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金属加工業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

業種

  • 公開日2025.03.27
  • 更新日2025.04.02

金属加工業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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日本の金属加工業界では、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進や環境対応を求められる中、M&A(合併・買収)による経営統合や組織再編が進められています。特に近年は中小企業を対象としたM&A案件が多くなっている状況です。

今回は、金属加工業界における市場動向やM&A情報、成功のポイントを解説します。

金属加工業界の市場動向

世界の金属加工業界・金属製造業界は、技術革新とグローバル化の波を受けて大きな転換期を迎えています。株式会社グローバルインフォメーションの市場調査レポートによると、金属加工業界の世界市場規模は2023年に218億9,000万米ドルの規模に達し、2030年までには310億2,000万米ドルまで成長すると予測されています。

一方、日本の市場規模も見てみましょう。経済産業省の「2022年経済構造実態調査(二次集計結果)」によると、金属加工業界の市場規模は製造品出荷額ベースで15兆8,811億円に達しています。

さらに国内の事業所数は3万648か所におよび、製造業の中で最多です。従業員数は61万218人となっており、雇用面においても重要な役割を担う業界だといえます。

【出典】株式会社グローバルインフォメーション「金属加工製品市場:製品タイプ、エンドユーザー産業、材料タイプ、加工プロセス、用途、顧客タイプ別-2025-2030年世界予測」

【出典】経済産業省「2022年経済構造実態調査(二次集計結果)」

金属加工業界が抱える課題

近年の金属加工業界では、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進や環境対応が経営の重要課題となっています。設備投資の需要が増加し、より効率的な生産体制の構築が求められている状況です。

加えて、少子高齢化の影響による事業承継問題が深刻化しており、中小企業を中心にM&Aが活発に行われています。ここでは、金属加工業界が抱える課題をご紹介します。

競争の激化

金属加工業界では、グローバル市場における競争が年々厳しさを増しています。特に、アジア諸国の製造業との価格競争が激しく、従来の事業モデルでは収益の確保が難しい状況です。

さらに、自動車産業の電動化にともない、従来の鉄鋼材料からCFRP(炭素繊維強化プラスチック)などの新素材への移行が進んでいます。多くの企業が市場の構造転換への対応を迫られています。

人材確保と技術継承

少子高齢化で働き手や経営者の高齢化が進む中、人材確保と技術継承の問題が深刻化しています。高度な技術力やノウハウを有する企業であっても、親族や従業員に適切な後継者が見つからず、事業継続を断念せざるを得ないケースが少なくありません。こうした問題を解決するためにM&Aを活用する事例が多く見られます。

技術革新への対応

金属加工業界では、技術革新への対応が企業の競争力に大きな影響を与えます。ところが、最新の加工技術を導入するには多額の設備投資が必要なため、企業の負担が大きくなります。

加えて近年は環境規制の強化により、環境負荷の低減や有害物質の使用制限への対応が不可欠です。これらの課題に対応するには、外部との連携や共同研究などの戦略的な取り組みが欠かせません。

金属加工業界のM&A最新動向(2025年)

昨今の金属加工業界では、技術力の強化や事業拡大を目的とした戦略的なM&Aが活発化しています。ここでは、2025年における金属加工業界のM&A最新動向をご紹介します。

技術獲得を目的としたM&Aの増加

近年は、新技術を迅速に取り入れる手段としてM&Aを活用する動きが見られます。たとえば、プレス加工や切削加工など特定の技術を有する企業を買収すると、即戦力となる技術基盤を確保することが可能です。

特に精密加工分野では、大手企業が高度な技術を持つ中小企業を買収するケースが増えています。

異業種間のM&Aによる事業領域拡大

製造業と商社の連携による垂直統合型M&Aが増加傾向にあります。商社が持つグローバルな販売網と製造業の技術力を組み合わせることで、在庫管理の効率化や物流コストの削減、国際競争力の向上が期待できるでしょう。

このほかに、製造から販売までのサプライチェーン全体を一元管理できるメリットも大きいといえます。

再生・再編を目的としたM&Aの進展

経営者の高齢化や後継者不足を背景に、事業継続が困難な中小企業に対する「救済型M&A」が注目されています。M&Aによる事業再編を通じて、競争力を強化し、市場の変化に柔軟に対応する企業も少なくありません。

自社の市場規模拡大や競争力強化だけでなく、再生・再編を目的としたM&Aが盛んに行われています。

金属加工会社がM&Aをするメリット

M&Aは、後継者問題を抱える中小企業にとって、企業価値を維持しながら次世代へと継承するための重要な手段の一つです。ここでは、売り手側の金属加工会社がM&Aを検討するメリットをご紹介します。

長年培ってきた技術の存続が可能

M&Aを活用することで、自社の貴重な技術資産を失うことなく、次世代へと引き継げます。精密加工や特殊金属処理技術をはじめとした、長年にわたり磨かれてきた職人技や企業独自のノウハウを保全するために、M&Aが効果的です。

後継者不在問題の解決

健全な経営状態を維持しているものの、適切な後継者が見つからず、廃業を検討せざるを得ない金属加工会社が少なくありません。こうした企業はM&Aで事業を存続できる可能性があります。買い手企業との連携によって、後継者不在問題を解決し、自社の新たな成長の可能性が広がります。

従業員の雇用確保

M&Aによる事業承継で、金属加工の技術を有する従業員の雇用を維持できる可能性があります。例えば、株式譲渡では既存の雇用契約をそのまま維持することが可能です。また、事業譲渡でも新たな雇用契約を結ぶことによって、従業員の雇用を確保できる可能性があります。

金属加工会社がM&Aをするデメリット

M&Aによって企業の成長や発展が期待できるものの、取引ではさまざまなリスクを踏まえた上で、慎重な対応が求められます。続いて、売り手側のデメリットを見ていきます。

技術流出のリスク

M&Aの過程で従業員が離職したり、機密情報が流出したりすると、長年の経験と試行錯誤によって確立された製造技術やノウハウが社外へ流出するリスクが高まります。技術流出を防ぐためには、情報管理を徹底するとともに、従業員の定着施策を講じましょう。

従業員の適応に関する課題

M&A成立後の組織統合では、従業員の心理的な不安や職場環境の変化に対して、適切に対応しなければなりません。人材流出を防ぐためにも、従業員とのコミュニケーションを充実化し、適切なサポート体制を整えることが大切です。

顧客との関係悪化が懸念

経営体制の変化は、既存顧客との信頼関係にも影響を与えかねません。例えば、経営方針の見直しにともない取引条件や価格設定の変更が行われると、顧客との関係に悪影響を及ぼすリスクがあります。

金属加工会社がM&Aを成功させるためのポイント

円滑なM&Aを実現するためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。ここでは売り手企業の目線でM&Aを成功させるポイントをご紹介します。

技術的な強みの明確化

独自の加工技術や製造ノウハウといった強みを買い手企業へ積極的にアピールしましょう。特に金属加工会社の場合は、自社の技術資産を明確に整理し、買い手にメリットを伝えることで、M&A交渉における優位性を確保しやすくなります。

適切な売却戦略とタイミングの見極め

業界の市場環境や経営状況を見極めて、戦略的なアプローチを取りましょう。適切な売却のタイミングを見極めることがM&Aの成功を左右します。単に売却を急ぐのではなく、相手先とのシナジー効果を踏まえて相乗効果を最大限に引き出せるよう、慎重に検討する必要があります。

透明性の確保と信頼関係の構築

M&Aプロセスでは取引先との信頼関係を構築するために、製造ライン統合の手順や、品質基準の統一方法、設備メンテナンス契約の取り扱いなどを話し合う姿勢を見せることが大切です。

デューデリジェンスでは「品質管理体制」「技術者の保有資格」「受注管理体制」などの入念な調査が行われるので、M&A専門家と連携しながら協力的に取り組みましょう。

M&Aプロセスを円滑に進めるためには、買い手企業はもちろん、自社の従業員や既存の取引先を含む関係者との透明性の高いコミュニケーションが欠かせません。なかでも従業員の雇用継続や取引先との信頼関係の維持については、特に配慮が必要です。M&Aの成立後は、関係者が納得し不安を払拭できるよう丁寧な説明を心掛けましょう。

金属加工業界のM&A事例

UTグループ株式会社による株式会社日立茨城テクニカルサービスのM&A

UTグループ株式会社は、2023年10月30日、株式会社日立茨城テクニカルサービスの株式51%を取得し、子会社化することを発表しました。

UTグループは、「キャリアプラットフォーム」構想のもと、人材サービスの強化を進めており、本件はその「ソリューション戦略」の一環として位置付けられています。日立茨城テクニカルサービスは、日立製作所の製造子会社として、電気機械や金属加工製品の設計・製造請負、人材派遣を手掛けており、約650名の従業員が日立グループのモノづくりを支えています。UTグループは、この買収を通じて大手企業グループの人材流動化支援を強化し、より高度なサービスの提供を目指しています。

近年、製造業では技術者不足が深刻化しており、専門性の高い人材派遣・請負サービスの需要が高まっています。本件は、UTグループが大手製造業向けの人材サービス基盤を強化する戦略の一環であり、今後の市場動向にも影響を与える可能性があります。

【出典】UTグループ株式会社「株式会社日立茨城テクニカルサービスの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

フジオーゼックス株式会社による株式会社ピーアンドエムのM&A

フジオーゼックス株式会社は、2024年3月28日、株式会社ピーアンドエムの全株式を取得し、子会社化することを決議しました。

フジオーゼックスは、中期経営計画において「新規事業のスタートおよび基軸への成長」を掲げており、本件はその一環となります。ピーアンドエムは、1998年の設立以来、ファクトリーオートメーション機器などの精密部品を高い技術力で生産し、堅実な成長を続けてきました。両社の「ものづくり」に対する理念が共通していることから、相互の強みを生かし、部品メーカーを取り巻く社会課題の解決や、新分野への参入を加速させる狙いがあります。

本件により、フジオーゼックスは事業領域の拡大を図るとともに、グループ内での経営資源の共有や事業提携を進め、新たな価値創造を目指します。製造業においては、精密部品の需要が高まり続けており、同社の成長戦略の一環としても重要なM&Aとなるでしょう。

【出典】フジオーゼックス株式会社「株式会社ピーアンドエムの全株式取得に関するお知らせ」

株式会社山王による株式会社明王化成のM&A

株式会社山王は、2024年11月18日に株式会社明王化成の全株式を取得し、完全子会社化することを発表しました。本件により、山王は明王化成が持つ幅広い射出成形技術を獲得し、プレス・めっき・インサート成形を含めた一貫加工体制を確立することで、さらなる競争力の強化を図ります。

明王化成は、1969年の設立以来、合成樹脂成形加工や電子部品の組立・販売を手掛け、安定した事業基盤を築いてきました。山王は、本件を通じて自社のコネクタ関連事業との相乗効果を生み出し、営業ネットワークを活用した新規顧客の開拓や、技術・人材の共有による成長を目指します。

近年、電子部品業界では、高精度な樹脂成形技術への需要が高まっています。本件M&Aは、山王がこうした市場ニーズに対応し、ビジネスの拡大を加速する重要な一手となるでしょう。

【出典】株式会社山王「株式会社明王化成への出資に関するお知らせ」

まとめ|金属加工業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

金属加工業界では、事業承継や競争力強化を実現する戦略的な取り組みとしてM&Aが活用されています。売り手側はM&Aによって多くのメリットを得られる一方で、従業員の定着や顧客との信頼関係維持のために配慮しなければなりません。M&Aを成功へ導くためにも、専門家である仲介会社などのサポートを受けながら、適切な手順に沿って手続きを進めましょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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