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信金(信用金庫)を活用したM&A最新動向(2025年)メリットデメリットを解説

業種

  • 公開日2025.04.24
  • 更新日2025.04.24

信金(信用金庫)を活用したM&A最新動向(2025年)メリットデメリットを解説

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全国の信用金庫店舗数は減少傾向にある一方で、中小企業向け貸出残高は着実に増加しています。中小企業の日常的な資金繰りを支える信用金庫ですが、事業承継・事業売却などのM&A支援に、積極的に取り組む時代となりました。

本記事では、信用金庫の現状やM&A支援における最新動向を徹底解説します。信用金庫を通じて事業承継・事業売却をするメリット・デメリットについても触れますので、中小企業の経営者はぜひ最後までお読みください。

日本の信金(信用金庫)の現状

「信金中央金庫」が公開した統計データによると、2023年3月末から2024年3月末にかけて、信用金庫の店舗数は7,106店から7,077店へと29店舗減少しています。内訳を見ると、本店数は254で変化がない一方、支店が6,645店から6,620店へと25店舗減少し、出張所も207か所から203か所へと4か所減少しています。

また、信用金庫の中小企業向け貸出残高は、2019年度末の46兆8,264億円から2023年度末には54兆4,043億円へと増加しました。特筆すべきは、融資先の資金用途です。

信用金庫の場合、運転資金の割合が設備資金を上回る状況が続いており、2023年度末時点で設備資金23兆6,107億円に対し運転資金30兆7,986億円となっています。国内中小企業の日常的な資金繰りサポートにおいて、信用金庫が重要な役割を果たしていることがわかります。

【出典】信金中央金庫「全国信用金庫概況・統計」

信金(信用金庫)のM&A支援最新動向(2025年)

近年、後継者問題などに悩む中小企業の増加にともない、信用金庫は地域密着型の特性を活かしたM&Aの支援を積極的に展開しています。ここでは、信用金庫のM&A支援最新動向をご紹介します。

独自ネットワークを活用したマッチング支援

信用金庫のネットワークを最大限に活用した「ビジネスマッチングプラットフォーム」の整備が、信用金庫のM&A支援における最大の強みです。主要なプラットフォームとして、「信金中央金庫」と「株式会社トランビ」が共同で構築した「しんきんトランビプラス」があります。このシステムでは、信用金庫の取引先企業が売り手・買い手として参加し、信用金庫が情報登録からマッチング先の発掘までを一貫してサポートします。これにより、地理的な制約を超えたマッチングが実現し、中小企業の事業承継・事業売却を効率的に行えるようになりました。

小規模M&A・事業承継支援に特化

国内の信用金庫は、地域の中小企業・小規模事業者に特化したM&Aに注力しています。特に事業承継関連の支援実績が多く、地域密着型ならではの、きめ細かなサポートが強みです。

統計が示す変化は顕著です。「信金中央金庫」によると、2009年度中の全国信用金庫によるM&A・事業承継支援実績はわずか36件に過ぎませんでしたが、2023年度には支援実績が578件(うち事業承継関連が361件)へと増加しました。

【出典】信金中央金庫「信用金庫における「地域密着型金融の取組状況」(2023 年度実績)等について」
【出典】信金中央金庫「信用金庫における「地域密着型金融の取組み状況」(平成 21 年度)」

外部専門機関との連携強化

信用金庫ではM&A支援の専門性を高めるため、外部の専門機関との連携体制の構築を積極的に進めています。専門的な知見を持つ機関との協力関係を通じて、より高度で総合的なM&A支援サービスの提供を目指しています。

また、公的支援策の活用も積極的に行っています。各都道府県の支援プログラムなど、公的機関による支援メニューを効果的に取り入れることで、中小企業の事業承継・事業売却をサポートしています。

信金(信用金庫)を通じてM&Aをするメリット

ここからは、信用金庫を通じてM&Aをするメリットをご紹介します。売り手企業目線の内容にフォーカスしてお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

地域に根差した情報力による最適なマッチング

信用金庫は地域経済のハブとして機能し、地元企業の詳細情報を豊富に蓄積しています。企業の実態や経営者の意向を深く理解した上で、ニーズに合致したマッチングを実現しています。

アフターフォローを含めた継続的支援

信用金庫のM&A支援は取引成立だけで完結せず、統合後の事業安定化や成長戦略の実行まで見据えた長期的なサポートを受けられます。地域密着型の「伴走型支援」は、信用金庫ならではの魅力といえます。

地域企業ネットワークへのアクセス

信用金庫を介したM&Aは、地域に根付いた企業ネットワークへの参入経路としても機能します。地域経済の活性化を目指した企業連携が促進され、同一地域内での補完的な事業連携や新たな取引関係の構築につながる可能性があります。

信用金庫を通じてM&Aをするデメリット

信用金庫のM&A支援にはメリットがある一方で、いくつかの構造的な制約や課題が存在します。地域密着型金融機関としての特性を理解した上で、相談するかどうか検討しましょう。ここでは、信用金庫を通じて事業承継・事業売却するデメリットをご紹介します。

専門的知識やノウハウが限定的

店舗によってはM&A専門部署の人員や経験値が限定的で、とりわけ複雑な案件や専門性の高い分野では十分なサポートが受けられない可能性があります。また、M&A後の統合プロセスに関するサポートも課題となり得ます。買い手と売り手、双方における企業文化の融合、人事・給与制度の統合、IT基盤の統合など、M&A後に発生する複雑な課題の知見・経験が不十分なケースが少なくありません。

対応できる案件規模・業種に制限がある

信用金庫の基本的な性格は地域金融機関であり、その営業基盤は地域経済との結びつきに大きく依存しています。このため、広域にわたる案件や複雑な業界構造を持つ業種については、情報収集能力や専門知識の面で限界が生じることもあります。特に、全国規模での事業展開を目指す企業や、国際的なM&A案件を検討する企業にとっては、信用金庫単独での支援体制では不満に感じるでしょう。

M&A仲介手数料の確認が必要

信用金庫のM&A仲介手数料は金融機関によって異なります。一般的には民間のM&A仲介会社と比較して低めに設定されているケースが多いものの、信用金庫によっては独自の手数料体系を採用していることもあります。特に譲渡価額が小さい案件では、手数料が相対的に高い割合を占めてしまう可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

また、信用金庫が外部のM&A専門業者と連携して案件を進める場合は、追加の費用が発生することもあります。M&Aを検討する際は、手数料体系や支払いタイミングなどの条件を明確にし、複数の選択肢を比較検討することがポイントです。

地域密着型ゆえの情報の偏り

信用金庫は地域内の情報には強みを持つものの、活動範囲外の情報収集には限界があります。このため、業界全体の動向や全国レベルでの市場情報、海外企業との連携可能性などの広範な情報提供が難しい場合があります。

さらに、地域内での人間関係や評判が意思決定に影響を及ぼす可能性も無視できません。信用金庫と長期的な取引関係にある企業への配慮から、完全に客観的な視点での分析・助言が難しくなるケースも考えられます。地域密着型金融機関ならではの「顔の見える関係」は大きな強みである一方、時としてそれが公平な判断を妨げる要因にもなるのです。

信用金庫のM&A事例

最後に、信用金庫のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

札幌信用金庫・北海信用金庫・小樽信用金庫の合併

2018年1月、札幌信用金庫、北海信用金庫、小樽信用金庫の3信金が合併し、「北海道信用金庫」として営業を開始しました。これにより、預金量が1兆円を超える北海道内最大の信用金庫が誕生しました。

合併後の預金量は約1兆1212億円、貸出金は5720億円に達し、道内での存在感が大きく増しています。営業エリアは後志や石狩など道央を中心に88店舗と広範で、観光客が増加するニセコ地区や北海道新幹線の札幌延伸に向けたインフラ投資の資金需要取り込みを見据えています。

今後は支店統廃合などによる効率化も視野に、地域経済を支える金融機関としての体制強化が期待されます。

【出典】日本経済新聞「3信金合併の北海道信金、営業開始 道内最大」

北陸信用金庫と鶴来信用金庫の提携

2019年1月、北陸信用金庫(金沢市)と鶴来信用金庫(白山市)は、取引先支援や業務効率化を目的とした業務提携を締結しました。両信金は石川県内で営業エリアが重なっており、その地理的優位性を活かして、地元企業のマッチング支援やコスト削減などに共同で取り組む方針です。

人口減少や超低金利が続く中で、地域金融機関は経営基盤の強化が急務となっており、今回のような広範な業務連携は、単独行動よりも効果的な成長戦略といえます。合併には至っていないものの、経営統合に向けた地ならしの一環と見る向きもあり、今後の動向が注目されます。

【出典】日本経済新聞「北陸と鶴来 2信金提携 取引先支援や共同業務」

OLTA株式会社と岡崎信用金庫の資本業務提携

2023年5月、オンライン型ファクタリングを手がけるOLTA株式会社は、愛知県の岡崎信用金庫と資本業務提携を締結し、「おかしんクラウドファクタリング powered by OLTA」の提供を開始しました。

クラウドファクタリングは、売掛債権を即時資金化できる手法で、特に資金繰りに悩む中小企業や個人事業主のニーズに応えるサービスです。OLTAはこれまでにも全国の金融機関と提携してきましたが、今回の提携により、OEM提携する金融機関は27行庫に達しました。

非対面取引の需要拡大やコロナ禍後の資金繰り悪化といった背景を受け、地域金融機関とフィンテック企業の協業による資金調達支援は今後ますます重要性を増すと見られます。

【出典】OLTA株式会社「OLTA、岡崎信用金庫と資本業務提携し、クラウドファクタリング事業の提供を開始」

適切な専門家の支援を受けてM&Aを成功させましょう

信用金庫のM&A支援は、地域密着型の情報力と独自ネットワークを活かしたマッチングが強みです。しかし、専門知識の限界や対応可能な案件規模の制約、地域外の情報収集に弱いといった課題も存在します。より専門的で広範囲なM&Aサポートを求める場合は、これらのデメリットをカバーできるM&A仲介会社に依頼しましょう。

M&A専門の仲介会社は業界知識や交渉ノウハウを持ち、地域を超えた幅広いマッチングを実現します。これから事業承継・事業売却を検討している経営者様は、信用金庫と並行してM&A仲介会社に相談することがおすすめです。

CINC Capitalでは、中小企業の事業承継・M&Aに特化した専門チームが、経営者様の意向に寄り添いながらM&A支援を行っています。信用金庫との連携実績も豊富で、地域の情報力と専門的な知見を組み合わせた最適なM&A戦略をご提案いたします。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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