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建設コンサル業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

業種

  • 公開日2025.03.27
  • 更新日2025.04.02

建設コンサル業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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社会インフラの更新需要や防災ニーズの高まりを背景に、建設コンサル業界は堅調な成長を続けています。一方、業界全体で技術者の高齢化、人材不足といった課題に悩まされており、その解決策としてM&A(合併・買収)を検討する企業は増加傾向にあるようです。

今回は、建設コンサル業界における2025年の最新M&A動向、メリット・デメリット、成功のためのポイントを徹底解説します。

建設コンサル業界の市場動向

建設コンサルタント業界は、社会インフラの整備需要と防災対策を中心に発展を続けています。ここでは、国内における建設コンサル業界の市場規模や今後の展望についてご紹介します。

建設コンサル業の市場規模

厚生労働省が公表した「建設関連業等の動態統計調査」によると、2023年度における建設コンサル業界の契約実績は6,859億円に達しました。この成長を支えているのは、経年劣化が進むインフラ設備への対応と、防災ニーズの高まりです。

日本では、高度経済成長期に整備されたインフラの多くが、今後20年の間に更新時期を迎えるとされています。そのため、インフラ関連の需要は引き続き拡大が見込まれています。

さらに近年多発する自然災害への備えとして、防災・減災に関するプロジェクトが増加しています。建設コンサルの需要はさらに伸びると予想されます。

【出典】厚生労働省「建設関連業等の動態調査報告」

建設コンサル業の展望

2025年に向けての大規模イベントが追い風となり、建設コンサルの需要拡大が予測されています。特に、インフラの経年劣化対策や防災関連の需要は安定した推移を見せると考えられています。

一方で、業界が抱える課題として、技術者の高齢化や人材確保の難しさが挙げられます。そのためにも、デジタル技術の導入や業務プロセスの効率化が進められており、これらの取り組みが業界の成長、市場規模の拡大を後押しするものと考えられます。

建設コンサル業界が抱える課題

建設コンサル業界は、市場規模の縮小・技術者の高齢化・深刻な人材不足といった三重の課題に直面しています。いずれも密接に関連しており、業界の存続を脅かす要因です。それぞれ詳細を見ていきましょう。

市場の縮小

日本の人口減少にともなう国内市場の収縮は、避けられない課題です。この状況を打開するために、企業は海外市場への進出やM&Aを通じた事業基盤の強化を積極的に進めています。特に大手企業による中小企業の統合、異業種企業の参入が活発化していて、業界全体の構造改革が加速しています。

労働者の高齢化

建設業界における就業者の年齢構成は不均衡です。55歳以上の熟練技術者が全体の約36%を占める一方で、29歳以下の若手技術者はわずか約12%にとどまっています。深刻な年齢構成の偏りにより、長年培われてきた技術やノウハウを次世代へ継承することが難しくなり、業界の将来的な発展に大きな影響を与えています。

【出典】国土交通省「建設業、不動産業界の最新動向、今後の展開」

人材不足

建設コンサル業界では、長時間労働や休日出勤などが当たり前の状況になっていること、若手社員の早期離職が多いこと、そして体系的な人材育成システムが欠如していることなどから、人材不足が深刻化しています。高度な専門知識と技術力を必要とする職種でありながら、新入社員を育成する環境が十分に整備されていない点は、業界全体にとって喫緊の課題です。

建設コンサル業界のM&A最新動向(2025年)

近年、事業基盤の拡大や技術革新を目的としたM&Aが活発化しています。特筆すべきは、異業種からの参入が増加していること、そしてデジタル技術の導入を加速させるための戦略的なM&Aが展開されていることです。以下、2つのポイントからご説明します。

M&Aは増加傾向

建設コンサル業界におけるM&Aは、2024年から2025年にかけて顕著な増加が見られます。主に人材確保の課題や技術革新への対応、高度な専門技術の獲得を目的とした戦略的なM&Aが中心です。

2025年に向けては、中堅・中小企業の事業承継問題が深刻化する中で、業界再編や企業統合がさらに加速すると予測されています。これにともない、M&Aの重要性は一層高まっていくことでしょう。

異業種への参入の増加

異業種からの参入も増えています。とりわけIT系およびエネルギー系の企業が、再生可能エネルギーやスマートシティといった分野で積極的に参入している点が特徴的です。

理由はいくつか挙げられますが、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の推進が大きいでしょう。「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」や「GIS(地理情報システム)」といったデジタル技術の導入を加速させるため、IT企業による建設コンサル企業の買収が増加しているわけです。

建設コンサル業がM&Aをするメリット

M&Aは、企業の持続的な発展や競争力強化に向けた経営戦略です。メリットについて、売り手側の視点でご紹介します。

売却益を得られる

建設コンサル企業が持つ専門技術やプロジェクト実績、顧客ネットワークといった無形資産は、M&Aの場で高く評価されることが多くなります。適切な企業価値評価が行われることで、相応の売却益を得られるでしょう。経営者は、長年築いてきた事業を適切な形で現金化でき、引退後の生活や新事業への投資資金に活用できます。

会社を存続できる

M&Aは会社存続の道を開きつつ、成長の機会を広げる有効な手段です。自身の高齢化や後継者不在などの理由で会社を畳もうとしている経営者にとって、M&Aは会社存続の糸口となるでしょう。

従業員の雇用を守れる

事業承継によって従業員の雇用を確保できるだけでなく、これまでの技術やノウハウを次世代に継承する環境を整えられます。従業員の安心感を高めながら、事業の安定的な運営を実現できるのがM&Aの大きなメリットといえます。

建設コンサル業がM&Aをするデメリット

M&Aは多くのメリットがある一方で、売り手側にはさまざまなリスクや注意点が存在します。特に、組織統合や人材マネジメントの観点から慎重な計画と対応が必要です。

従業員が退職するおそれがある

M&A後の組織変更や経営方針の転換によって、既存従業員が不安を抱える可能性があります。企業文化の違いに馴染めなかったり、新しい組織体制に適応できなかったりした場合、離職する従業員が出てくるでしょう。中でも核となる技術者、経験豊富な社員が離職することで、企業全体の技術力や競争力が低下するリスクがあります。

希望に沿った相手が見つかるとは限らない

建設コンサル業界特有の専門性や地域性は、理想的なM&Aパートナーを見つけるうえで大きなハードルとなります。企業価値の評価に対する見解の違いや、経営理念の不一致などが原因で、希望に沿った相手が見つからないことが少なくありません。

建設コンサル業がM&Aを成功させるためのポイント

M&Aを成功させるには、入念な準備と体系的なアプローチが必要です。ここでは、M&Aを成功に導くポイントをご紹介します。

M&Aの目的の明確化

M&Aの目的を明確にし、組織全体で共有することが重要です。単なる規模の拡大にとどまらず、技術力の向上や市場シェアの拡大など、具体的な成果目標を設定する必要があります。

従業員のモチベーションの維持

M&A実施にともなう課題の一つが、従業員の不安解消とモチベーションの維持です。統合後の組織体制や処遇について、早い段階で明確な方針を示すことが、従業員の不安を軽減することにつながります。

自社の強みの分析

自社が持つ競争優位性を、客観的に分析することが必要です。保有する技術やノウハウ、顧客基盤、地域での信頼度などを見直し、どのように活用するかを明確にすることで、交渉を有利に進められるでしょう。

シナジー効果を見込める売却先の調査

シナジー効果を最大化させるため、適切な売却先を選定しましょう。技術的な補完関係だけでなく、地理的な事業展開の相性や顧客層の重複状況などを多角的に分析し、売却先を見極める必要があります。

建設業許可の引継ぎ

合併や事業譲渡などのスキームによって、建設業許可の取扱いが異なります。新規の許可取得が必要な場合には、申請から取得までの期間を考慮して譲渡計画を立てましょう。また、許認可・登録関連では「建設コンサルタント登録」「測量業者登録」「地質調査業者登録」「補償コンサルタント登録」などの確認も必要です。

M&Aの専門家への相談

M&Aでは、法務・財務・税務など各分野の専門家によるサポートが欠かせません。特に建設コンサル業界の場合、デューデリジェンスで「進行中の業務案件」「技術者の保有資格」「過去の成果品の品質」「官公庁との取引実績」などを入念にチェックします。

専門家チームを早期に組成し、リスク評価や対策を徹底することで、スムーズに統合プロセスを実現できるでしょう。なお、M&A仲介会社に相談することで、これらの包括的なサポートが受けられます。

建設コンサル業界のM&A事例

人・夢・技術グループ株式会社による株式会社ピーシーレールウェイコンサルタントのM&A

人・夢・技術グループ株式会社は、2022年8月25日付で株式会社ピーシーレールウェイコンサルタントの全株式を取得し、完全子会社化する契約を締結しました。本件は、建設コンサルタント業界における事業領域の拡大と技術力の強化を目的としています。

ピーシーレールウェイコンサルタントは、栃木県を拠点とする中堅建設コンサルタントで、道路橋や鉄道橋の設計を強みとし、鋼構造物や上下水道、鉄道関連事業など幅広い分野で実績を持ちます。特に、ゼネコンやメーカー出身の技術者が多く、詳細設計に優れた能力を有しています。近年では、アジア圏の留学生を採用し、グローバル展開を進めています。

本件M&Aにより、人・夢・技術グループはピーシーレールウェイコンサルタントの技術力や顧客基盤を活用し、事業の多角化と成長を加速させる狙いです。また、国土強靭化や地域活性化といった社会課題に対する取り組みを強化し、PPP/PFI事業の拡大にも寄与することが期待されます。

【出典】人・夢・技術グループ株式会社「株式会社ピーシーレールウェイコンサルタントの株式取得(完全子会社化)に関するお知らせ」

川崎地質株式会社によるユニオン・コンサルタントのM&A

川崎地質株式会社は、2022年12月8日付で、北海道を拠点とする建設コンサルタント企業、株式会社ユニオン・コンサルタント(UC社)の全株式を取得し、子会社化する契約を締結しました。本件は、同社の中期経営計画における「事業領域の拡大」の一環として実施されました。

UC社は、地質調査・土質調査を主力とし、北海道の公共事業を支えてきた実績を持つ企業です。川崎地質は、本件M&Aを通じて、同地域での事業基盤を強化し、自社の技術力を活かしたサービス提供を推進する狙いがあります。特に、地盤解析や防災関連の調査技術を活用することで、北海道における社会インフラの安全性向上に貢献すると期待されます。

本件は、川崎地質の企業価値向上にも寄与すると考えられ、同社のさらなる成長につながるM&A事例といえます。今後、両社の技術・ノウハウを融合し、より精緻な調査・解析を提供することで、持続可能な社会基盤の構築を目指します。

【出典】川崎地質株式会社「株式会社ユニオン・コンサルタントの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

OSJBホールディングス株式会社による山木工業ホールディングス株式会社のM&A

OSJBホールディングス株式会社の連結子会社であるオリエンタル白石株式会社は、2020年12月25日付で山木工業ホールディングス株式会社の株式を取得し、子会社化する契約を締結しました。これにより、OSJBホールディングスにとっては山木工業ホールディングスが孫会社となります。

本件の背景には、OSJBホールディングスの中期経営計画における「地域戦略」と「新領域への事業展開」の方針があります。特に、東北地域の事業基盤の強化と、港湾関連事業への進出が狙いとされていました。山木工業ホールディングスの子会社である山木工業株式会社は、小名浜港を中心とした港湾工事を主力事業とし、福島県やいわき市での豊富な工事実績を有しています。本件M&Aにより、オリエンタル白石は橋梁工事の受注拡大が期待できる一方、山木工業もOSJBグループのネットワークを活用することで、港湾土木工事の受注機会を広げることが可能となります。

本件の株式取得総額は約38.2億円で、オリエンタル白石は山木工業ホールディングスの99.9%の株式を取得しました。本M&Aを通じて、両社の技術力と営業基盤を活かし、東北地域および港湾関連事業での成長が期待されます。

【出典】OSJBホールディングス株式会社「当社連結子会社による株式の取得(孫会社化)に関するお知らせ」

まとめ|建設コンサル業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

建設コンサル業界におけるM&Aは、事業承継や競争力強化、技術革新の実現に向けた有効な手段です。成功のためには、実績豊富なM&A仲介会社などに依頼することが推奨されます。自社の強みを活かしながら、専門家のサポートを受けて経営統合などを進めていきましょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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