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食品業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.04.02
  • 更新日2025.04.02

食品業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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国内の食品製造業界は、少子高齢化による市場縮小や原材料費の高騰、競争激化など、多くの課題に直面しています。こうした環境下で企業の成長戦略としてM&Aが注目を集めている状況です。

本記事では、食品業界のM&A最新動向や、メリット・デメリット、成功事例、さらには成功に導くためのポイントを解説します。

食品業界の市場動向

「株式会社矢野経済研究所」の調査によると、日本の上場食品メーカーの売上総額は、126社全体で29兆2,037億円に達し、前年比10.7%の増加を記録しています。こうした売上高の伸びは、コロナ禍からの回復過程で段階的に実施された販売価格の改定や、海外市場での積極的な事業展開が追い風となったと考えられています。

また、海外売上を開示している企業のうち、2022年度の海外売上高は21兆6,257億円となり、前年対比で12.3%増加しています。食品業界において、海外市場への進出が一つの重要な成長戦略となっていることがわかります。

【出典】矢野経済研究所「食品製造業の市場・企業分析を実施(2023年)」

食品業界が抱える課題

食品業界には、少子高齢化や人口減少の影響による市場規模縮小など、看過できない問題が存在します。ここでは、食品業界が抱える経営課題をいくつかご紹介します。

人口減少による市場の縮小

急速な人口減少および少子高齢化の影響を受けて、食品メーカーや流通業者は従来のビジネスモデルでの成長が困難となっています。そのため、近年は顧客基盤の維持や新規市場の開拓を模索し、M&Aスキームによる事業再編を検討する企業が増えている状況です。

競争の激化

市場の縮小が進む中、国内外の食品企業間での競争は一層激しくなりました。大手と中小企業の双方が、生き残りをかけた差別化戦略に迫られています。具体的には、ブランド力の強化や販路拡大、効率的な生産体制の確立により、市場内での優位性を高めています。

品質の要求水準の高まり

消費者の健康意識と安全志向の高まりにともない、食品の品質や衛生管理に対する要求はこれまで以上に厳しくなっています。企業は、厳格な品質管理体制や国際的な安全基準に基づいた製造工程の見直しを迫られ、商品の信頼性を高めるための投資が不可欠となりつつあります。

コストの上昇

原材料費の高騰、物流コストの増加、さらにはエネルギーや人件費の上昇が、食品業界全体の利益率を圧迫しています。各種コスト上昇により、調達や製造工程の効率化、生産拠点の最適化など、経営改善の取り組みが欠かせなくなりました。

食品業のM&A最新動向(2025年)

近年の食品業界では、大手外食チェーンやプライベートエクイティ(PE)ファンドが積極的に買収に動くとともに、同業他社間の合併も多く見られます。ここでは食品業のM&A最新動向をご紹介します。

大手外食チェーンやPEファンドによるM&Aが復調傾向にある

コロナ禍以降、経済環境の安定化や金利低下の影響を受け、大手外食チェーンおよびPEファンドによる戦略的な買収案件が活発化しています。

その背景には、サプライチェーンの回復や需要の多様化への対応を目的として、既存の事業基盤をさらに強固にする狙いがあり、今後も同様の傾向が続く見通しです。

多角化を目指す同業他社の買収が活発化している

食品メーカー同士によるM&Aは、原材料価格の変動や消費者ニーズの変化に迅速に対応するための多角化戦略として注目されています。M&Aによって企業同士が提携することで、各社はリスク分散と事業拡大の両面で有利なポジションを確保し、市場内における優位性を高めようとしています。

H2:食品業がM&Aをするメリット

原材料や人件費の高騰といった経営課題に直面する中で、食品業界ではM&Aによる経営基盤の強化が重要視されています。ここでは、食品業がM&Aをするメリットを売り手側の目線でご紹介します。

後継者問題が解決できる

企業の存続を望む売り手側の経営者は、信頼できる後継者に経営を託すことで、長年築き上げてきた事業を継続できます。とりわけ地域に根差した老舗企業は、後継者不在による廃業を回避でき、M&Aが地域経済への貢献を続ける手段となるでしょう。

従業員の雇用を継続できる

M&Aの交渉次第では、従業員の雇用を維持できる可能性があります。食品製造業界では、熟練した技術・知識を持つ従業員の継続的な雇用が、製品品質の維持向上に欠かせません。自社の売却を通じて、従業員の雇用を守りながら事業を存続させられるチャンスを得られます。

負債を解消できる

財務状況が悪化している売り手企業にとって、M&Aは経営再建の有効な手段の一つです。優良企業との統合により、財務体質の改善や経営の立て直しが可能となり、倒産のリスクを回避できる可能性があります。

経営の安定化につながる

同業他社との経営統合では、M&Aを通じてスケールメリットを活かした戦略を実現できるケースもあります。例えば、統合によって単独では難しかった原材料の大量仕入れが可能となるかもしれません。生産コストが削減されて利益率が向上すると、結果的に経営の安定化につながります。

市場シェアを拡大できる

M&Aを機に企業規模が拡大し、市場での影響力が高まります。例えば、相手企業が持つ人気商品を自社の販売ルートで販売したり、逆に自社商品を相手の販売網で展開したりすることで、より多くの潜在顧客にリーチできるでしょう。また、異業種の企業と経営統合すれば、新たなビジネスチャンスの創出が期待できます。

食品業がM&Aをするデメリット

食品業界のM&Aでは、企業文化の違いや法的リスクなど、慎重に検討すべき課題があります。具体的なデメリットや注意点を見ていきましょう。

社風や文化が変わることがある

M&Aによる経営統合後、長年培ってきた企業文化や経営方針の変更を迫られる可能性があります。その結果、従業員のモチベーションが低下したり、既存顧客との関係に影響が出たりすることも少なくありません。

法的リスクを調査しておく必要がある

食品業界には食品衛生法への対応に関するリスクが存在します。法令違反があった場合、企業名が公表されて信用を失い、M&A後の事業継続に重大な影響をおよぼす可能性があります。売却前に法的リスクを調査しておくことが重要です。

統合後の経営戦略や将来的なビジョンを共有し交渉を進める

M&Aを成功させるには、両社の経営戦略が一致していなければなりません。特に食品業界では、商品開発の方針や品質管理の基準、販売戦略などについて、細かな話し合いと合意が必要です。

統合後の経営方針が不明確だと、従業員が不安を感じたり顧客が離れたりする可能性があるため、早い段階から明確なビジョンを共有しましょう。

食品業がM&Aを成功させるためのポイント

昨今の食品製造業界では、製造と小売の垂直統合や異業種からの参入など、多様な形態のM&Aが活発化しています。ここでは、食品業でM&Aで成功するための具体的なポイントをご紹介します。

M&Aの実施目的を明確にする

M&Aを実施する前に、なぜM&Aを行うのかを明確にしましょう。

例えば、「後継者不足を解消し、事業を継続させる」「現状と同条件で従業員の雇用を維持する」といった形で、具体的な目標を定めます。目的が不明瞭なままM&Aを進めると、企業統合後の経営に影響をおよぼす恐れがあります。

事業シナジーをイメージしておく

M&Aによって相手先とどのようなシナジー効果を発揮できるかイメージすることが重要です。

例えば、「原材料を共通で仕入れてコストを下げる」「物流網を共有して効率を上げる」「研究開発部門を統合して新商品開発力を高める」「製造技術を共有して生産性を向上させる」といったシナジー効果が考えられます。

これらの実現可能性を精査した上で、交渉材料にすると良いでしょう。

M&Aのタイミングを見極める

一般的に、会社の業績が好調で将来性が期待できる時期にM&Aを検討することが望ましいとされています。食品業界特有の季節変動や市場の動向も考慮に入れ、最適なタイミングを見極めることが重要です。

M&Aの専門家に相談する

M&Aを成功させるには、専門家のサポートが欠かせません。特に食品業界では、食品衛生法などの規制や品質管理体制の評価など、業界特有の専門知識が必要です。

M&A専門会社や会計士、弁護士などの専門家に早めに相談し、適切なアドバイスを受けましょう。

食品業界のM&A事例

日清製粉株式会社による熊本製粉株式会社のM&A

2022年6月23日、日清製粉グループの日清製粉株式会社は、熊本製粉株式会社の発行済株式の85%を取得する株式譲渡契約を締結したと発表しました。本件により、熊本製粉は日清製粉の連結子会社となる見込みです。

日清製粉は、小麦粉の製造・販売を中核事業とし、国民の主要食糧である小麦粉の安定供給を使命としています。しかし、日本国内の小麦粉市場は、人口減少や国際貿易協定の影響による競争の激化により、厳しい環境に直面しています。こうした状況の中、コスト競争力の強化と市場の変化への適応が求められています。一方、熊本製粉は1947年の設立以来、九州地方で高いブランド力と技術力を持ち、小麦粉だけでなく、そば粉や米粉の製造・販売も手がけています。

両社は2011年に業務提携を開始し、小麦粉や米粉の製品供給や原料調達で協業してきました。また、2016年の熊本地震の際には、日清製粉が製品の代替供給や設備復旧支援を行うなど、緊密な関係を築いてきました。今回のM&Aにより、両社が一体となることで、コスト競争力と市場適応力をさらに高め、持続的な成長と安定した事業運営を目指します。

本件は、国内製粉業界の競争力強化と事業拡大を目的とした戦略的な取り組みであり、今後の市場動向においても注目される案件となるでしょう。

【出典】日清製粉株式会社「日清製粉株式会社による熊本製粉株式会社の株式取得に関するお知らせ」

株式会社エバラビジネス・マネジメントによるヤマキン株式会社のM&A

2022年4月25日、エバラ食品工業株式会社は、子会社であるエバラビジネス・マネジメントを通じて、ヤマキン株式会社(静岡県焼津市)の全株式を取得し、子会社化することを決定しました。

ヤマキンは、1948年に設立された液体調味料の製造会社で、小袋製品を中心とした生産ノウハウや、小ロット対応が可能な柔軟な生産体制を強みとしています。近年、高齢化や世帯人数の減少に伴い、小容量製品の需要が拡大しており、今回の買収により、エバラ食品はより機動的で効率的な生産体制を構築し、小容量製品の製造・供給力を強化する狙いがあります。

エバラ食品は、中期経営計画「Unique 2023 〜エバラらしさの追究〜」の基本戦略の一つとして、「コア事業の収益強化」と「戦略事業の基盤確立」に取り組んでいます。本件は、食品事業の家庭用・業務用・海外展開を支える生産体制の強化を目的としており、今後も市場拡大が期待される分野への投資を積極的に進め、競争力の向上を図る方針です。

本件の株式譲渡は2022年5月26日に実行予定であり、2023年3月期の連結業績への影響は軽微と見込まれています。エバラ食品は、経営環境の変化に柔軟に対応しながら、持続的な成長を目指していく考えです。

【出典】エバラ食品工業株式会社「当社子会社によるヤマキン株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

昭和産業株式会社によるサンエイ糖化株式会社のM&A

2020年7月20日、昭和産業株式会社は、三井物産株式会社の連結子会社であるサンエイ糖化株式会社(愛知県知多市)の全株式を取得し、完全子会社化することを決定しました。本件の株式譲渡は同年10月1日に実行される予定です。

昭和産業は、2025年の長期ビジョン「SHOWA Next Stage for 2025」のもと、糖質事業の強化を重要戦略として掲げています。現在、鹿島工場とグループ会社の敷島スターチ株式会社の2拠点体制で糖質製品を供給していますが、サンエイ糖化の買収により、国内の安定供給体制をさらに強化する狙いです。

サンエイ糖化は、ぶどう糖を中心とした糖化製品を開発・製造・販売する企業で、医療用途にも対応できる高度な品質管理技術を有しています。今回の子会社化により、昭和産業はサンエイ糖化の技術力や販売チャネルを活用し、糖質事業の競争力向上を図ります。また、両社の原料調達力や研究開発力を融合させ、新たな製品開発やオープンイノベーションの推進にも取り組む方針です。

今回のM&Aにより、昭和産業は糖質事業の生産性向上と市場競争力の強化を目指し、持続的な成長を推進していく考えです。

【出典】昭和産業株式会社「サンエイ糖化株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

まとめ|食品業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

食品業界のM&Aには、経営基盤の強化・市場シェアの拡大・後継者問題の解決など多くのメリットがあります。一方で、企業文化の違いや法的リスクなど、食品業界ならではの慎重に検討すべき課題も存在します。

事業譲渡や株式譲渡での売却に興味のある経営者の方は、M&A仲介会社のサポートを受けながらM&Aをご検討ください。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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