について事前に説明を行い、不安を軽減することが大切です。また、定期的なフォローアップを行うことで、従業員が新しい体制に適応できるよう支援が求められます。

専門的なM&Aアドバイザーの支援を受ける

不動産管理業界特有の課題を踏まえて、自社に最適な戦略を策定するためには、M&Aの専門家の支援を受けることが効果的です。たとえば、地域特有の市場動向や適切な買収候補の選定など、不動産管理業界の専門知識を持つアドバイザーはM&Aを成功に導く重要なパートナーとなります。

さらに、専門的な観点から契約内容や法的手続きの適正性を確保することで、トラブルのリスクを軽減し、スムーズな取引を進めることが可能です。自社の価値を最大化したM&Aを実現するために、専門家の支援を活用しましょう。

不動産管理業界のM&A事例

株式会社TAKUTOによる株式会社ワールドウィン・プロパティのM&A

2024年8月1日、TAKUTOグループは、不動産売買・管理を手掛ける株式会社ワールドウィン・プロパティ(本社:東京都新宿区)の株式を取得し、子会社化したと発表しました。

TAKUTOグループは、近年、特に首都圏での不動産管理事業の拡大に注力しており、今回の買収により、ワールドウィン・プロパティのノウハウを活用しながら、管理物件の獲得を加速させる狙いです。ワールドウィン・プロパティは2024年1月に設立された新興企業ですが、東京を中心に不動産売買や管理業務を展開しており、同社との連携により、TAKUTOグループは首都圏でのプレゼンスを強化できると考えられます。

不動産業界では、管理物件の獲得競争が激化する中で、他社との提携やM&Aを活用した事業拡大が進んでいます。今回のM&Aも、TAKUTOグループが管理事業の競争力を高め、サービスの充実を図る戦略の一環といえるでしょう。

【出典】株式会社TAKUTO「株式会社ワールドウィン・プロパティ子会社化に関するお知らせ」

株式会社アンビションDXホールディングスによる株式会社 START の賃貸管理業を運営する子会社3社のM&A

2024年7月31日、株式会社アンビションDXホールディングス(以下、アンビションDXHD)は、株式会社START(本社:東京都港区)が設立した賃貸管理事業を手掛ける3社(DRS株式会社、SPM株式会社、LTD株式会社)の全株式を取得し、子会社化しました。

アンビションDXHDは、不動産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、賃貸管理や売買仲介、少額短期保険、ライフライン事業などを展開しています。一方、今回買収した3社は、賃貸物件の管理業務全般を担っており、オーナー向けに物件の維持管理や入居者対応を行っています。これらの企業を子会社化することで、アンビションDXHDは賃貸管理事業の基盤を強化し、グループ内の不動産関連事業とのシナジーを創出する狙いがあります。

本M&Aは、賃貸管理市場におけるDX推進と、事業の多角化による収益拡大を目的とした戦略的な動きといえます。今後、同社は買収した管理物件を活用し、グループの少額短期保険や内装工事事業の拡大にもつなげていく方針です。

【出典】株式会社アンビションDXホールディングス「株式会社 START の賃貸管理業を運営する子会社 3 社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

日本駐車場開発株式会社による株式会社ロクヨンのM&A

2023年4月7日、日本駐車場開発株式会社(以下、日本駐車場開発)は、完全子会社である株式会社ロクヨン(本社:東京都渋谷区)を吸収合併することを決定しました。合併の効力発生日は2023年7月1日を予定しています。

日本駐車場開発は、駐車場の総合コンサルティング事業を展開しており、グループ全体の事業効率化と企業価値の向上を目的として、今回の組織再編を実施します。ロクヨンは不動産の売買・賃貸・管理業務を手掛けていましたが、経営成績は低迷しており、直近の決算では純資産がマイナスとなっていました。

本合併により、日本駐車場開発は事業の整理・統合を進め、経営資源の最適化を図ります。M&Aによる新規事業の展開と並行して、既存事業の効率化を進めることで、より強固な経営基盤の構築を目指す動きといえるでしょう。

【出典】日本駐車場開発株式会社「連結子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ」

まとめ|不動産管理業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

不動産管理業界におけるM&Aは、事業規模の拡大や新たな地域への進出、経営課題の解決など、多くのメリットをもたらします。一方で、成功させるためには業界特有の課題や注意点を理解し、慎重にプロセスを進める必要があります。

売り手側は自社の強みを分析し、魅力的にアピールすることが不可欠です。また、従業員の雇用維持やスムーズな引き継ぎの計画も、取引後の安定した運営には欠かせません。

これらのM&Aプロセスを円滑に進めるためには、不動産管理業界のM&Aに詳しい仲介会社への相談が大きな助けとなります。適切なアドバイスやサポートを得ることで、より良い条件での取引を実現しやすくなります。業界動向を的確に捉え、自社の価値を最大限に発揮するサポートを活用して、M&Aを成功に導きましょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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