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IT業界の事業承継の動向は?事例や成功のポイントを解説【2025年】

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  • 公開日2025.09.30

IT業界の事業承継の動向は?事例や成功のポイントを解説【2025年】

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IT業界で事業承継を考え始めたものの、「後継者がいない」「自社に適した承継方法がわからない」と悩んでいませんか?

経営者の高齢化が進む中で、特に中小のIT企業では、事業承継の問題が目に見える形で表れてきています。

本記事では、2025年現在のIT業界の市場動向や、直面する課題、そして事業承継の最新トレンドを詳しく解説します。

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IT業界の市場動向

2025年の日本のIT市場は、前年比8.2%増の約26兆6,412億円に達すると予測されています。

この成長は、クラウドサービスやAI、IoTなどの先進技術への投資拡大が主な要因です。

特に、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進が市場拡大を後押ししています。

また、企業のIT予算においても増加傾向が見られ、2025年度は「増額」を見込む企業が45%に達し、過去最高値となる見込みです。

M&Aや事業承継は、まず自社の企業価値を正しく把握することから始まります。

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IT業界が抱えている課題

日本のIT業界では、技術革新と市場拡大が進む一方で、人材不足や後継者不在、技術への対応の難しさといった課題が深まっています。

本章では、これらの主要な課題について詳しく解説します。

IT人材の不足

日本のIT業界では人材不足が深刻化しており、経産省の調査では2030年に最大約79万人が不足するとされています。

特に中小企業では後継者確保にも影響が出ており、少子高齢化や技術進化によるスキルのミスマッチ、労働環境の不透明さが背景にあります。

経営者の高齢化と後継者不足

中小企業庁の調査によれば、60代の経営者の約半数、70代では約4割、80代では約3割が後継者不在の状態にあります。

特に、IT業界では技術の進化が速く、後継者が最新の技術や市場動向に対応できるかが重要です。

親族内での承継が難しい場合は、M&Aなどの第三者承継が選ばれることが多く、後継者の選定と育成が重要になります。

また、承継プロセスにおいては、経営理念や企業文化の継承も大切です。

【出典】中小企業庁「令和元年度(2019年度)の中小企業の動向」

技術革新への対応が困難

IT業界ではAIやクラウドなどの新しい技術が次々と進化していますが、多くの企業がこうした変化にうまく対応できずにいます。

特に、古いシステムの維持や技術的な問題が、企業の柔軟な対応を難しくしているのです。

経済産業省は、2025年までにシステム老朽化による経済損失が年間最大12兆円に達する可能性があると指摘しています。

このような状況は、企業の競争力低下や、セキュリティリスクの増大を招く恐れがあるでしょう。

IT業界の事業承継最新動向(2025年)

2025年の日本のIT業界では、M&Aによる事業承継の増加、外資系企業による買収の活発化、そして中小企業の事業承継支援策の拡充が注目されています。

本章では、これらの動向について詳しく解説します。

M&Aによる事業承継の増加

日本のIT業界では、後継者不在の中小企業を中心に、M&Aを活用した事業承継が増えています。

中小企業庁の調査では、60代経営者の約半数が後継者が決まっておらず、承継の停滞が課題となっています。

こうした中、NTTがNTTデータの株式を買い増す2.37兆円規模のM&Aを行うなど、グループ内再編の動きが加速しているのです。

今後も競争力強化やシェア拡大を目的としたM&Aはさらに進むでしょう。

外資系企業による買収の活発化

近年、日本のIT企業に対する外資系企業の買収が活発化しています。

これは、先進技術や人材の獲得を目的とした戦略的な動きであり、国内企業にとっては新たな事業承継の選択肢となっているのです。

たとえば、米投資ファンドKKRは富士ソフトの約58%の株式を取得し、Bain Capitalとの競争の末、非公開化を進めています。

中小企業の事業承継支援策の拡充

日本政府は中小企業の事業承継を後押しするため、補助金や税制優遇などの支援策を拡充しています。

中小企業庁はマッチング支援や専門家の相談体制も強化し、情報提供やセミナーなどの啓発も実施中です。

こうした支援により、M&Aを含む承継のハードルが下がり、円滑な引き継ぎが期待されています。

IT業界で事業承継を成功させるためのポイント

IT業界における事業承継は、一般的な承継手法だけでなく、業界特有の課題に対応する必要があります。

本章では、IT企業が事業承継を成功させるために重要な5つのポイントを解説します。

技術的負債の解消とドキュメント整備

古いコードや属人化したシステムは、事業の引き継ぎを難しくする原因になります。

特にIT企業では、開発者ごとの作業がブラックボックス化しやすく、後継者が全体像を把握できない状態に陥りがちです。

承継前に技術的負債を整理し、設計書や運用手順などのドキュメントを整備することで、引き継ぎがスムーズになるでしょう。

知的財産権の明確化と保護

ソフトウェアやクラウドサービスに関する特許や著作権などの知的財産が曖昧なままだと、事業承継後に法的トラブルが発生する恐れがあります。

契約上の帰属や登録状況を整理せずに承継が行われると、後継者が権利を行使できない事態に陥ります。

そのため、承継前に権利関係を明確にし、必要な保護措置を講じておくことが欠かせません。

キーパーソンのリテンション施策

IT企業では、特定のエンジニアやPMなど一部の人材が重要な知識と業務を担っており、彼らの離職が事業継続に直結するリスクとなります。

事業承継を機に待遇や評価制度が変わると、不安から退職を検討するケースもあります。

そのため、ストックオプションや役職登用などを通じて、キーパーソンの定着を図ることが必要です。

IT業界に精通した専門家の活用

事業承継では、法務・税務・財務に加えて、IT業界特有の課題への理解が求められます。

業界に不慣れな専門家では、システム評価や技術的リスクの判断が不十分になる可能性があります。

IT業界に詳しいM&Aアドバイザーやコンサルタントを起用することで、技術と経営の両面からバランスの取れた承継が進められるでしょう。

ストック型ビジネスモデルへの転換

単発の受託開発中心のビジネスモデルでは、収益の見通しが不安定であり、後継者の経営判断に負荷がかかります。

近年は、サブスクリプション型のSaaSやクラウドサービスに転換し、定期的な収益が得られる構造への移行が進んでいます。

承継前にストック型モデルを整備することで、事業の安定性を高め、後継者が安心して経営に取り組める土台を築くことが可能です。

IT業界の事業承継事例

ギークス株式会社による株式会社アライヴのM&A

2025年1月、IT人材サービスを展開するギークス株式会社は、ITソリューション事業を手がける株式会社アライヴの全株式を取得し、連結子会社化しました。

アライヴは大手通信企業を中心としたエンタープライズ向けに高品質なITコンサルティングと技術支援を行っており、顧客ニーズへの柔軟な対応力と優秀な技術者を抱えています。

ギークスは本件により、自社のIT人材基盤とアライヴの顧客ネットワークを融合させ、ITソリューション領域の強化と事業拡大を図る狙いです。

アライヴの人材力とギークスのエンジニア供給体制の連携によって、IT人材不足の課題に応える体制が整い、両社のシナジーが期待されます。IT業界では人材の質と供給力が成長の鍵となる中、戦略的なM&Aといえます。

【出典】ギークス株式会社「株式会社アライヴの株式取得(連結子会社化)に関するお知らせ」

エレコム株式会社によるgroxi株式会社のM&A

2023年6月、エレコム株式会社は岩崎通信機の100%子会社であるgroxi株式会社の全株式を取得し、子会社化しました。

groxiはネットワークの設計・構築・保守・運用を手がける企業で、主に中小企業を対象としたITインフラサービスを展開しています。

今回のM&Aにより、エレコムは自社のネットワーク機器開発力とgroxiの現場力を融合させ、全国でハードとソフトを一体化したトータルソリューションを提供できる体制を整えました。

岩崎通信機の無線・IP音声などの技術も活用し、中小企業のDX推進を加速させる狙いです。ITインフラ領域では施工と機器の一体提供が価値となる中、実務力と技術資産を獲得する戦略的なM&Aといえます。

【出典】エレコム株式会社「groxi株式会社(岩崎通信機グループ)の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

富士通株式会社によるFITECのM&A

2017年5月、古河電気工業株式会社は、情報システム子会社である古河インフォメーション・テクノロジー株式会社(現・FITEC株式会社)の発行済株式51%を富士通株式会社に譲渡し、共同運営体制へと移行しました。

本提携は、古河電工グループにおけるITガバナンスの強化や、IoT・AIなどの先端技術を活用した競争力あるものづくりの実現を目的としています。

一方、富士通はFITECを通じて製造業分野のノウハウを獲得し、自社の製造業向けソリューションの強化を図る方針です。

業務提携型の資本参加により、両社はシステム運用とデジタル技術の連携を深め、共創による価値創出を目指す動きであり、製造業とITの融合を体現する戦略的な資本業務提携です。

【出典】古河電気工業株式会社、富士通株式会社「古河電工と富士通情報システムに関する業務提携で合意」

まとめ|IT業界の事業承継動向を押さえて事業承継を成功させましょう

日本のIT業界は、2025年現在も安定した市場成長を続けていますが、同時に人材不足や経営者の高齢化といった課題にも直面しています。

そのため、M&Aの活用や外資の買収、中小企業への支援強化など、事業承継を巡る環境は大きく変わりつつあります。

IT業界における事業承継を成功に導くためには、業界構造や企業の技術資産、人材の特性を理解した支援が不可欠です。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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