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ハウスクリーニング業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.04.24
  • 更新日2025.04.24

ハウスクリーニング業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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ハウスクリーニング業界は2025年、着実な市場拡大を続けています。しかし、人材不足や経営者の高齢化という構造的課題に直面し、多くの事業者がM&Aによる事業継続を模索している状況です。

本記事では、ハウスクリーニング業界のM&A最新動向や事例を紹介するとともに、事業を売却する際のメリット・デメリット、成功のポイントを詳しく解説します。

ハウスクリーニング業界の市場動向

「株式会社矢野経済研究所」の調査によると、ハウスクリーニングを含む生活支援サービスの主要5分野の市場規模が拡大しています。具体的には、2022年度に5,405億円だった市場規模は、2023年度には前年度比104.2%増の5,633億円へと成長しました。さらに2024年度には前年度比109.3%増となる6,158億円に達すると予測されています。

当該調査の市場規模については、ハウスクリーニングサービス(専門清掃)、見守りサービス、家具・家電レンタルサービスについては利用者の支払い金額ベースで、ホームセキュリティについては事業者売上高ベースで算出されています。持続的な成長傾向からは、コロナ禍で抑制されていた対面サービスへの潜在需要が次第に顕在化してきている状況がうかがえます。

【出典】株式会社矢野経済研究所「住まいと生活支援サービスに関する調査を実施(2024年)」

ハウスクリーニング業界が抱える課題

市場拡大が続くハウスクリーニング業界ですが、経営存続に関わる構造的問題にも直面しています。特に人材不足と事業承継の課題は、業界全体の持続可能性を脅かしており、多くの事業者が経営継続の危機に瀕しています。具体的に見ていきましょう。

人材確保・人材育成の難しさ

質の高い人材の確保・育成は、生活支援サービス業界における共通課題です。高度な清掃技術と優れた顧客対応力を兼ね備えた人材の採用は、年々困難になっています。市場全体は拡大し続けていますが、その成長を支える人的資源の供給が追いついていないのが現状です。

経営者の高齢化と後継者不足

ハウスクリーニング業界では、個人事業主や少人数体制の事業所が大半を占めており、経営者の高齢化と後継者不足が深刻化しています。少子高齢化社会において、家族経営の事業所では親族内での事業承継の選択肢が限られ、多くの事業者が廃業の危機に直面しています。

ハウスクリーニング業界のM&A最新動向(2025年)

ハウスクリーニング業界では、市場構造の変化や後継者問題を背景に、業界再編の動きが見られるようになっています。ここでは、日本のハウスクリーニング業界におけるM&Aの最新動向をご紹介します。

大手家事代行サービスによる中小業者の買収

業界を牽引する大手家事代行サービス企業が、中小ハウスクリーニング業者を積極的に傘下に収めるケースがあります。象徴的な事例として、2025年2月に家事代行プラットフォーム運営の「株式会社CaSy」が、専門清掃会社「株式会社すっきりマイスター」を子会社化した案件が挙げられます。

本件により「株式会社CaSy」は、高度な専門清掃技術とノウハウを獲得すると同時に、既存顧客へのサービス提供価値向上を目指しています。今後も同様のM&Aが実施される可能性があるでしょう。

【出典】株式会社CaSy「株式会社すっきりマイスターの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

異業種からの参入

ハウスクリーニング業界が安定した成長を続けていることもあり、異業種からの参入も行われています。2025年以降もさらなる市場拡大が期待できるでしょう。

異業種参入型のM&Aでは、買収後も既存の組織体制や従業員が維持されるケースが多く、被買収企業の事業継続性という観点からもメリットがあります。一方、買収側企業にとっては、新市場への迅速な参入と事業ポートフォリオの多角化という戦略的利点が得られます。

サービスの多角化

既存事業とのシナジー効果(相乗効果)を期待する企業も多く、小売業や不動産業など、顧客の生活に密着したサービスを提供する企業からの参入事例もあります。

特に労働集約型産業の特性を持つハウスクリーニング業界では、IT技術やAIを活用したサービス革新が広がっており、こうした技術力を持つ企業との連携可能性も重要視されています。

ハウスクリーニング業者がM&Aで売却するメリット

業界特有の経営課題を抱える中小事業者にとって、M&Aは事業の成長と継続性確保につながります。ここでは、ハウスクリーニング業者がM&Aをするメリットについて、売り手側の目線でご紹介します。

季節変動型収益構造からの脱却

ハウスクリーニング事業は、年末大掃除シーズンや春の引越しピークなど、特定時期に収益が集中しやすい事業構造といえます。時期によっては、資金繰りや人員配置に大きな負担をもたらす可能性があります。M&Aによる事業規模拡大や多角化は、この季節変動リスクを分散・軽減するためにも効果的な経営戦略です。

清掃スタッフの雇用維持と技術継承

M&Aは、廃業による優秀な人材の流出を防ぎ、組織的な技術継承を実現する有効な手段です。特に技術力の高いスタッフの継続雇用は、事業価値の維持に直結します。従業員の将来を守る選択肢として、M&Aを検討する価値は十分にあるでしょう。

サービス品質の向上

M&Aにより大手企業グループに参画することで、顧客サービスの品質向上が期待できます。例えば、最新の顧客管理システムの導入、予約システムのデジタル化、多様な決済手段の提供など、中小事業者では投資が難しいサービス基盤の強化が可能です。顧客利便性の向上は既存顧客の満足度を高め、リピート率や顧客単価の向上につながります。

ハウスクリーニング業者がM&Aで売却するデメリット

多数のメリットがある一方で、ハウスクリーニング業界特有のリスク要因も存在します。

ここでは、ハウスクリーニング業者がM&Aをするデメリットをご紹介します。

長年の顧客との信頼関係が変化するリスク

ハウスクリーニングは顧客の私的空間に立ち入って手入れを行うサービスであり、信頼関係の構築が事業基盤となります。顧客は特定のスタッフや創業者との人間関係を重視してサービスを継続利用するケースが多く、担当者交代や接客方針の変更が顧客離れを招く可能性があります。

元従業員の労働条件や勤務体制の変更

給与体系、勤務シフト、福利厚生など、さまざまな労働条件が買収企業の人事制度に合わせて変更される可能性があります。とりわけ中小のハウスクリーニング事業者では、アットホームな社風や柔軟な勤務体制が魅力となっているケースが多く、大手企業の標準化された人事制度への移行によって従業員満足度が低下するリスクがあります。

ハウスクリーニング業者がM&Aで売却を成功させるためのポイント

ハウスクリーニング業者が売却を成功させるには、業界特有の価値要素を適切に評価・可視化し、円滑な事業移行を実現するための準備が欠かせません。詳細は以下の通りです。

独自の清掃技術・ノウハウのマニュアル化

ハウスクリーニング特有の清掃技術を体系化し、“暗黙知”を“形式知”へと変換することが、M&A成功の第一歩となります。長年の経験から培われた独自のノウハウをマニュアル化することで、買収後の技術移転がスムーズになるでしょう。

顧客データの整理・可視化

ハウスクリーニング業界のM&Aでは、安定的な収益基盤となる固定顧客やリピーターの存在が重要視されます。単なる顧客リストではなく、顧客関係の質と将来性を示す体系的なデータベースの構築が、買い手との交渉を有利に進める鍵です。

顧客データベースには、連絡先情報に加えて利用頻度、平均利用単価、サービス内容、特別な要望事項、過去の対応記録など、顧客関係の深度を示す多角的な情報を含めましょう。特に顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)などの指標は、将来収益の予測材料として、買い手側の意思決定に影響します。

季節ごとの売上変動データの整理・体系化

ハウスクリーニング需要は、年末大掃除シーズン、春の引越しシーズン、夏のエアコンクリーニング期など、季節的な波があります。過去3〜5年分の月次データを分析し、対応戦略を明示することで、買い手に事業の安定性や予測可能性を伝えられます。

ハウスクリーニング業界のM&A事例

最後に、ハウスクリーニング業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

イオンリテール株式会社によるアクティア株式会社のM&A

2023年9月、イオンリテール株式会社は、家事支援サービスを展開するアクティア株式会社の全株式をイオンディライト株式会社から取得し、子会社化しました。

アクティアはハウスクリーニングや宅配クリーニング、家事代行といったサービスを全国展開しており、共働き世帯の増加を背景に市場拡大が続く家事代行分野でのノウハウを有しています。

本件M&Aにより、イオンリテールは自身が展開するリフォーム・DIY・家電販売など“くらし”支援事業とのシナジーを図り、顧客接点をより多角的に広げる狙いです。流通業による生活支援サービスへの参入は、リテール領域の新たな価値創造に向けた動きとして注目される事例です。

【出典】イオンリテール株式会社「アクティア株式会社の株式取得(子会社化)について」

センコーグループホールディングス株式会社によるダイヤクリーニング株式会社のM&A

2021年11月、センコーグループホールディングス株式会社は、中国・四国地方を中心にクリーニング事業を展開するダイヤクリーニング株式会社の全株式を取得し、グループ化しました。

ダイヤクリーニングは岡山県を中心に約200店舗を構え、業界上位の売上規模と高い収益性を誇ります。特にコインランドリー分野では約100店舗を展開し、西日本最大級の規模を有しています。

今回のM&Aにより、センコーグループは生活支援領域の事業拡充を図り、物流事業に加えてライフサポート分野への展開を加速。今後は古着のリサイクルなど環境配慮型サービスの導入も検討されており、生活インフラとしての総合サービス提供企業を目指す戦略的な動きといえます。

【出典】センコーグループホールディングス株式会社「中四国エリアで、クリーニング大手企業をグループ化」

株式会社きょくとうによる株式会社二葉のM&A

2021年11月、クリーニング事業を展開する株式会社きょくとうは、株式会社二葉より東京都内のクリーニング取次所7店舗を譲り受けました。譲受対象は杉並区、中野区、武蔵野市に立地しており、年間売上は約8,000万円を見込んでいます。

本件は営業基盤の強化と関東地区における事業効率化を目的としたもので、きょくとうにとっては地盤である九州・西日本エリアから首都圏への更なる展開を図る一手といえます。都市部でのシェア拡大と経営資源の最適化を通じて、持続的成長を目指す戦略的な事業譲受です。

【出典】株式会社きょくとう「事業の一部譲り受けに関するお知らせ」

まとめ|ハウスクリーニング業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

M&Aの成功には、独自技術のマニュアル化や顧客データの可視化が不可欠です。ただし、これらの準備には専門的知識が求められます。M&A仲介会社なら、業界特性を理解した戦略立案から買い手企業の選定、交渉プロセスまで一貫してサポート可能です。人材不足や後継者問題に直面する中小事業者こそ、専門家の力を借りて最適なM&Aを実現しましょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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