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広告業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.03.27
  • 更新日2025.04.02

広告業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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デジタル化の進展や市場の競争激化にともない、広告業界ではM&A(合併・買収)が活発化しています。特にWeb広告分野では、大手企業による業界再編や、中小企業の競争力向上を目的としたM&Aの動きが見られます。

本記事では、日本の広告業界におけるM&Aの最新動向、メリット・デメリット、成功のポイント、具体的な事例を解説します。

広告業界の市場動向

デジタル技術の進化と消費者の行動変化により、広告業界は大きな変革を迎えています。ここでは、世界の広告業界の市場規模や動向についてご紹介します。

広告業界の市場規模

「電通グループ」が公開する資料「世界の広告費成長率予測(2024〜2027)」によると、2025年の世界の広告費は前年比5.9%増の8,177億米ドル規模に達する見込みです。このうち、デジタル広告が市場全体の62.7%を占める見通しで、AIを活用したターゲティング技術や動画広告の需要が増加傾向にあります。

M&Aにおいては、デジタル広告プラットフォームやデータ解析企業を対象とした買収が活発に行われており、業界の構造再編が進んでいます。その際、デジタル広告分野が業界の中心となると考えられます。

【出典】電通グループ「世界の広告費成長率予測(2024~2027)」

広告業界の動向

広告業界では、大手広告代理店とIT企業によるM&Aが増加しています。例えば、「電通グループ」が米国のデータマーケティング会社「Merkle」を買収して、データドリブンマーケティングを強化した事例が挙げられます。

一方で、中小企業でもWeb広告ノウハウを持つ企業の買収が増加しています。たとえば、「GMOアドパートナーズ株式会社」は、自社のクリエイティブ分野を強化する目的で、動画ソリューション事業を運営する「株式会社シフトワン」の発行済み株式を取得し、完全子会社化しました。

【出典】電通グループ「電通、米国独立系で最大級のデータマーケティング会社 「マークル社」のマジョリティー株式の取得で合意」

GMOアドパートナーズ株式会社「株式会社シフトワンの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

広告業界が抱える課題

広告業界では、プライバシー保護の規制強化や少子高齢化による消費構造の変化など、さまざまな課題が存在します。ここでは、業界の課題を3つのポイントからご説明します。

広告のデジタル化

広告業界ではデジタル化が加速し、動画配信プラットフォームやSNSを活用した広告手法が主流となりました。特にZ世代を中心としたデジタルネイティブ層の台頭で、広告接触のあり方が大きく変化しています。

「Google社」や「Meta社」をはじめとした海外IT企業に広告費が集中している現状において、国内企業は自社メディアの強化や独自データの活用が求められています。また、デジタル広告市場の急成長にともない、詐欺広告の増加やブランドイメージ毀損のリスクといった新たな問題も浮上しています。

プライバシーの規制の強化

個人情報保護法の改正やGDPR(EU一般データ保護規則)の影響により、データ駆動型マーケティングの基盤が大きく見直されています。第三者Cookieの廃止で従来の行動ターゲティング手法が制約を受ける中、広告業界の企業はファーストパーティデータの収集・活用に重点を置く必要があります。

少子高齢化による消費の減少

国内では2022年時点で65歳以上の高齢者が人口の29.1%を占めており、少子高齢化による消費の減少に対応した広告戦略の再構築が求められています。リピート購買を促進し、ブランドロイヤルティを強化して顧客生涯価値(LTV)を向上させることが、人口減少時代を生き抜く一つの生存戦略だといえるでしょう。

【出典】総務省統計局「1.高齢者の人口」

広告業界のM&A最新動向(2025年)

近年の広告業界では、M&Aが戦略的な成長手段として活用されています。大手企業による業界再編やテクノロジーを活用した買収が活発化しているほか、海外展開を目的としたM&Aも増加しています。ここでは、広告業界のM&A最新動向をご紹介します。

M&Aによる業界の再編成の進行

広告業界は、2024年に大規模な再編成期を迎えました。なかでも注目されているのが、世界最大級の広告・マーケティング企業「オムニコムグループ」による「インターパブリック・グループ」の買収です。

世界の広告業界における「BIG4」のうち2社が統合することにより、10万人以上の従業員が在籍する巨大な企業が誕生し、業界の再編成が大きく進行しました。

【出典】PR Newswire「Omnicom to Acquire Interpublic Group to Create Premier Marketing and Sales Company」

海外企業へのM&Aの増加

国内市場の成熟化や人口減少を背景に、大手広告代理店各社は海外企業の買収を積極的に推進しています。特にアジア市場への進出が多く見られ、東南アジア地域の成長市場をターゲットとしたクロスボーダーM&A(海外M&A)が増加傾向にあります。現地企業の持つデジタルマーケティングノウハウやネットワークを活用し、迅速に市場シェアを拡大する手段としてM&Aが選ばれています。

テクノロジー企業によるM&Aの増加

近年の広告業界では、テクノロジー企業による広告関連企業の買収が多くなっています。なかでもAIやビッグデータ解析技術などに強みを持つテクノロジー企業は、広告配信プラットフォームの買収によって、広告の自動化やパーソナライズを実現できると期待されています。

広告業界がM&Aをするメリット・デメリット

広告業界でM&Aをすると、売り手側企業が資本力のある企業の傘下に入ることで、経営の安定性が向上するメリットがあります。自社のクリエイティブ資産が価値化され、技術革新への対応や新規事業への投資が容易になり、市場における競争力強化が期待されます。

また、広告主との継続取引を承継したり、従業員の雇用を確保したりできる可能性が高まるでしょう。競争が激化するデジタル広告市場において、資本力のある企業との統合によって事業やデジタルマーケティングノウハウを継続するのも一つの手です。

一方で、売り手側企業から見た企業統合にはさまざまなリスクが存在します。例えば、統合後の組織や経営方針の変更が、既存従業員に不安をもたらし、クリエイター流出や広告主離れを引き起こす可能性があります。

また、企業価値の適切な評価が得られなかったり、ブランドイメージが変化したりすることもあるため、M&Aにおいては慎重な交渉が欠かせません。

広告業がM&Aを成功させるためのポイント

広告業界でM&Aを成功させるためには、戦略的なアプローチと綿密な準備が不可欠です。M&Aを成功させるためのポイントを具体的に見ていきましょう。

自社の強みの洗い出し

M&Aに向けて、自社の独自性や競争優位性を明確に把握しましょう。広告業界では、デジタルマーケティングやAIを活用した分析技術、独自のクリエイティブ手法が高く評価されています。また、過去の成功事例や顧客基盤、マーケティング実績などの具体的なデータを整理し、買収企業にとって魅力的な価値を提示できると理想的です。

優秀な社員や権利、特許の保有

広告業界では、優秀な人材や知的財産が企業価値を大きく左右します。特に、独自の広告配信技術を持つクリエイティブ人材や、AIやデジタルマーケティング技術に関連する特許は、企業の価値を高める要素です。

これらの人的資本や知的財産をアピールすることで、好条件の買い手企業が見つかりやすくなります。クリエイターの継続性確保、著作権・商標権の承継、広告代理店契約の承継へ向けた取り組みが必要です。

公的機関や金融機関への相談

資金調達や事業計画の策定においては、専門的な知識が必要です。各都道府県に設置されている「事業承継・引継ぎ支援センター」や地域の金融機関に相談することで、地域特性を踏まえたサポートを受けられます。

M&A仲介会社へのサポートの依頼

広告業界特有の課題に対応するためには、M&A仲介会社のサポートが不可欠だといえます。特にデューデリジェンスでは、「広告主との契約継続性」「クリエイティブ資産の権利関係」「メディアとの取引条件」「広告賞受賞歴の価値評価」「レベニューシェア契約の承継」といった観点でのチェックが不可欠です。

仲介実績が豊富な専門家から支援を受けることで、適切な買い手企業の選定から条件交渉・契約締結に至るまで、一連のM&Aプロセスをスムーズに進められるでしょう。さらに、広告業界に精通した仲介会社であれば、業界特有の商習慣や技術評価を考慮した、的確なアドバイスが期待できます。

広告業界のM&A事例

株式会社電通グループによるRCKT GmbHのM&A

電通グループ株式会社は、2023年8月24日付で、ドイツのデジタルファーストのクリエイティブエージェンシー「RCKT GmbH(RCKT社)」の株式を取得し、連結子会社化することを発表しました。本件により、RCKT社は電通グループのクリエイティブブランド「Dentsu Creative」に統合され、ドイツ市場におけるクリエイティブコンテンツ制作やデジタルマーケティング、ブランディング戦略の強化を図ります。

RCKT社は2015年に設立され、サステナビリティやエンプロイヤーブランディング、従業員体験、プロダクトイノベーションなどの領域でグローバル企業向けのマーケティング支援を行ってきました。今後は「RCKT, a Dentsu Creative company」として、電通グループのネットワークを活用し、ドイツ市場における事業拡大を推進します。

本件は、電通グループの戦略である「Integrated Growth Solutions(統合型成長ソリューション)」の一環であり、顧客企業のマーケティング活動を包括的に支援する体制を強化する狙いがあります。クリエイティビティとデジタルの融合を推進し、グローバル市場での競争力向上を目指します。

【出典】株式会社電通グループ「電通グループ、ドイツのデジタルファーストのエージェンシー「RCKT社」買収により、クリエイティブ領域を強化」

株式会社博報堂DY ホールディングスによるSYPARTNERS LLCとRED PEAK GROUP LLCのM&A

博報堂DYホールディングスは、成長戦略の一環として、戦略事業組織「kyu(キュー)」を設立し、米国のマーケティングコンサルティング企業SYPartnersおよびRed Peak Groupの100%買収を完了しました。本件は、グローバル市場における専門性と先進性の強化を目的としています。

SYPartnersは、企業の「ビジョン・戦略策定」「カルチャー構築」「変革体験」に特化したイノベーションコンサルティング企業で、スターバックスやIBMなどの大手企業を顧客に持ちます。Red Peak Groupは、ブランディングと体験型プロモーションに強みを持ち、AcerやMcDonald’sなどと取引実績があります。

本件により、博報堂DYホールディングスは、北米・欧州を中心としたM&Aを推進し、専門的なマーケティングソリューションをグループ内に取り込む体制を強化。グローバル市場での競争力向上を目指し、新たなビジネス機会の創出に注力する方針です。

【出典】株式会社博報堂DY ホールディングス「戦略事業組織「kyu」の組成ならびに⽶国『SYPartners』社及び⽶国『Red Peak Group』社の買収について」

株式会社ラバブルマーケティンググループによるDTK AD Co. Ltd.のM&A

株式会社ラバブルマーケティンググループは、2025年2月3日付で新会社「株式会社インバウンド・バズ」を設立し、タイのTALONTRAVEL CO., LTD.が運営する訪日タイ人向けインバウンドメディア事業「Talon Japan」を譲り受ける契約を締結しました。本件は、東南アジア市場への進出とインバウンドマーケティング強化を目的としています。

「Talon Japan」は、タイ国内で最大級の日本旅行愛好者コミュニティを持ち、Facebookグループのフォロワー数は100万人を超えます。今回のM&Aにより、ラバブルマーケティンググループは、訪日タイ人向けの情報発信を強化するとともに、同社の子会社であるDTK AD(タイのインバウンドプロモーション企業)やユニオンネット(Webマーケティング企業)とのシナジーを活かし、旅行関連企業へのマーケティング支援を拡大する狙いです。

本件は、訪日外国人旅行市場の拡大を背景とした戦略的なM&Aであり、同社の成長戦略の一環として位置づけられます。今後は、インバウンド市場に特化したプラットフォーム構築を進め、さらなる事業拡大を目指します。

【出典】株式会社ラバブルマーケティンググループ「子会社の新規設立および訪日タイ人観光客向けインバウンドメディアの事業譲受に関するお知らせ」

広告業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

広告業界の企業が、成長戦略や事業承継の手段としてM&Aを活用すると、市場シェアの拡大や経営の安定化が図れます。事業譲渡や株式譲渡など複数の選択肢から適切なM&Aスキームを選択し、業界特有の課題に対処しながら、持続的な成長と競争優位性の確立を目指しましょう。売却を検討されている方は、M&A仲介会社などの専門家にご相談ください。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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