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クリニックの譲渡動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.04.11
  • 更新日2025.04.14

クリニックの譲渡動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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近年、医療業界ではクリニックの譲渡が活発化しており、2025年以降はさらにその動きが加速すると予想されています。少子高齢化や院長・医師の高齢化に伴い、後継者不足の問題を抱える医院が増えていることも受け、M&Aを活用した譲渡・継承が重要な選択肢となっています。

特に、売上高の低下や営業権の維持に課題を抱える医院では、M&Aによる売却価格の最大化を図る動きも目立ちます。一方で、譲渡の動向やメリット・デメリットなどに疑問を持つ方も多いでしょう。

本記事では、クリニック譲渡の最新動向や成功事例を交えながら、スムーズに進めるための重要ポイントを解説します。

クリニック業界の市場動向

クリニック業界は、日本の高齢化が進む中で重要な役割を担っています。近年、医療需要の増加に伴い、クリニックの開設数も増えていますが、一方で後継者不足や経営の厳しさから譲渡を検討するケースも増加傾向です。

厚生労働省の調査によると、2022年時点で全国のクリニック数は105,182施設となり、前年から890施設増加しています。新規開設が7,847件と多い一方で、廃止も6,697件と一定数存在しており、経営環境の変化が影響していると考えられます。

また、クリニック業界は慢性的な人手不足に直面している状態です。医師や看護師の確保が難しく、特に地方では後継者不在による経営難が深刻化しており、譲渡やM&Aによる事業継続の選択肢が注目されています。加えて、診療報酬の改定や医療制度の変化もクリニック経営に影響を与えており、経営の安定を図るためにM&Aを活用する動きが加速しています。

【出典】厚生労働省「令和4(2022)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」

クリニック業界が抱える課題

クリニック業界では、高齢化や診療報酬の見直しなど、さまざまな要因が経営に影響を及ぼしています。これらの課題にどのように対応するかが、クリニックの経営を安定させるための重要なポイントといえるでしょう。

クリニックの競争激化

近年、クリニック業界では診療報酬の引き下げにより、従来のように診療を続けるだけで安定した収益を確保することが難しくなっています。特に都市部ではクリニックの数が増え、患者の獲得競争が激化しているため、集患戦略や診療内容の差別化が必要不可欠です。また、医療機関の経営においては、医療サービスの質を維持しながらコスト管理を徹底することも求められています。

経営者の高齢化と後継者不足

厚生労働省の調査によると、診療所に勤務する医師の平均年齢は60.4歳となっており、経営者の高齢化が顕著です。さらに、帝国データバンクの調査では、医療業界の後継者不在率が61.8%と高く、事業承継の難しさが課題となっています。医療機関の承継には専門知識や資格が必要なため、親族への引き継ぎが難しく、第三者への事業譲渡を検討するケースも増加しています。

【出典】厚生労働省「令和4(2022)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
【出典】帝国データバンク「全国「後継者不在率」動向調査(2024年)」

廃業の増加

クリニック業界では、経営者の高齢化や後継者不足により、休廃業や解散の件数が増加しています。2023年度の休廃業・解散は709件にのぼり、10年前と比べて2.3倍に増加しました。この傾向は今後も続くと予想されており、特に小規模な診療所では経営の継続がより困難になる可能性があります。事業継続のためには、経営の効率化やM&Aの活用といった選択肢を検討する必要があるでしょう。

【出典】株式会社帝国データバンク「2023年度 医療機関の「休廃業・解散」動向調査」

クリニックのM&A最新動向(2025年)

近年、クリニック業界におけるM&Aの動きが活発化しており、その背景には経営環境の変化や市場の成長があります。2025年のクリニック業界におけるM&A動向を確かめていきましょう。

クリニックのM&Aが活発化している

近年はクリニックのM&Aが増加傾向にあるといわれています。例えば、独立開業を目指す医師が、既存のクリニックを引き継ぐ形でM&Aを選択するケースが見られます。患者基盤が確立されたクリニックを買収することで、円滑な運営を実現しやすくなるのが魅力です。また、診療所の経営者の高齢化により、事業承継の選択肢としてM&Aが一般化しつつあります。

人材不足を補うM&Aも注目されている

医療従事者の人手不足は、多くのクリニックで課題となっています。例えば、看護師については「7対1看護配置制度」があり、患者7人に1人の看護師を配置することで、高い診療報酬を得られます。ただ、制度対応のために必要な人材を確保するのは簡単ではありません。このような経営課題を解決する手段としてもM&Aが注目されています。

以前は、医療機関のM&Aに対するハードルが高いと考えられていました。しかし、M&A仲介会社の増加や、事業承継ニーズの高まりにより、M&Aを活用する経営者が増えています。2025年以降もこの流れは続き、M&Aを活用したクリニックの成長戦略がさらに一般化すると予測されます。

クリニックがM&Aで譲渡をするメリット

クリニックがM&Aを実施することで得られるメリットは多岐にわたります。後継者不在問題の解決や、医療サービスの質向上、経営の安定化など、M&Aを活用することで得られる具体的なメリットについて解説します。

後継者問題の解決

クリニックの経営者が高齢化する中、後継者不在による事業存続の課題が増えています。M&Aを活用することで第三者に事業を譲渡し、地域医療を継続できる点が大きなメリットです。

経営基盤の強化と安定化

大手医療法人やグループ傘下に入ることで、経営資本や経営ノウハウを活用し、安定した経営を実現できます。また、ブランド力のある法人と統合することで、患者や取引先からの信頼度向上も期待できます。

設備投資負担の軽減と医療サービスの向上

最新の医療設備導入には大きな資金が必要ですが、M&Aにより資本力のある法人と統合することで、設備投資の負担を軽減できます。結果として、医療サービスの向上や診療の効率化が図れます。

医療従事者の確保と労働環境の改善

クリニック単独では医師や看護師の確保が難しいケースもありますが、M&Aによって人材確保しやすくなります。また、大規模グループに属することで労働環境の整備や待遇改善も期待できます。

創業者利益の獲得

M&Aによる売却によって、創業者はまとまった利益を得ることができます。引退後の資金確保や新たな事業への投資など、自由な資産運用が可能となるでしょう。

クリニックがM&Aで譲渡をするデメリット

クリニックのM&Aには、後継者問題の解決や経営の安定化といったメリットがある一方で、売却側にとって注意すべきデメリットも存在します。ここでは、クリニックを譲渡する際に考慮すべきデメリットについて解説します。

買い手が見つからない可能性がある

クリニックを譲渡しようと決めても、すぐに買い手が見つかるとは限りません。医療業界のM&Aでは、診療科目や立地、収益状況によって買い手の関心度が大きく異なります。特に、患者数が減少傾向にあるクリニックや、経営状況が不安定な場合は、買収を避けられる可能性があります。希望する条件での譲渡が難しくなるかもしれません。

M&A後に経営方針が変わるリスク

クリニックが買収された後、買い手の方針によって診療内容や経営戦略が変更される可能性があります。長年の患者層や地域医療との関係性が変化し、経営の方向性が売り手の意図と異なるものになってしまうことがあるでしょう。特に、買い手が異業種からの参入である場合、医療業界特有の価値観が十分に理解されず、運営がスムーズにいかないことも考えられます。

従業員の待遇が変わる可能性がある

M&A後、従業員の給与体系や労働条件が変わる可能性があります。買い手がコスト削減を優先する場合、給与の見直しや人員削減が行われるリスクもあり、長年勤めてきたスタッフの雇用環境が悪化する恐れがあります。そのため、譲渡契約の際には、従業員の雇用条件に関する取り決めを明確にしておくことが重要です。

クリニックがM&Aを成功させるためのポイント

クリニックのM&Aを成功させるには、一般的なM&Aのポイントだけでなく、医療業界特有の事情を考慮することが重要です。ここでは、クリニックのM&Aを円滑に進めるために押さえておくべきポイントを解説します。

許認可のスムーズな引き継ぎを行う

クリニックのM&Aでは、診療所の開設や保険医療機関の指定など、行政の許認可が関わるため、引き継ぎがスムーズに行えないと経営が滞る可能性があります。自治体ごとに異なる手続きが求められる場合もあるため、事前に確認しておくことが重要です。

医師・スタッフの離職を防ぐ

M&Aによって経営者が変わることで、勤務医や看護師が不安を感じ、離職するリスクがあります。特に、クリニックの医師が患者からの信頼を集めている場合、その医師が退職すると患者の離脱につながる可能性もあります。クロージング後に十分な説明を行い、待遇面の調整などを通じてスタッフの流出を防ぐ対策を講じることが大切です。

適切なM&Aスキームを選択する

クリニックのM&Aは、通常の企業M&Aとは異なり株式譲渡ができないため、事業譲渡や合併、医療法人の理事変更などのスキームを適切に選ぶ必要があります。どの方法がもっともスムーズでメリットが大きいのかを事前に検討し、専門家に相談しながら進めましょう。

譲渡先の選定は慎重に行う

クリニックのM&Aでは、譲渡先となる相手が医療機関や医療法人に限られるため、一般の企業M&Aと比べて選択肢が限られます。医療方針や運営方針が異なると、買収後の経営に支障が出る可能性もあるため、理念や運営方針が合う相手を慎重に選ぶことが重要です。

行政との調整を怠らない

クリニックのM&Aでは、行政の許可が必要になる場面が多く、手続きをスムーズに進めなければ経営が停滞する可能性があります。M&Aの準備段階から行政と密に連携し、必要な書類や許可申請を適切に進めることで、スムーズな事業移行を実現できます。

クリニック譲渡の税務・法務上の注意点

クリニック譲渡を行う際には、税務面と法務面での適切な対応が重要です。個人開業医が運営するクリニックの場合、「事業譲渡」の形を取ることが一般的で、医療機器や医療材料、患者データなどの資産が譲渡対象となります。

税務面では、個人クリニックの譲渡では、譲渡所得税(営業権や医療設備の譲渡益に対する課税)や消費税(医療機器や設備に対する課税)が発生する可能性があります。特に「のれん代」(営業権)に関しては、適切な評価額を設定し、税務リスクを最小化することが重要です。

法務面では、クリニックの譲渡には「保険医療機関の指定」の新規取得や「開設届」の提出など、行政手続きが必要です。また、患者データの引継ぎには個人情報保護の観点からの配慮が必要で、譲渡契約書に明確な取り決めを記載することが重要となります。

さらに、従業員の雇用継続については、勤続年数や給与水準、退職金制度など、労働条件を明確にした契約を締結し、スタッフの不安を解消することが成功の鍵となります。

このように、クリニック譲渡は一般企業のM&Aとは異なる特殊性があるため、医療分野に精通した専門家のサポートを得ることが不可欠です。

クリニックのM&A事例

最後に、クリニックのM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

医療法人平和会と平和病院がCHCPホスピタルパートナーズに譲渡

医療法人平和会と平和病院は、株式会社CHCPホスピタルパートナーズと経営統合を行いました(2020年7月)。

CHCPホスピタルパートナーズは地域ヘルスケア連携基盤のグループ会社として、地域に根ざした医療提携体制の構築を目指しています。

医療法人平和会と平和病院も地域密着型の医療提供を重視しており、この理念の共通性が統合の基盤となりました。また、平和会が求めていた経営支援体制の強化とCHCPホスピタルパートナーズの支援方針が合致し、統合が実現しました。

【出典】CHCP地域ヘルスケア地域基盤「医療法人平和会への経営支援に関するお知らせ」

医療法人博洋会が運営する藤井病院が医療法人社団竜山会に事業譲渡

医療法人博洋会は、同法人が運営する石川県金沢市の藤井病院について、医療法人社団竜山会への事業譲渡を実施しました(2021年6月)。

藤井病院は診療報酬の不正請求により保険医療機関指定取り消し処分を受けていましたが、医療法人博洋会は地域医療の継続性と職員の雇用維持を重視し、事業譲渡先を検討しました。その結果、医療法人社団竜山会への事業譲渡が実現しました。

この譲渡により、地域における医療サービスの提供体制が維持され、また従業員の雇用継続も図られることとなりました。

【出典】石川県「金沢古府記念病院の開設 (藤井病院の承継)について」

ヘルスケアアクセラレーターグループが医療法人川崎病院を承継

全国各地に拠点を置くヘルスケアアクセラレーターグループが、医療法人川崎病院を事業承継しました。(2022年6月)

川崎病院は千葉県夷隅郡大多喜町にある総合病院です。川崎病院は後継者不在により一時は閉院も考えられましたが、地域医療を守る責務から第三者への承継を検討しました。

一方、ヘルスケアアクセラレーターグループは次世代型の病院・介護施設運営を目指しており、全国各地に拠点を置く医療法人グループです。

川崎病院は承継先としてヘルスケアアクセラレーターグループを選び、M&Aが実現しました。後継者の問題は解消され、川崎病院は経営安定とサービス向上につなぐことができました。

【出典】株式会社ストライク「開業115年の小さな町の総合病院 後継者不在のなか、地域医療を担う使命感から選んだ、M&Aという選択」

まとめ|クリニックの譲渡動向を押さえてM&Aを成功させましょう

クリニックのM&Aは、近年、後継者不足や経営の安定化などを目的として増加傾向にあります。しかし、クリニックならではの許認可の引き継ぎや、医師・スタッフの確保など、一般企業のM&Aとは異なる注意点が多く見られます。

M&Aを成功させるためには、事前の準備をしっかりと行い、スムーズな手続きと円滑な事業承継を実現することが重要です。譲渡後も患者やスタッフの信頼を維持し、安定した経営を継続するためには、譲渡先の選定や関係者との丁寧なコミュニケーションが欠かせません。

弊社CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、クリニック・医療機関の譲渡を専門的にサポートしています。当社の強みの一つは、医療機関の事業特性を理解した合理的な料金設定で、院長先生の負担を最小限に抑えていることです。特に地域医療を支える中小規模のクリニックに配慮した料金プランをご用意しています。

また、業界歴10年以上または医療業界に精通したアドバイザーのみがお客様をサポート。医療法や保険医療機関の指定など、クリニック特有の許認可手続きにも精通しています。さらに、独自のマッチングシステムにより、診療科目や立地条件、患者特性などを考慮した最適な譲渡先候補を効率的に見つけ出し、成約率を高めています。

クリニックのM&Aを検討されている院長先生は、ぜひCINC Capitalにご相談ください。医療の継続性を重視しながら、長年築き上げたクリニックの価値を最大限に活かした譲渡をサポートいたします。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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