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家具業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.04.11
  • 更新日2025.04.14

家具業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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家具業界では、市場環境の変化に対応するため、M&Aによる事業再編が加速しています。2022年の市場規模は1兆1,330億円に達していますが、原材料価格の高騰やEC市場の急成長、事業承継問題など、業界は多くの課題を抱えています。

今回は、家具業界のM&A最新動向や、売り手目線でのメリット・デメリット、具体的なM&A案件事例、成功に向けたポイントを徹底解説します。

家具業界の市場動向

「矢野経済研究所」の調査によると、2022年時点の家庭用・オフィス用家具市場は、前年比103.8%となる1兆1,330億円まで拡大しました。東京23区を中心とした新築オフィスビルの大量供給や、企業による生産性向上を目的としたオフィス環境への投資が、市場を下支えしています。

ESG投資(社会的責任投資)の観点からも、日本の家具業界は転換期を迎えています。例えば、再生材や国産木材を活用した商品開発、家具の長寿命化設計など、環境に配慮した取り組みが市場の新たな成長の原動力となっているのです。

【出典】株式会社矢野経済研究所「家庭用・オフィス用家具市場に関する調査を実施(2023年)」

家具業界が抱える課題

日本の家具業界は、市場規模の縮小や構造的な変化に直面しています。ピーク時と比較すると市場規模は縮小しており、業界再編の必要性が高まっているようです。ここでは、家具業界が抱える課題をご紹介します。

原材料の高騰と供給不安定化

近年における地政学的リスクの高まりにより、木材や金属などの原材料価格が急激に高騰しています。特定国からの材料供給が不安定になったことで、家具製造自体の収益性が低下しました。このような状況下で、企業は効率的かつ柔軟なコスト削減策を探る必要に迫られています。

EC市場の急成長による競争激化

「経済産業省」によると、家具のEC市場は2022年に2兆3,541億円の規模に達し、EC化率は29.59%まで上昇しています。消費者の購買行動がオンラインにシフトする中、デジタル技術への対応が企業の競争力を左右する要素となりつつあります。

【出典】経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査」 

事業承継問題と後継者不足

「日本政策金融公庫」の調査では、中小企業のうち後継者が決まっている企業はわずか10.5%にとどまり、57.4%の企業が廃業見込みであることがわかっています。経営者の高齢化が進む中、後継者不在による廃業リスクは年々高まっています。

【出典】日本政策金融公庫「中小企業の経営課題に関する調査結果」

家具業界のM&A最新動向(2025年)

近年の家具業界では異業種からの参入やEC事業の強化、サステナビリティの対応など、さまざまな目的の企業買収が行われています。ここでは、家具業界のM&Aの最新動向をご紹介します。

グローバル展開を視野に入れた買収

家具業界では、近年のグローバル化を背景に、事業のグローバル展開を視野に入れたM&Aの事例がよく見られます。例えば、2021年にオフィス家具などを扱う「株式会社オカムラ」がシンガポールのオフィス向けデザイン・内装工事会社「DB&B Holdings Pte.Ltd」の株式を取得し、子会社化した事例が挙げられます。

EC企業と家具メーカーの統合

上記の通り、家具業界におけるEC化率は30%近くまで成長しており、オンライン販売の重要性が高まっています。それにともない、製造技術を持つメーカーとEC販売のノウハウを持つ企業との経営統合が増加傾向にあります。中高価格帯やデザイン性の高い家具分野での品揃え強化を目指す動きと考えられるでしょう。

リユース市場を狙ったM&Aが活発化

家具業界では、サステナビリティや循環型経済への関心の高まりを受けて、リユース事業者の買収や、リユース市場への参入を積極的に進めています。例えば、海外大手家具メーカーのIKEAが自社の中古家具を修理し再販売するなど、家具業界でもリユース品販売が注目されている状況です。

消費者庁の「消費者意識基本調査(令和5年度)」によると、エシカル消費(倫理的消費)を実践する消費者の割合は36.1%となりました。約3人に1人がサステナブルの観点から物を買っていることがわかります。サステナビリティ志向の消費者が増えている点を踏まえ、家具業界の顧客獲得につなげるための動きがリユース市場への参入につながっているといえます。

【出典】消費者庁「消費者意識基本調査(令和5年度)」

家具メーカーがM&Aで売却するメリット

ここから、家具メーカーがM&Aをするメリットをご紹介します。売り手企業目線のメリットにフォーカスしてお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

経営資源の有効活用

M&Aを通じて買い手企業による製造ラインの一本化や設備の共有化が進むと、売り手企業は経営資源を有効活用できます。既存の経営資源を買い手企業の持つ最新設備や技術と組み合わせることで、引き続き家具業界に貢献することが可能です。

資金化による株主還元

売り手側は事業を売却することで資金化できます。調達した資金は株主への還元に用いることも可能です。配当金を増加させたり、自社株買いを行ったりすることで、株主に利益を与え、信頼を高める選択肢もあります。

事業存続の確保

後継者不在に悩む経営者にとって、M&Aは事業存続のきっかけになる手段です。大手企業の傘下に入れば、長年培ってきたブランド価値を維持しながら事業を継続できます。なお、家具業界においては、優れた製造技術や独自性の高いデザインに定評のある企業は、売却先を探しやすい傾向にあります。

海外市場へのアクセス

グローバル展開を目指す家具メーカーにとって、海外企業とのM&Aは有効な経営戦略です。国際的なブランド力や販売網を持つ企業との統合により、海外市場へのスムーズな参入が可能となります。

家具メーカーがM&Aで売却するデメリット

続いて、M&Aのデメリットについて解説します。以下の課題は、事業継続の観点から慎重な検討が必要です。

統合後の経営方針の変更

自社の企業文化や製造手法が、買収後に大きく変わる可能性があります。特に家具製造業では、職人の技術や伝統的な製造プロセスが価値を持ちます。経営方針の変更が、デザインの継続性やブランドイメージに変化をもたらし、企業のアイデンティティに大きな影響をおよぼすかもしれません。

既存従業員の雇用・待遇の変化

組織再編後、従業員の処遇や職場環境が変化するケースが見られます。熟練工や技術者の待遇変更は、製品品質の維持、そして技術継承の観点から重要です。それだけでなく、従業員が新しい企業文化への適応に時間を要することもあります。

家具メーカーが売却時にM&Aを成功させるためのポイント

M&Aの成功には、経営統合後のビジョン共有やデジタル戦略の強化、そして人材マネジメントといった3つの要素が重要です。各ポイントについて、詳しくお話します。

デジタル活用とEC戦略の強化

近年はオンラインショールームの設置や、ARを用いた商品提案など、デジタル技術を活用した顧客体験の需要が高まっています。また、3Dモデリングやカスタマイズツールを使って、顧客の要望へ柔軟に応えるサービスが注目されています。M&A後にデジタル戦略を強化することで、新規顧客の獲得や売上の拡大につながる可能性があります。

経営統合後のビジョン共有

M&A成功の鍵を握るのは、買い手企業との経営ビジョンの共有にほかなりません。その際は、これまでに自社が培ってきた家具ブランドの価値を理解して統合を進めることが大切です。両社の強みを活かしたシナジー効果の創出を目指し、事前に詳細な統合計画を策定しましょう。

従業員との丁寧なコミュニケーション

M&A後の組織統合においては、従業員のモチベーション維持と、新しい企業文化への適応をサポートする体制づくりが求められます。具体的には、統合後の役割や処遇を明確化し、従業員との丁寧なコミュニケーションを図ることが大切です。

家具業界のM&A事例

最後に、家具業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

株式会社イトーキによる株式会社ソーアのM&A

2024年1月、オフィス家具大手のイトーキは、東京都墨田区に本社を置く株式会社ソーアの全株式を取得し、完全子会社化することを発表しました。

ソーアは、オフィス家具の搬送・施工をはじめ、オフィスデザインや輸入家具販売など幅広い事業を展開しています。特に首都圏での施工・輸送に強みがあり、イトーキは同社のノウハウを取り込むことで、物流プロセスの効率化とサービス品質の向上を図る狙いです。

本件はグループ内物流機能の強化を目的とした戦略的買収であり、今後のワークプレイス事業の競争力強化に寄与すると見られます。

【出典】株式会社イトーキ「株式会社ソーアの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

株式会社山大によるビィ・エル・シー株式会社のM&A

2024年10月、建材専門商社の山大(東証スタンダード上場)は、東京都千代田区に本社を構えるビィ・エル・シー株式会社の全株式を取得し、完全子会社化することを決定しました。

ビィ・エル・シーは、ツーバイフォー工法向けの内装建材や室内ドアなどの販売を主力とする企業で、首都圏を中心に事業展開しています。

今回のM&Aにより、山大は新たに内装建材販売事業をグループに取り込み、顧客への商材提供の幅を拡げるとともに、宮城県外への拠点拡充を図る狙いです。地域的・事業的な補完関係を活かしたシナジー創出が期待される案件です。

【出典】株式会社山大「ビィ・エル・シー株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

日創プロニティ株式会社によるシキファニチア株式会社のM&A

2024年3月、内装材・建材などの加工を手がける日創プロニティ(東証スタンダード・福証上場)は、福岡県朝倉市に本社を構える家具メーカー、シキファニチア株式会社の全株式を取得し、完全子会社化する株式譲渡契約を締結しました。

シキファニチアは「SIKI」ブランドで、家庭用・業務用のダイニング家具を一貫生産する企業です。

本件により、日創プロニティは個人向けにはWebサービス「カナエテ」への家具掲載による集客を狙い、法人向けにはグループ各社と連携して空間提案力を強化する戦略です。また、シキファニチアの高い加工技術を取り込むことで、グループ全体の競争力向上も見込まれます。製造力と販路の両面からシナジー効果を期待するM&Aです。

【出典】日創プロニティ株式会社「シキファニチア株式会社の株式取得(子会社化)に係る株式譲渡契約締結のお知らせ」

家具業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

家具業界のM&Aでは、職人技術の評価や製造ノウハウの承継、さらには適正な企業価値評価など、専門的な知見が求められます。成功のためには専門家に依頼することがおすすめです。M&A仲介会社の豊富な経験とネットワークを活用することで、スキームの選択から実行までの一貫したサポートを受けられるでしょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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