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小売業界のM&A動向(2025年)と事例/成功のポイントを解説

業種

  • 公開日2025.03.27
  • 更新日2025.04.02

小売業界のM&A動向(2025年)と事例/成功のポイントを解説

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小売業には、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストア、ホームセンターなど、さまざまな業種があります。

2025年現在は、同業種間はもちろん、異なる業種同士での合併・買収も行われています。小売業界のM&A動向を把握し、自社の戦略に役立てましょう。

この記事では、小売業界の市場動向や主な課題、M&A最新動向などをご紹介します。また、M&A成功のポイントや具体的な事例もお伝えするため、ぜひ参考にご覧ください。

小売業界の市場動向

新型コロナウイルスの影響を受け、小売業界の市場は一時期低迷していました。しかし、コロナ禍で続いていた制限が解除されたことを受け、消費は回復傾向にあると見られています。

特に2022年後半からはインバウンド需要が伸びているようです。経済産業省の調査によると、2023年の国内小売業の商業販売額は163兆340億円となりました。前年と比較して5.6%増加しています。主要な業態を見ると、特に百貨店やドラッグストアなどの商売販売額が増加しています。

【出典】経済産業省「2023年小売業販売を振り返る」

小売業界が抱える課題

小売業界で事業を続けていく上では、いくつかの課題に対処することが求められます。以下では、小売業界で見られる主な課題をご紹介します。

自社の商品が選ばれにくくなってきた

デフレーションや顧客ニーズの多様化などを受け、商品が売れにくくなってきたといわれています。購買手段の選択肢が豊富になったこともあり、ただ商品を並べているだけでは消費者に選んでもらえない状況が続いています。

自社商品を購入してもらうためには、他店にはない付加価値を創出することも重要です。自社独自の強みを打ち出し、ターゲットにアプローチするようにしましょう。

人手不足が深刻化している

小売業をはじめ、各業界における労働力不足は大きな問題となっています。営業可能な人員を確保しなければならないものの、慢性的な人手不足に陥っているのが現状です。

日本の人口は減少傾向にあります。少子高齢社会でもあり、人手不足の状況は続く見込みです。少ない人員でも十分に対応できるよう、オペレーションの見直しを図るとともに、DX推進などにより持続可能な体制を構築することがポイントです。

ECが普及してきている

商品購入の手段として、手軽に利用できるネット通販を選ぶ消費者も多く見られます。最近では店舗に足を運んで実物をチェックし、帰宅してからECサイトで購入するパターンも珍しくありません。実店舗の運営のみでは、売上を伸ばしにくい状況といえるでしょう。

ネット通販需要に対応できる体制を整えることで、売上拡大を目指せます。EC部門の展開を強化し、消費者の購買行動の変化やニーズの多様化に対応できる販売方法を導入しましょう。

消費行動・市場の変化が著しい

小売業の売上を左右する物価は、社会情勢によって大きく変動します。燃料費高騰や増税など、さまざまな要素によって消費者が買い控えを行うと、小売業の売上も低迷します。目まぐるしく変わる市場の状況に対応し、消費者の需要を捉えた戦略の推進が求められるでしょう。

小売業のM&A最新動向(2025年)

小売業界の課題解決の手段として、M&Aが実施されることがあります。最新の動向を確かめてみましょう。

TOBやMBO案件が目立つ

TOBは「Take-Over Bid(テーク・オーバー・ビッド)」の略称で、M&A手法の一種です。「株式公開買付け」とも呼ばれます。上場企業を対象として株式を取得しますが、株式市場を通さずに不特定多数の株主から直に買い付けるのが特徴です。MBOは「Management Buyout(マネジメント・バイアウト)」の略称で、同様にM&Aスキームの一種となります。買い手となるのは自社内の経営陣など、内部の人員です。

近年の小売業のM&Aでは、TOBやMBOの事例が複数見られました。今後もこういった形式でのM&Aが戦略的に実施されるとの声もあります。

異なる業種に属する複数の企業の経営統合が進む兆し

小売業界では、「ドラッグストアと食品スーパー」のように異業種同士でのM&Aも活発に行われています。お互いのシナジーにより、多様化する消費者のニーズに対応しやすくなるのが大きなメリットです。

業界再編や企業統合がさらに加速

ご紹介したように、小売業界の市場規模は回復傾向にあるものの、社会の状況によって売上が変動する可能性があります。加えて、人手不足の問題や顧客行動の多様化など、さまざまな課題を抱えています。

こうした問題を解決し、売上をさらに拡大するためにも、業界再編や企業統合が進むと見られています。例えば、経営に悩んでいる中小規模の小売店が大手の傘下に入り、経営の安定化を目指すことも可能です。従業員の雇用を守り、後継者不在の問題も解決を図れるでしょう。

小売業がM&Aを成功させるためのポイント

M&Aの失敗を回避するためには、どのようなポイントに気をつけたら良いのでしょうか。以下では、小売業がM&Aを実施する際に知っておきたい成功のコツを解説します。

事前準備を入念に行う

M&Aを成功させるためには、事前の計画と準備を入念に行うことが重要です。「店舗を引き継げる後継者を探したい」など、何のためにM&Aを行うのか、目的を明確に定めましょう。実施後の展望をはっきりと描くことで、採るべき手段を判断しやすくなります。M&Aのメリットだけではなく、リスクも加味した上で検討を重ねましょう。

また、M&Aのタイミングによっても最終的な結果が変わることがあります。小売業界の状況や経済動向など、多岐にわたる要素によって適切なタイミングは変化します。ただ、M&Aを実行しようとしても、すぐに完了できるわけではありません。数カ月~1年はかかると考え、早めに準備を始めることがおすすめです。

統合プロセス(PMI)を徹底する

M&Aを行った後の企業の統合プロセスのことを、「PMI(Post Merger lntegration)」と呼びます。統合が思うようにいかなければ相乗効果を得られず、M&Aが失敗に終わる可能性があります。

例えば、小規模のスーパーマーケットが大手と統合された後、売り手側の従業員は新しい組織の方法に従って業務を続ける必要があります。これまでと異なる組織風土に抵抗を覚えるスタッフが多いと、離職する人材が増えてしまうでしょう。

こういった事態を防ぐため、M&Aの実施後に起こり得るトラブルを事前に見極め、綿密な統合計画を立てておくことがポイントです。

M&Aの専門家に相談する

M&Aは高い専門性が求められる分野です。ノウハウを持つ専門家へ相談し、アドバイスをもらいましょう。アドバイザーによるサポートを受けながら進めることで、自社にとって最適な選択肢を選びやすくなります。

例えば、M&Aの相手となる企業やM&Aスキームなどを選定する際も、専門的な角度からの助言をもらうことで、納得のいく結果につなげられるでしょう。

その後も、条件の交渉や基本合意書の締結、デューデリジェンスの実施、最終契約書の取り交わしなど、さまざまな場面で専門家によるサポートが必要になります。業界への知見が深く、的確な支援を行うM&A代行会社を探してみましょう。

小売業界のM&A事例

ミニストップ株式会社による株式会社関根酒店のM&A

2024年6月1日、ミニストップ株式会社は、東京都板橋区の酒類小売業者関根酒店を吸収合併することを決定しました。ミニストップを存続会社とする形で、関根酒店は解散します。

この合併の目的は、ミニストップの事業基盤強化と経営資源の最適化にあります。特に、関根酒店が保有する酒類販売免許を承継することで、新たな成長戦略の推進に役立てる狙いです。合併対価は500万円とされ、ミニストップの業績に与える影響は軽微と見込まれています。

今回のM&Aにより、ミニストップは酒類販売の強化と商品ラインアップの拡充を進め、より多様な顧客ニーズに対応できる体制を整えていくと考えられます。

【出典】ミニストップ株式会社「吸収合併(簡易合併)に関するお知らせ」

株式会社オンワードホールディングスによる株式会社大和のM&A

2019年3月1日、オンワードホールディングスは、ギフト企画・販売を手掛ける株式会社大和(長野県安曇野市)の全株式を取得し、子会社化しました。

大和は、ギフトカタログやロジスティクスを強みとする企業で、全国の百貨店やブライダル企業と取引を持ちます。一方、オンワードはファッションを軸にライフスタイルを提案しており、今回の買収により、「贈る」という新たな事業領域を獲得しました。これにより、既存のブランド商品を大和の流通網で展開するほか、ECやデジタルプラットフォームを活用した相乗効果が期待されます。

オンワードは本件を通じて、ライフスタイル提案の幅を広げ、成長戦略を加速させる狙いです。

【出典】株式会社オンワードホールディングス「株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

株式会社ヨドバシホールディングによる株式会社 ICI 石井スポーツのM&A

2019年4月、ヨドバシホールディングス(HD)は、アウトドア用品専門店「石井スポーツ」の全株式を取得しました。本件により、石井スポーツはヨドバシHDグループの一員となります。

石井スポーツは1964年創業の老舗アウトドア専門店で、スキー・登山用品の豊富な品揃えと専門的な接客で高い評価を受けています。2016年にアドバンテッジパートナーズ(AP)傘下のファンドが買収し、専門店としての強化やランニング用品を扱うアートスポーツの譲受を進めるなど成長を支援してきました。

ヨドバシHDによる買収により、ヨドバシカメラのECや物流網との連携、販売チャネルの拡大が期待されます。石井スポーツの強みとヨドバシのリソースを掛け合わせることで、アウトドア市場での競争力を一層強化するとみられます。

【出典】株式会社アドバンテッジパートナーズ「株式会社 ICI 石井スポーツの株式の譲渡に関するお知らせ」

まとめ小売業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

小売業界では今後もM&Aが活発に行われていくと見られています。各社の抱える課題を改善するための手段として、M&Aが実施されるケースもあるでしょう。ただし、M&Aを成功させるためには入念な準備や統合プロセスの徹底などが欠かせません。M&A仲介会社などの専門家の力を借りて、成功を目指しましょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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