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不動産仲介業のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.04.07
  • 更新日2025.04.09

不動産仲介業のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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不動産業界では、デジタル化の波や後継者問題への対応として、M&Aに注目する企業が増えています。とりわけ大手企業による地方の優良企業の買収が活発化しており、買い手側は事業拡大、売り手側は経営課題の解決のために、M&Aを進める動きが見られます。

本記事では、不動産仲介業におけるM&Aの最新動向や、メリット・デメリット、成功に導くポイントをご紹介します。

不動産仲介業界の市場動向

不動産仲介業界は、不動産の売買を仲介し、契約成立を支援する重要な役割を担っています。

株式会社都市未来総合研究所が公表するデータによると、2024年10月期における国内の上場企業などによる不動産の売買取引額は約3,433億円となっています。前年の10月期と比較して17.5%の増加が見られました。

また、10月期における高額な不動産取引の内訳としては、都市部のオフィスビル・商業施設・ホテルといった物件の事例が見られます。

【出典】株式会社都市未来総合研究所「株式会社都市未来総合研究所 不動産売買実態調査」

不動産仲介業界が抱える課題

ここでは、不動産仲介業界が抱えるさまざまな課題についてご紹介します。これらを解決するため、M&Aを検討する企業が増えている状況です。

デジタル化の遅れ

デジタル化が進む現代において、日本の不動産仲介業界では対面での営業活動や紙ベースの契約手続きが主流です。2022年に電子契約が全面解禁されたものの、業界全体としてデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入は後れを取っています。

特に中小規模の仲介会社では、システム投資の負担や専門人材の不足から、デジタル化への対応が困難な状況が続いています。

人手不足と後継者問題

不動産仲介業界における深刻な課題の一つが、慢性的な人材不足と後継者問題です。中小企業の場合、経営者の高齢化が進む一方で、適切な後継者が見つからないケースが増加しています。そのため、事業継続の観点からM&Aを検討する企業が多くなっています。

規制強化への対応

2025年から不動産取引に関する新たな規制が導入されました。なかでも物件情報の「囲い込み(=物件情報を独占して、両手仲介へ持ち込むこと)」に対する規制が強化されたことから、以降ではより透明性の高い取引が求められています。

こうした規制強化に対応するため、不動産仲介業界全体でコンプライアンス体制の整備やシステムの刷新が必要となり、中小規模の仲介会社にとって大きな負担が予想されます。

不動産仲介業界のM&A最新動向(2025年)

今後M&Aを検討するなら、業界の現状や動向を知っていく必要があります。ここでは、不動産仲介業界におけるM&A最新動向をご紹介します。

大手不動産会社による中小企業の買収増加

不動産仲介業界では、大手企業による中小規模事業者の買収が活発化し、業界再編の動きが加速しています。

特筆すべきは、地方の優良企業をターゲットとした買収案件が増加傾向にあることです。人口減少による需要縮小への対応策として、M&Aで地域密着型の中小事業者を傘下に入れて、新たな顧客基盤や営業ネットワークの獲得を狙う事例が見られます。

小規模M&Aの増加

近年は、不動産仲介業界においても小規模M&A(スモールM&A)が活発に行われるようになりました。中小規模の不動産仲介業者では、人手不足や後継者問題といった業界の課題を解決するために、連携による競争力強化を目的としたM&Aを行うケースが多く見られます。今後も、こうした小規模M&Aの事例が多くなっていくと考えられるでしょう。

IT企業との提携

不動産業界では、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進にともない、不動産テック企業との提携が注目を集めています。従来の不動産仲介業務にデジタル技術を組み合わせることで、顧客サービスの向上や業務効率化を実現できると期待されています。

例えば、物件情報のデジタル化、オンライン内見システムの導入、AI活用による業務効率化などが挙げられます。M&Aを活用した提携によって、今後さらに革新的なサービスが生まれる可能性があるでしょう。

不動産仲介業がM&Aをするメリット

昨今は中小企業においても、戦略的なM&Aを検討する機会が増えています。ここでは、不動産仲介業者がM&Aをするメリットについて、売り手企業の視点でご紹介します。

経営課題の解決

後継者不在や資金繰りの課題を抱える不動産仲介業者にとって、M&Aは自社を存続させる手段の一つとなるでしょう。例えば、M&Aで大手企業の傘下に入ることで、経営基盤が安定する可能性があります。ほかにも、資金力を活かした設備投資や人材採用により、単独経営では難しかった事業拡大も視野に入るでしょう。

デジタル化の推進

M&Aを通じたIT企業や先端技術を持つ企業との提携によって、最先端のテクノロジーを活用したサービス品質向上や業務効率化が期待できます。顧客管理システムや物件情報プラットフォームといった、最新のデジタルツールで業務改善の可能性が広がります。

このほかに、デジタルマーケティングのノウハウを獲得することにより、集客力の向上も期待できるでしょう。

既存従業員の雇用継続

買い手企業との交渉次第では、M&Aでの売却後に既存従業員の雇用を維持できる可能性があります。現状と同等の条件で雇用を維持できれば、大切な自社の従業員が中長期的に働き続けることが可能です。

場合によっては、大手企業グループの一員となることで、新たなキャリアパスが開かれる可能性もあるでしょう。

不動産仲介業がM&Aをするデメリット

ここでは、不動産仲介業者がM&Aをするデメリットを見ていきます。M&Aでは経営統合後の従業員や顧客のケアが重要です。

企業文化の違い

不動産仲介業界の企業には、各社独自の営業手法や顧客対応方針が浸透しています。

例えば、トップダウン型の意思決定を行う企業と現場の裁量を重視する企業では、企業文化の違いによって統合に困難が生じる懸念があるでしょう。統合に失敗すると、現場で衝突が起きたり、人材が離職したりする可能性があります。

従業員の不安増大

M&Aで経営者が交代することにより、従業員の雇用条件や処遇が変更される可能性があります。また、これまでの営業手法や顧客対応が通用しなくなり、従業員のモチベーションが低下し、離職を招くおそれもあるでしょう。

取引先・顧客との関係性が失われるリスク

不動産オーナーや入居者との長年の信頼関係は、不動産仲介業者における大切な資産です。M&Aを機に、取引先や顧客との信頼関係を損なわれるリスクがあります。

特に地域密着型の不動産仲介業者は、地域社会との関係性が非常に重要となるので、M&A後の関係維持に細心の注意を払う必要があります。

不動産仲介業がM&Aを成功させるためのポイント

不動産仲介業界では、市場環境の変化や後継者問題への対応としてM&Aが活用されています。ここでは、業界特有の課題を踏まえて、M&Aを成功へ導くためのポイントをご説明します。

適切な売却先の選定

自社の経営理念や従業員の将来を重視し、合致した買い手企業を選定するのがポイントです。特に地域密着型の不動産仲介業では、これまでの営業スタイルや顧客サービスを維持できる相手先を選ぶと良いでしょう。対象企業の経営方針や組織文化を分析し、従業員の処遇や顧客対応に大きな変更が生じないか確認します。

既存顧客との関係性を引き継げるか

M&Aの交渉時に、顧客・オーナー・入居者との関係を引き継ぐ意思があるか確認します。地域での信頼関係や情報網は会社の貴重な資産であり、これらを活かす意向を持つ企業が望ましい売却先だといえるでしょう。

不動産仲介業のM&A事例

大東建託株式会社によるハウスコム株式会社のM&A

大東建託株式会社は、2024年10月29日、ハウスコム株式会社との間で株式交換契約を締結し、2025年2月1日をもってハウスコムを完全子会社化することを発表しました。本取引により、ハウスコムは東京証券取引所スタンダード市場から上場廃止となる予定です。

大東建託は、賃貸住宅の建築・管理を中心とした不動産事業を展開し、ハウスコムは賃貸仲介を主力とする企業です。両社は従来からグループ関係にありましたが、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や競争力強化を目的に、経営資源を一体化する必要があると判断し、完全子会社化に踏み切りました。

本取引により、両社の賃貸仲介店舗網を最適化し、ITシステムの共同開発を進めることで、コスト削減と業務効率化を実現する狙いがあります。また、グループ内での人材交流を活発化させ、待遇改善や成長機会の提供にもつなげる方針です。

不動産業界では、DXの加速や規制緩和による市場環境の変化を受け、大手企業による事業統合の動きが広がっています。今回のM&Aは、大東建託が不動産仲介事業の競争力を強化し、持続的成長を図る戦略的な一手として注目されます。

【出典】大東建託株式会社「大東建託株式会社によるハウスコム株式会社の完全子会社化に関する株式交換契約締結(簡易株式交換)のお知らせ」

アーキテクツ・スタジオ・ジャパン株式会社によるMED株式会社のM&A

2024年12月27日、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)は、MED株式会社の全株式を取得し、連結子会社化することを決定しました。本取引により、ASJは建築業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を加速させる狙いです。

ASJは、建築家ネットワークを活用した住宅設計支援を展開していますが、工務店や建設会社の減少により、従来のビジネスモデルだけでは対応が難しくなっていました。そのため、新たな付加価値として、デジタル技術を活用した業務支援やマーケティングサービスの強化を進めています。

今回買収したMEDは、デジタルマーケティングや広告運用に強みを持つ企業であり、これによりASJは営業・マーケティング、施工管理、EC事業などにおけるDXを内製化し、業務効率向上とコスト削減を実現できると考えられます。

近年、建築業界ではDXの活用が進んでおり、特に営業や施工管理のデジタル化が競争力強化の鍵となっています。今回のM&Aは、ASJがデジタル技術を活用した新たなビジネスモデルを構築し、成長戦略を加速させる重要な一手となるでしょう。

【出典】アーキテクツ・スタジオ・ジャパン株式会社「MED株式会社の株式の取得(連結子会社化)に関するお知らせ」

株式会社Robot Homeと株式会社エル・ディー・ケイの資本業務提携

2023年7月31日、株式会社Robot Homeは、株式会社エル・ディー・ケイ(LDK)と資本業務提携を締結しました。本提携により、Robot Homeは不動産×テクノロジー(不動産テック)領域での新たなソリューション創出を支援する方針です。

LDKは、**全国のマンスリーマンションに特化した「MONTHLY BANK」**を展開しており、転勤者向けの社宅や出張者向けの短期賃貸の手配を年間1万件以上手掛けています。従来、マンスリーマンションの契約手続きは煩雑であり、企業の担当者にとって負担が大きい課題がありました。そこでLDKは、検索から契約、退去までをワンストップで提供するマンスリー代行サービスを確立し、業務の効率化を実現しました。

Robot Homeは、不動産DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、アプリによる賃貸管理や不動産経営の自動化を支援する企業です。本提携により、Robot HomeのDX支援技術とLDKのマンスリーマンション事業を融合させ、より利便性の高いサービスの提供を目指します。

不動産業界では、DXによる業務効率化が競争力の鍵となっており、今回の資本業務提携は、Robot Homeが不動産テック分野での成長を加速させる重要な一手となるでしょう。

【出典】株式会社Robot Home「Robot HomeがLDKと資本業務提携 不動産テック領域の新たなソリューション創出を支援」

まとめ|不動産仲介業のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

不動産仲介業界におけるM&Aは、事業継続や競争力強化の有効な手段です。売却側にとっては経営課題の解決やデジタル化の推進、従業員のキャリア発展などのメリットがあります。

一方で、企業文化の違いによる軋轢や、顧客との関係性の変化といった課題も存在します。まずは不動産仲介業界に詳しいM&A中小会社などの専門家に相談し、自社に適したM&Aの手法を検討するとともに、有効性を調査するといいでしょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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