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警備業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.04.11
  • 更新日2025.04.14

警備業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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日本の警備業界では、2025年に「大阪・関西万博」の開催を控えて、警備需要のさらなる拡大が見込まれています。一方で、国内の多数の警備会社が人材不足や後継者問題に直面しており、その深刻さは日に日に増しています。

今回は、警備業界のM&A最新動向や、メリット・デメリット、成功のポイントをご紹介します。売り手企業の視点から、M&Aを戦略的に活用するためのヒントを見ていきましょう。

警備業界の市場動向

警察庁生活安全局生活安全企画課が公表する資料「令和5年における警備業の概況」には、一般社団法人全国警備業協会が6,340件の警備業者を対象に実施した調査の結果が掲載されています。こちらのデータによると、2023年末時点での警備業者の売上高総額は3兆3,059億5,009万円でした。

また、同資料によると、警備業法第4条に基づく認定業者(4条業者)の数は、2023年末時点で10,674業者となっています。警備員数は、2023年末時点で58万4,868人となっており、このうち常用警備員が53万4,983人、臨時警備員が4万9,885人を占めている状況です。業界では、警備員数100人未満の警備業者が全体の9割近くを占めており、小規模な事業者が業界を支えている状況が伺えます。

今後は2025年に開催される大規模イベントである「大阪・関西万博」を控え、警備需要のさらなる拡大が予測されています。需要増加に対応するため、業界では人材確保や技術革新、M&Aによる経営基盤の強化が進んでいます。

【出典】警察庁生活安全局生活安全企画課「令和5年における警備業の概況」

警備業界が抱える課題

日本の警備業界では、「人材確保の困難さ」と「新技術導入の必要性」という二つの大きな課題に対して、M&Aでの解決策を探る動きが見られます。警備業界が抱える経営課題をいくつかご紹介します。

人材不足と高齢化の進行

警備業界における人材不足は深刻な状況にあります。厚生労働省が公表する「一般職業紹介状況」のデータによると、2023年における「保安の職業」の有効求人倍率は6.58倍でした。全職業の1.22倍と比較すると、平均を大きく上回る水準であることが伺えます。

特に、若手人材の確保が難しい状況が続き、業界全体の高齢化が進んでいます。この背景には、長時間労働や休日出勤の多さ、給与水準の低さなど、労働環境に関する構造的な課題があります。

【出典】厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)について 参考統計表」

地域密着型企業の競争激化

地方の中小警備会社は、人材確保の面で大手企業との競争に苦戦し、経営環境がさらに厳しさを増しています。大規模イベントの開催へ向けて警備需要の拡大が見込まれる中、中小企業の経営体制の見直しが急務となっています。

ロボット警備の導入と設備投資の負担

近年は大手警備会社を中心に、ドローンや自律移動型ロボットなど、最新技術を活用することで省人化が行われています。しかし、中小規模の警備会社にとって、これらの新技術導入にともなう設備投資は大きな財務負担となり、競争力の維持・向上に苦慮している状況です。

警備業界のM&A最新動向(2025年)

昨今の警備業界では、人材不足の課題解決や事業拡大を目的としたM&Aが多数見られます。ここでは、日本の警備業界におけるM&A最新動向をご紹介します。

大手警備会社による地域企業の買収

国内大手警備会社は、地域に根差した中小警備会社の買収を積極的に進めています。売り手となる中小企業は、大手企業の経営資源や技術を活用してサービス品質を向上させ、業務効率化を実現できます。一方で、大手企業は地域密着型のネットワークを獲得し、事業基盤を強化できるメリットがあります。

次世代警備サービスの普及と海外進出

先進的なテクノロジーを持つ海外企業との連携により、AIやロボット技術を活用した次世代の警備サービスの開発が進んでいます。また、警備業界のグローバル化にともない、日本企業の海外展開も多く見られます。とりわけアジア地域では、日本式の高品質な警備サービスへの需要が高まり、M&Aを通じた市場参入が増加傾向にあります。

警備会社がM&Aで売却するメリット

ここでは、警備会社がM&Aをするメリットを売り手目線でご紹介します。

人材確保と労働環境の改善

M&Aを通じて大手企業の傘下に入ることで、売り手側は深刻化している人手不足を解消できる可能性が高まります。場合によっては、従業員が大手企業の充実した研修制度や福利厚生を活用できるケースもあり、人材定着率の向上が期待できます。

新規市場への参入

買い手企業のネットワークや営業基盤を活用することで、新たな地域や市場への展開が容易になります。2025年は「大阪・関西万博」開催を控え、警備需要の拡大が見込まれる中、事業エリアの拡大は重要な成長戦略だといえるでしょう。

AI・ロボット警備の導入支援

技術革新が進む中、単独での先端技術導入は中小警備会社にとって大きな負担です。M&Aにより大手企業の技術力や資金力を活用することで、AI・ロボット警備などの最新技術を導入できる可能性があります。これにより、警備業務の品質向上と効率化が図れるでしょう。

警備会社M&Aで売却するデメリット

M&Aには事業継続や経営基盤の強化などのメリットがある一方で、重要な課題があります。特に売り手企業の立場では、従業員の処遇や企業文化の変化など、慎重に検討すべき要素が存在します。具体的に見ていきましょう。

売却価格が期待より低くなる可能性

警備業界は人材依存度が高く、有形資産が比較的少ないことから、企業価値評価が難しいという問題があります。とりわけ地域密着型の中小警備会社では、財務指標だけでは測れない無形の価値が多く、適正な売却価格の算定に苦慮するかもしれません。また、買収交渉期間中に業績が変動した場合、当初想定していた売却価格を下回ることもあります。

従業員の待遇や雇用環境の変化

M&A後は、給与体系や勤務条件が変更される可能性が高く、従業員の不安や混乱を招くリスクがあります。特に長年勤務してきたベテラン警備員の処遇や、地域特性に応じた勤務シフトの維持が難しくなるかもしれません。

統合後の運営課題

M&Aによる統合後は、システム統合・業務プロセスの標準化・管理体制の変更などが行われ、現場の警備サービスに一時的な混乱が生じる可能性があります。また、警備業は許認可事業であり、公安委員会の認定が必須です。買い手企業に対して、警備業の法的制約や手続きについても説明しなければなりません。

警備会社がM&Aで売却を成功させるためのポイント

M&Aは業界の特性を理解し、適切な準備と戦略立案が成功への鍵となります。ここでは、警備会社がM&Aを成功させるためのポイントをご紹介します。

交渉を有利にするための準備

安定的な収益基盤を確立し、財務内容を整理しておくことで、より有利な条件で交渉に臨めます。買い手が魅力的に感じるように、「売上構造の見直し」「契約の長期化」「コスト削減」「業務効率化」などの施策に取り組み、多数の交渉材料をあらかじめ用意しておくことが大切です。

自社に適した買い手を見つける

M&Aによるシナジー効果(相乗効果)を最大化できるパートナーを見つけることで、M&A後の事業発展が期待できます。企業文化の親和性や、技術・サービスの補完性などの観点を確認するのが望ましいといえます。また、許認可や公安委員会の管轄など、業界特有の要素を理解している買い手を選定しましょう。

従業員や取引先との関係維持

警備業は、人材が最重要資産となる業界です。M&A実施後も従業員のモチベーションを維持し、取引先との良好な関係を継続するために取り組まねばなりません。特に現場の警備員との信頼関係維持は、事業継続の観点から極めて重要です。

法的手続きや契約条件の確認

売却後の経営参加の有無や競業避止義務の有無など、重要な契約条件を事前に確認しましょう。各種許認可の継続性や法的要件の充足について、慎重な確認が必要です。

M&A専門家の活用

M&Aを検討するなら、警備業界特有の課題や規制に精通した専門家に相談すると安心です。例えば、警備業界における実績のあるM&A仲介会社のサポートを受けることで、適切なM&Aスキーム(手法)の選択や売却価格の算定、交渉戦略の立案などがスムーズに行えます。

警備業界のM&A事例

最後に、警備業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

セントラル警備保障株式会社による東亜警備保障株式会社のM&A

2023年4月、警備大手のセントラル警備保障は、栃木県宇都宮市に本社を置く東亜警備保障株式会社の株式74.7%を取得し、連結子会社化することを発表しました。

東亜警備は、栃木県を中心に常駐警備・機械警備・運輸警備を展開しており、地域に根ざした事業基盤を持つ企業です。

本件は、セントラル警備保障の中期経営計画「Creative 2025」における「グループ連携の強化」の一環で、特に同社が注力する機械警備事業の強化と、未展開エリアへの進出を目的としています。地域補完と事業シナジーの両面から成長が期待されるM&Aです。

【出典】セントラル警備保障株式会社「東亜警備保障株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

共栄セキュリティーサービス株式会社による東邦警備保障株式会社のM&A

2024年3月、共栄セキュリティーサービス株式会社は、連結子会社である株式会社セキュリティを通じて、埼玉県朝霞市の東邦警備保障株式会社の全株式を取得し、完全子会社化(孫会社化)しました。

東邦警備保障は1984年設立、施設警備や交通誘導警備、機械警備を展開しており、地域密着型の警備会社です。今回の買収により、KSSグループは関東圏での体制をさらに強化し、グループ間での連携を深めることで、営業・人材面のシナジー創出が期待されています。今後も継続的なM&Aを通じた事業拡大が見込まれます。

【出典】共栄セキュリティーサービス株式会社「当社連結子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ」

綜合警備保障株式会社によるALSOKリース株式会社のM&A

2022年4月、綜合警備保障(ALSOK)は、完全子会社であるALSOKリース株式会社を吸収合併しました。

ALSOKリースは、防犯カメラや出入管理装置などの警備・防災機器を中心にリース・割賦販売を行ってきた企業で、グループの警備サービスを支える役割を担ってきました。

今回の合併は、グループ体制の効率化を目的としたもので、ALSOK本体に機能を集約することで、経営資源の最適化と業務の一体化を図る狙いです。完全子会社の吸収によるスリムな体制構築で、今後の競争力強化に繋がると見られます。

【出典】綜合警備保障株式会社「完全子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ」

まとめ|警備業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

M&Aは人材確保・技術革新への対応・事業承継など、警備業界のさまざまな経営課題を解決する糸口になります。一方で、警備業界においては警備員の待遇や雇用環境の変化が懸念され、M&Aを検討する上で慎重に対応すべきだといえるでしょう。

業界の課題を踏まえて、M&Aによる効果を最大化するためにも、まずは警備業界に精通したM&A仲介会社にご相談ください。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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