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マッサージ業界のM&A動向(2025年)メリット/事例/成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.04.24
  • 更新日2025.04.24

マッサージ業界のM&A動向(2025年)メリット/事例/成功のポイントを解説

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マッサージとは、狭義では国家資格を持つ「あん摩マッサージ指圧師」が行う施術を指します。鍼灸院やあん摩マッサージ指圧、柔道整復などの事業は国家資格が必要です。ただ、国家資格が不要なリラクゼーションサロンなどもマッサージ業界に含まれるのが一般的です。

マッサージ業界は、需要の増加とともに競争が激化しており、企業の成長戦略としてM&A(合併・買収)が注目されています。本記事では、2025年のマッサージ業界におけるM&A動向を分析し、成功に向けたポイントを解説します。M&Aを検討している方は、業界の最新動向を押さえ、最適な戦略を立てる参考にしてください。

マッサージ業界の市場動向

マッサージ業界は、近年急速に変化しており、市場規模は拡大傾向にあります。株式会社矢野経済研究所の調査によると、2023年における柔道整復・鍼灸・マッサージ市場は前年比103%の9,850億円となりました。

この市場は、新型コロナウイルスの影響で2020年に一時的な落ち込みを見せましたが、2021年には患者数がほぼ回復し、需要が再び高まりました。在宅勤務の増加に伴う肩こりや腰痛、眼精疲労などの症状が増え、マッサージサービスの需要が高まったことが背景にあります。

さらに、柔道整復師や施術所の数は増加しており、1998年の養成施設規制緩和以降、競争の激化が進んでいる業界といえるでしょう。同業者間の競争が激しくなり、差別化を図るためにサービスの質の向上が求められるようになっています。また、保険対象外の施術に対する需要も高まり、整骨院やマッサージ店は自費診療の割合を増やし、顧客のニーズに応える形でサービス内容を拡充しています。

加えて、デジタルマーケティングが重要な要素として浮上中です。SNSやWebサイトを活用した集客手段が業界内でますます重要となり、マッサージ店もオンラインでの集客や予約システムの導入を積極的に進めています。このように、市場は拡大している一方で、競争は激化し、差別化やサービスの質を向上させることが経営の鍵となっているのです。

【出典】株式会社矢野経済研究所「2024年 柔道整復・鍼灸・マッサージ市場に関する調査を実施」

マッサージ業界が抱える課題

マッサージ業界は、顧客ニーズの変化や競争の激化などさまざまな課題を抱えています。ここでは、業界が直面している主要な課題について解説します。

人材確保の困難

マッサージ業界における最大の課題の一つは、優秀なマッサージ師や鍼灸師などの人材確保の難しさです。特に、国家資格を持つ施術者が不足しており、顧客からの信頼を得るために高い技術を持つ人材の確保が急務となっています。この人材不足は業界全体の成長を阻む要因となっており、スタッフの育成や教育体制の強化が求められています。

競争の激化

マッサージ業界は、リラクゼーション市場や整形外科など、周辺業種との競争が激化しています。技術力の高さだけではなく、サービスの差別化が求められている状況です。

法規制と規制対応

マッサージ業界では、施術に関する法規制や保険適用条件が複雑であり、これらの規制に対応することが大きな課題となっています。特に、保険適用に関するルールが変更される可能性があるため、施術所側は対応するための準備が必要です。また、M&Aを通じて事業を統合する際には、規制に関する知識や対策も重要となるため、専門的なアドバイスが求められます。

マッサージ業界のM&A最新動向(2025年)

マッサージ業界では、競争の激化や人材不足などの課題を背景に、M&Aを活用する動きが見られます。ここでは、2025年のマッサージ業界におけるM&Aの最新動向について、主要なポイントを解説します。

有資格者確保を目的としたM&A

マッサージ業界では、国家資格を持つ施術者の確保が大きな課題となっています。こうした中、経験豊富な柔道整復師や鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師などの人材を確保するために、既存の施術所をM&Aで取得するケースがあります。

新規開業では有資格者をゼロから育成する必要があります。しかし、M&Aであれば即戦力となる人材を確保できるため、短期間で事業拡大を図る企業にとって有効な手段となっています。

多角化・新たなビジネスモデル構築を目的としたM&A

従来のマッサージサービスだけでは競争力を維持することが難しくなっている状況を受け、事業の多角化を目的としたM&Aが行われる事例もあります。例えば、リラクゼーション業態や美容関連サービスを組み合わせることで、より幅広い顧客層を取り込む戦略が見られます。また、デジタル化による集客力強化を視野に、オンライン予約システムやサブスクリプション型サービスの導入を目的としたM&Aを行う例もあるようです。

小規模事業者の承継を目的としたM&A

マッサージ業界では個人経営の店舗が多いことから、小規模M&Aの案件も珍しくありません。例えば、多店舗展開を目指す企業が、安定した顧客基盤を持つ個人経営の店舗を取り込むことで、事業拡大を目指すパターンがあります。このような流れは今後も続くと考えられ、業界全体の再編が進んでいくでしょう。

マッサージ店がM&Aで売却するメリット

マッサージ業界におけるM&Aの売却は、単なる事業譲渡にとどまらず、経営者にとって多くの利点をもたらします。ここでは、売り手側の目線で、M&Aを活用することによる具体的なメリットについて解説します。

経営基盤の強化と安定化

大手企業や資本力のあるグループの傘下に入ることで、財務基盤の安定や集客力の向上が期待できます。特に、フランチャイズ展開や多店舗運営を行う企業に売却することで、知名度のあるブランドの一員として経営を継続できる可能性があります。

売却益の確保と資金の有効活用

M&Aによってまとまった売却益を得られると、引退資金や新規事業の立ち上げ資金として活用できます。また、赤字経営や経営難の店舗でも、立地や設備、人材に価値を見出す買い手がいるため、一定の売却額を得られる可能性があります。

退店コストの削減

賃貸物件の解約時には、原状回復費用や家賃の支払いが発生しますが、M&Aによって事業を引き継ぐことで、こうした費用負担を軽減できます。買い手が店舗をそのまま活用する場合、解約予告期間を待たずにスムーズな譲渡が可能です。

後継者問題の解決

個人経営のマッサージ店では、後継者不足が大きな課題となります。M&Aによる売却を選択することで、従業員や店舗を維持しながら事業を継続でき、経営者が無理に後継者を探す必要がなくなります。

従業員や顧客への影響を最小限に抑えられる

廃業や倒産は従業員の雇用や顧客のサービス継続に大きな影響を及ぼします。M&Aによって店舗を存続させることで、スタッフの雇用維持や常連客のサービス継続が可能となり、事業承継の成功につなげられます。

マッサージ店がM&Aで売却を成功させるためのポイント

マッサージ店のM&Aを成功させるには、業界特有のポイントを押さえることが重要です。買い手にとって魅力的な条件を整え、スムーズな引き継ぎを実現するために、売却前の準備をしっかりと行いましょう。ここでは、売り手の立場からM&A成功のためのポイントを解説します。

従業員の引き継ぎをスムーズにする

マッサージ店のM&Aでは、施術スタッフの引き継ぎが重要なポイントとなります。リピーター顧客が多い店舗では、スタッフの継続勤務が買い手にとっての大きな価値となります。M&Aの話を進める際には従業員と十分なコミュニケーションを取り、不安を解消しておくことが大切です。また、給与体系や雇用条件の変更がある場合は、買い手との交渉段階で従業員の待遇を明確にし、納得感を持たせる工夫が求められます。

店舗の設備や施術環境を整える

買い手が安心して事業を引き継げるよう、店舗の設備や施術環境を整えておくことも重要です。施術ベッドやタオルウォーマー、オイル・クリームの保管状況などが適切かをチェックし、必要に応じてメンテナンスを行いましょう。

設備の老朽化が進んでいると買い手にとって追加の投資が必要になり、売却価格の交渉に影響を与える可能性があります。事前に状態を確認し、改善できる部分は対応しておくと良いでしょう。

顧客情報や予約システムを整理する

マッサージ店は、リピーター顧客の存在が店舗の価値を大きく左右します。顧客情報や予約データの管理が適切に行われているかを確認し、買い手がスムーズに引き継げる状態にしておくことが重要です。

紙のカルテを使用している場合は、電子化を検討するのも良いでしょう。また、予約システムを導入している場合は、契約状況や操作方法を明確にし、買い手にとって引き継ぎが簡単になるように整えておきます。

早めに売却準備を始める

M&Aはすぐに成立するものではなく、準備に時間がかかるケースが多いため、できるだけ早く売却準備を始めることが成功の鍵となります。特に、買い手候補を見つけるまでには時間がかかることがあるため、売却を考え始めた時点で事前準備を進めることが大切です。また、店舗の経営状況を正確に把握し、財務状況や営業実績を整理しておくと、買い手との交渉が円滑に進みやすくなります。

法的・契約面の確認を怠らない

M&Aでは、店舗の賃貸契約や従業員の雇用契約、許認可などの法的手続きが関係してきます。賃貸物件で営業している場合は、家主との交渉が必要になることもあります。契約書の内容を明確にし、買い手とトラブルにならないようにすることが重要です。専門のM&Aアドバイザーや弁護士に相談しながら、売却を進める体制を整えましょう。

マッサージ業界のM&A事例

最後に、マッサージ業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

株式会社GENKIDOによる株式会社あゆみホールディングスのM&A

株式会社GENKIDOは、2022年11月、北海道札幌市で整骨院「骨盤メディカル整骨院」を運営する株式会社あゆみホールディングスから事業譲渡を受けました。

あゆみホールディングスは、身体の歪みや深層筋に着目したソフトな施術を強みとし、交通事故対応にも専門性を有していました。全国で整骨・リラクゼーション事業を展開する

GENKIDOは、本件により北海道・札幌エリアでの展開を加速させるとともに、両社のノウハウを融合させ、中期成長戦略の実現を目指しています。

【出典】株式会社GENKIDO「株式会社あゆみホールディングスの事業譲渡契約締結のお知らせ」

株式会社ケイズグループによる株式会社光井JAPANおよび有限会社太洋メディカルのM&A

整骨院最大手の株式会社ケイズグループは、2022年3月、大阪を拠点に展開する株式会社光井JAPANと有限会社太洋メディカルの全株式を取得し、両社を完全子会社化しました。

光井JAPANは大阪南部から静岡まで14院を、太洋メディカルは大阪北部から東京まで13院を運営しており、それぞれ地域に根ざした整骨院事業を展開しています。

今回のM&Aにより、ケイズグループは事業の多角化と経営効率化を進め、市場競争に迅速に対応できる強固なホールディングス体制を築くことを目指しています。

【出典】株式会社ケイズグループ「整骨院最大手のケイズグループ『光井JAPAN』『太洋メディカル』関西大手2社の全株式を取得」

株式会社クリーン&クリーンによるQOLD株式会社のM&A

株式会社クリーン&クリーンは、2022年12月、宮城県を中心に接骨院と訪問医療マッサージを運営するQOLD株式会社を取得しました。

QOLDは、接骨院11院と訪問医療マッサージ5店舗を展開し、地域の生活の質(QOL)向上に貢献することを目指して事業を推進しています。

クリーン&クリーンにとって今回のM&Aは、医療・介護領域での事業基盤強化に直結するものであり、地域密着型サービスの拡充と成長戦略の一環として期待されています。

【出典】東洋ワークグループ株式会社「QOLD(クオルド)株式会社 グループインのお知らせ」

まとめ|マッサージ業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

マッサージ業界のM&Aを成功させるためには、業界特有のポイントを押さえ、適切な準備を進めることが重要です。従業員の引き継ぎ、設備のメンテナンス、顧客情報の整理などをしっかりと行うことで、買い手にとって魅力的な案件となり、スムーズな売却が実現しやすくなります。

また、M&Aには時間がかかるため、早めの準備と適切な専門家への相談が成功のポイントとなります。マッサージ業界のM&A動向を把握し、自店舗の希望に合った最適な売却戦略を立て、より良い条件でのM&Aを実現しましょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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