CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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- 公開日2025.04.28
- 更新日2025.04.28
YouTubeのM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説
YouTubeを含む動画コンテンツビジネスは、2023年度に9,070億円規模に到達し、2024年度にはさらに市場が拡大する見込みです。急成長する市場において、近年はYouTubeチャンネルのM&A(売買)の事例が見られるようになっています。
2025年現在、YouTubeの利用規約上は、適切な手続きを踏めばチャンネルの譲渡は可能とされています。本記事では、YouTubeチャンネルのM&A最新動向と売却のメリット・デメリット、そして売却成功のポイントを詳しく解説します。
目次
動画コンテンツビジネス(YouTube含む)の市場動向
「株式会社矢野経済研究所」の調査結果によると、2023年度の動画関連ビジネス総額は9,070億円に到達し、前年から10.5%の伸長を記録しました。注目すべきは2024年度の見通しで、さらに8.9%増の9,880億円規模へと拡大する予測が立てられています。
著しい市場拡大の主要因としては、スマートデバイスの普及率向上が挙げられます。特に、縦型動画フォーマットを活用したYouTubeショートやTikTok、Instagramリールなどの台頭により、視聴者はいつでもどこでもコンテンツを楽しめる環境が整備されました。
「総務省」が発表した「令和4年版情報通信白書」においても、2021年時点での世界のデジタルコンテンツ市場(動画・音楽・電子書籍)は14兆1,452億円規模に達し、前年比で21.7%増加していることがわかりました。オンラインコンテンツへの消費者シフトが一層加速している証といえます。
【出典】株式会社矢野経済研究所「動画コンテンツビジネスに関する調査を実施(2024年)」
【出典】総務省「令和4年版 情報通信白書」
YouTubeチャンネル運営者が抱える課題
YouTubeチャンネルの運営者は、収益化成功後も複数の課題と向き合い続けています。具体的に何が問題なのか、3つの観点からお話します。
収益の安定をおびやかすアルゴリズム変更
YouTubeが視聴者へのコンテンツ表示ルール(アルゴリズム)を更新すると、それまで安定していた収益構造が一夜にして崩れるケースがあります。毎月一定以上の収入を得ていたとしても、アルゴリズム変更後に収益が減少する可能性を考慮しなければいけません。
コンテンツ制作の継続的な負担
質の高い動画コンテンツを提供し続けることは、想像以上の労力を要します。特に中小規模の運営体制では、企画立案から撮影、編集、公開までの全工程を限られた人員でこなす必要があり、それがチャンネル運営者の大きな負担になることが少なくありません。
競争激化による差別化の難しさ
同一ジャンルの競合増加と類似コンテンツの氾濫により、動画自体が視聴者の目に留まることさえ困難になりつつあります。過密市場で存在感を示すには、独自の切り口や専門性の確立が不可欠です。競合との差別化に悩んだ結果、収益化に成功したにもかかわらず、チャンネル運営を断念するケースが見られます。
YouTubeチャンネルのM&A最新動向(2025年)
2025年のデジタルメディア取引市場では、YouTubeチャンネルを含むオンラインコンテンツ資産の評価が向上しているといわれています。ここでは、YouTubeチャンネルのM&A最新動向をご紹介します。
企業による人気チャンネル買収
既存企業により、YouTubeチャンネルの買収や業務提携が行われることがあります。メディア企業などがデジタルマーケティング戦略強化の手段として、すでに確立された視聴者基盤を持つチャンネルを取得するケースが一部で見られます。
外注化・仕組み化されたチャンネルの市場価値向上
完全に体系化された運営システムを持つチャンネルは、新オーナーがスムーズに収益化を進めやすい点で優位性を持ちます。例えば、企画立案とサムネイル作成のみをオーナーが担当し、台本作成や動画編集を外部パートナーに委託するハイブリッドタイプのチャンネルなどが代表的です。こういったチャンネルは、譲渡後も品質とコンテンツ供給の安定性を維持しやすいと考えられています。
特定ジャンル・カテゴリーの取引増加
YouTubeのM&A市場では、特定の専門分野に特化したチャンネルの需要も少なくありません。例えば、ビジネス・金融関連コンテンツ、教育系チャンネルなどの特化型コンテンツが市場で注目されるケースが増えてきているようです。
YouTubeチャンネル運営者がM&Aで売却するメリット
YouTubeチャンネルを事業資産として売買する市場は、近年急速な成長を遂げています。ここでは、自身が運営するYouTubeチャンネルを売却するメリットについてご紹介します。
収益の一括獲得
YouTubeチャンネルの譲渡における直接的な利点は、将来的に得られるはずの収益を現時点で一括獲得できることです。通常のチャンネル運営では毎月少額ずつ収益が発生します。M&Aによって長期的な収益の予測が評価されると、売却時にまとまった資金を手に入れることも可能です。受け取った資金は新規事業立ち上げや投資活動、生活基盤の強化などに活用できます。
収益が伸び悩む前に現金化
YouTubeチャンネルを含むデジタルメディア資産の価値は、市場環境やプラットフォームの方針変更によって大きく変動します。収益が好調なタイミングで売却することで、より高い評価を得やすくなるでしょう。特に、チャンネル評価が伸び悩む前に売却することで、資産の価値を最大限に活かしやすくなります。
著作権リスクの軽減
動画コンテンツ制作において常に付きまとう著作権問題は、運営上の大きなリスク要因となることがあります。チャンネルを売却することで、将来的な運営上の責任が買い手に移る可能性があります。ただし、著作権侵害が発覚した際には、元の運営者にも一定の責任が及ぶ場合があるため、契約内容を十分に確認することが重要です。
YouTubeチャンネル運営者がM&Aで売却するデメリット
YouTubeチャンネルのM&Aを行う際は、見落とされがちなリスクについて把握しておくことが大切です。ここでは、売却を検討する前に知っておきたい代表的なデメリットを解説します。
視聴者との信頼関係が揺らぐリスク
デジタルメディア資産における重要な価値は、長期間にわたって育成してきた視聴者コミュニティにあります。チャンネル譲渡後、ファンやコミュニティとの関係性が変化するかもしれません。
特に専門性を前面に打ち出したコンテンツでは、視聴者は運営者の人柄や独自の視点に共感して継続視聴を決めているケースも珍しくありません。運営主体の変更により、視聴者との信頼関係が揺らぐリスクは無視できないでしょう。
将来の収益機会の喪失
チャンネルが今後さらに成長するポテンシャルを持っている場合、現時点での売却は、長期的な収益機会を失うことにつながります。収益を逃す可能性についても考慮した上で売却を決めましょう。
個人ブランドへの影響
個人名やキャラクターを前面に出したチャンネルでは、売却後もそのイメージが残り続ける可能性があります。新たな運営者が発信するコンテンツが既存視聴者の期待を裏切るようなものであれば、元運営者の信頼やブランドイメージに悪影響を及ぼすことも考えられます。今後も活動を続ける場合、どのような影響が出るのかを想定しておきましょう。
M&Aで売却を成功させるためのポイント
YouTubeチャンネルのM&A市場は、年々活発化しています。適切な事前準備と戦略的アプローチによって、チャンネルの市場価値を最大化し、有利な条件で売却できるでしょう。ここでは、M&Aを成功させるためのポイントをご紹介します。
チャンネルの属人性を下げる仕組み化
事業価値を最大化するため、チャンネルの運営基盤が特定の人物に依存しない構造を作りましょう。買収側は「運営者の変更後も継続的に成果を出せる仕組みがあるか」という観点で投資判断を行うため、属人性の低減は市場価値を高める一つの要因となります。
チャンネル譲渡の方法とタイミングを意識
YouTubeチャンネルの譲渡を公表するタイミングと方法も重要です。告知の方法やタイミングを誤ると、視聴者の離脱を招く可能性があります。ただし、非公表のまま運営が変わると視聴者に違和感を持たれることがあるため、適切な形で周知することが望ましいでしょう。視聴者と適度にコミュニケーションを取りつつ、段階的にチャンネル運営の移行を進めることが大切です。
再生数と収益の安定性を示すデータ整備
チャンネルの市場価値を客観的に証明するデータは、M&Aにおけるもっとも説得力のある交渉材料です。単なる登録者数や累計再生数ではなく、収益性と安定性を示す体系的なデータパッケージを準備しましょう。
特に重要なのは、偶発的な“バズり”に依存しない安定した収益構造を示すことです。毎月コンスタントに一定以上の収益を生み出しているチャンネルは、投資リスクが低いと評価され、高い売却価格が期待できます。
まとめ|YouTubeチャンネルのM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう
YouTubeチャンネルを適正な価格でスムーズに売却するためには、慎重な準備と手続きが不可欠です。チャンネルの市場価値を正しく把握し、買い手にとって魅力的な条件をアピールしましょう。
そのためにも、M&A仲介会社などの専門家へ相談し、戦略を立てることがおすすめです。専門家のサポートを受けることで交渉や契約手続きも円滑に進み、トラブルを回避しながら最適な取引を実現できるでしょう。
CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。