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証券業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

業種

  • 公開日2025.04.21
  • 更新日2025.04.21

証券業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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近年の証券業界では、デジタル技術の急速な進化、多様化する顧客ニーズ、そして競争環境の激化が見られます。その対策として、事業承継・事業売却などのM&Aを検討する証券会社が増えているのです。

本記事では、証券業界におけるM&A最新動向や、売り手目線でのメリット・デメリット、成功のポイントを徹底解説します。なぜM&Aが注目されているのか、業界特有の課題とともに考えていきましょう。

証券業界の市場動向

日本証券業協会の「FACT BOOK 2024」によると、2023年度の証券業界の営業収益は前期比29.4%増の5兆4,263億円と大幅に成長しました。この数値は2017年度の約4兆1,300億円から明らかな拡大を示しています。

2007年のサブプライムローン問題や2008年のリーマンショックにより大きな収益減少を経験した証券業界ですが、その後アベノミクスによる株価上昇などを背景に業績を回復させてきました。特に2023年末は日経平均株価が2022年末比28.2%高の33,464円となり、業績好調の主要因となっています。

【出典】日本証券業協会「FACT BOOK 2024」

証券業界が抱える課題

日本の証券業界はデジタル化の進展や顧客ニーズの変化、業界再編による競争激化など、大きな変革期を迎えています。ここでは、証券業界が抱える課題をご紹介します。

業界再編と競争激化

証券業界では、規模拡大や新規市場参入を目的としたM&Aが活発化しています。具体的には、デジタル技術の導入を進める企業買収、オンライン証券同士の経営統合、「フィンテック企業」の買収が顕著です。しかし、規制強化や技術統合の難しさが課題として挙げられており、対応するための経営戦略が求められています。

顧客ニーズの多様化と専門性の要求

証券業界の顧客層は、従来の富裕層や機関投資家に加え、個人投資家や若年層へと拡大しています。これにともない、顧客が求めるサービスも多様化し、従来に比べて専門性の高いアドバイスや金融商品等が求められるようになったのです。結果、証券会社には高スキル人材の育成や、顧客ニーズに応じた柔軟なサービス提供が求められています。

証券業界のM&A最新動向(2025年)

2025年の証券業界では、企業間の買収・経営統合が急速に進んでいます。ここでは、証券業界のM&A最新動向をご紹介します。

メガバンクによる証券会社の買収・統合

メガバンクは従来の貸出業務から手数料ビジネスへの移行を進めており、その一環として証券会社の買収や傘下証券会社の再編を積極的に推進しています。この動きは金融サービスの総合化を目指す大きな流れの一部といえるでしょう。

オンライン証券会社と従来型証券会社の融合

デジタル技術の進化により、オンライン証券会社と従来型証券会社の境界が曖昧になってきています。オンライン証券会社は低コストで幅広い顧客層を持つ一方、従来型証券会社は対面サービスの質の高さで差別化を図っています。

両者を組み合わせることで、顧客はオンラインと対面の両方のチャネルを利用できるようになります。顧客基盤の拡大が可能となり、証券会社はより多様な収益源を確保できるようになりました。

異業種からの参入

異業種からの証券業界への参入が進むことで、業界の構造が大きく変化しています。例えば、不動産会社や保険会社、IT企業が証券会社を買収し、金融サービスの総合化を目指す動きが見られます。

証券会社がM&Aで売却するメリット

証券業界は現在、競争激化や規制強化などで経営環境が厳しくなっています。ここでは、証券会社が売り手になる場合のM&Aのメリットをご紹介します。

事業継続の確保と雇用維持

規制変更や経済環境の変化により、単独での事業継続が難しくなるケースが増えています。M&Aは、このような企業が事業を継続し、従業員の雇用を維持するための有効な手段です。

特に資本力・技術力が不足している中小規模の証券会社が、より大きな企業グループに加わることで、安定した事業運営が可能になります。従業員の雇用が守られるだけでなく、企業全体の競争力も向上させられるでしょう。

規制対応コストの分散と財務基盤の強化

証券業界は厳格な規制のもとで運営されており、その対応コストは年々増加しています。M&Aによって大手金融グループの一員になることで、規制対応コストを分散できるのもメリットです。さらに財務基盤が強化されるため、市場の不透明さに対する耐性も高まります。

ブランド価値の継承

長年にわたって築き上げてきたブランド価値や顧客基盤は、証券会社における重要資産の一つです。しかし、単独での経営が困難になった場合、これらの価値が失われるリスクがあります。M&Aを通じて適切なパートナーに事業を譲渡することで、ブランド価値や顧客関係を継承・保全できます。

証券会社がM&Aで売却するデメリット

証券会社のM&Aにおいては、顧客離れや人材流出について配慮する必要があります。ここでは、M&Aをする際のデメリットを解説します。

顧客の離脱リスク

M&Aの発表後、顧客が不安を抱き資産を移動させたり、ほかの会社へ移行したりするケースが頻発します。この問題を防ぐために、顧客との戦略的なコミュニケーションが必要です。

具体的には、M&A後のサービス向上や手数料体系の改善といったメリットを明確に伝え、顧客の不安を軽減しましょう。主要顧客に対しては個別説明を行い、M&A後の運営体制について丁寧に説明して安心感を与えることが重要です。

重要人材の流出リスク

証券会社では、顧客との関係構築に長けた営業担当者や専門家が重要な役割を果たしています。こういった人材の流出は深刻な問題となります。M&A後の役割・処遇を早期に明確化し、従業員が新体制に安心感を持てるようにしましょう。ストックオプションやボーナス制度などのインセンティブを活用して、長期的な定着を促すのも有効です。

証券会社がM&Aで売却を成功させるためのポイント

M&Aを成功に導くためには、適切な事前準備や買い手の選定、従業員や顧客の対応などが欠かせません。ここでは、売り手の証券会社が知っておきたいM&A成功のポイントをご紹介します。

企業価値を高める事前準備

M&Aの前準備として財務基盤を強化し、企業価値を最大化することが重要です。例えば、業務効率化や収益性の高い部門への資源集中を行うことで、魅力的な企業として評価されやすくなります。さらに貸借対照表のスリム化や不要資産の整理も、買い手にとってのリスクを軽減するための有効な手段です。

適切な買い手候補の選定

証券業界のM&Aでは、中堅規模の証券会社同士の統合や、大企業・メガバンクによる買収が多く見られます。買い手候補を選定する際は、事業シナジーが期待できるパートナーを見つけることが長期的な成功につながります。

従業員への丁寧な説明

M&Aを円滑に進めるためには、従業員への丁寧な説明と不安解消策の実施が不可欠です。証券会社にとって、人材は極めて重要な資産です。そのため、説明のタイミングや内容は慎重に判断する必要があります。

通常、M&Aのプロセスは初期検討段階から極秘に進める必要があります。開示のタイミングは以下のように異なります。

  • 上場企業が関与する場合:最終契約締結時に適時開示が必要となるため、その直後に従業員への説明を行うことが一般的
  • 非上場企業のみの場合:クロージング直後まで情報を極秘に保ち、取引完了後に従業員へ説明するケースが多い

    いずれの場合も、情報開示のステップとしては以下の流れが基本です。

    1. 経営陣や部門責任者へ共有する
    2. 全従業員を対象とした説明会を実施し、M&Aの目的・新体制・今後のスケジュール・雇用条件の維持などを明確に伝える
    3. 統合プロセス中は定期的な進捗報告や質疑応答の場を設け、不安や憶測の拡大を防ぐ

    また、従業員に対しては一貫して誠実なコミュニケーションをとることが重要です。特に優秀な人材には個別面談を通じて継続的にフォローし、信頼関係の構築を図ることが求められます。適切なタイミングで丁寧な説明を行うことで、離職リスクの軽減につなげられるでしょう。

    証券業界のM&A事例

    最後に、証券業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

    コインチェック株式会社によるSharelyのM&A

    2024年1月、マネックスグループ傘下のコインチェック株式会社は、同社が展開するバーチャル株主総会支援サービス「Sharely(シェアリー)」事業を、新設分割を経て設立される新会社に承継し、その株式をエキサイトホールディングス株式会社に譲渡すると発表しました。

    Sharelyは2020年にサービスを開始し、直感的なUI/UXと迅速な機能改善を強みに、2022年・2023年に国内トップシェアを獲得するなど急成長してきたSaaSプロダクトです。

    コインチェックは本件譲渡により、主力である暗号資産・ブロックチェーンサービスに経営資源を集中。一方、エキサイトホールディングスは、SaaS・DX領域の拡充を狙いSharelyを新たな事業の柱として迎え入れました。

    本件は、スタートアップ的プロダクトの成長フェーズにおける戦略的譲渡事例として、SaaS業界のM&Aトレンドを象徴するものです。

    【出典】コインチェック株式会社「バーチャル株主総会総合支援サービス「Sharely」の事業譲渡に関するお知らせ」

    SBIホールディングス株式会社と米CircleのM&A

    2023年11月、SBIホールディングス株式会社は、米国のCircle社と包括的業務提携に向けた基本合意書を締結しました。

    Circle社は、米ドルに100%裏付けされた規制対象ステーブルコイン「USDC」を発行する世界的フィンテック企業であり、今後両社は日本におけるUSDCの流通促進、Circle社の銀行口座の国内開設、Web3関連サービスの展開で協力します。

    日本では2023年6月に改正資金決済法が施行され、ステーブルコインに関する制度整備が進んでおり、本提携はその動きに呼応したものです。SBIグループのSBI VCトレードがUSDCの取り扱いを予定し、SBI新生銀行がCircle社に銀行サービスを提供する計画も進行中です。

    また、Circle社のプログラマブルウォレットやスマートコントラクト管理ツールなどWeb3関連インフラの導入に向けても連携が図られます。デジタル通貨インフラ構築に向けた国際連携の好例といえます。

    【出典】SBIホールディングス株式会社「SBIホールディングスとUSDCを発行する米Circle社との包括的業務提携に向けた基本合意書の締結に関するお知らせ」

    東海東京証券と髙木証券のM&A

    2019年9月、東海東京フィナンシャル・ホールディングスの完全子会社である東海東京証券株式会社は、同じくグループ傘下の髙木証券株式会社を吸収合併しました。

    存続会社は東海東京証券であり、本合併により髙木証券が築いてきた関西圏を中心とする営業基盤を取り込み、店舗や業務の統合によるサービス向上を図っています。

    さらに、髙木証券が展開していたIFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)事業を再編・拡充し、今後の新たな成長領域として展開していく方針が示されました。

    地域密着型証券会社の強みを活かしつつ、統合によるスケールメリットと経営資源の最適化を狙った本件は、中堅証券会社によるグループ内再編の好例です。

    【出典】東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社「東海東京証券と髙木証券の合併に関するお知らせ」

    まとめ|証券業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

    M&Aを成功させるためには、業界の構造変化を正確に把握することが大切です。この変革期を乗り切るため、最新動向を注視して「先を見据えたM&A戦略」を策定しましょう。

    ただし、M&Aでは高度な知識や手法が求められるため、候補先選定や手続き、契約締結などにおいて専門家の支援は必須といえます。必要に応じて、M&A仲介者などのプロフェッショナルにご相談ください。

    CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

    この記事の監修者

    阿部 泰士

    CINC Capital取締役執行役員社長

    阿部 泰士

    リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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