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学習塾のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/事業承継成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.04.10
  • 更新日2025.04.14

学習塾のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/事業承継成功のポイントを解説

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日本の教育産業市場では、少子化や後継者問題を背景に、M&Aが活発化しています。特に学習塾の事業承継が顕著に見られ、大手企業による中小学習塾の買収が増加しています。

今回は、学習塾におけるM&A動向やメリット・デメリット、事業承継を成功させるポイントについてご紹介します。

教育産業市場の市場動向

「株式会社矢野経済研究所」の調査によると、2023年度の教育産業市場の規模は2兆8,331億7,000万円となっており、前年度比で0.7%減少しました。この縮小傾向は、少子化の進行や家計における教育費抑制の影響を強く受けていると考えられます。

近年の教育産業市場の変遷を見ると、2020年度には新型コロナウイルス感染拡大にともなう休校措置や募集活動の自粛を受けた事業者が多く、市場の縮小が見られました。その一方で、急成長を遂げたのが通信教育やeラーニングの分野です。教育産業市場では、オンライン授業やデジタル教材などの新たな学習手段を積極的に取り入れることで、学習形態の多様化が加速しています。

しかしながら、日本国内は依然として少子化が進行している状況にあり、学習塾の事業は今後ますます競争が激化すると考えられています。こうした背景から、M&Aを活用した経営戦略に踏み切る事業者も少なくありません。

【出典】株式会社矢野経済研究所「教育産業市場に関する調査結果」

学習塾が抱える課題

国内の学習塾は近年、複数の経営課題に直面しており、業界構造の見直しが急務となっています。具体的にどのような課題があるのか見ていきましょう。

少子化による生徒数の減少

少子化の影響は、教育産業市場にとって切実な問題です。厚生労働省の人口動態統計によると、2022年の出生数は約77万人で、前年比約5.0%の減少となっており、少子化に歯止めがかからない状況です。

また、経済産業省が公表するデータによると、学習塾の受講生徒数から算出される「学習塾指数」は下降線をたどり、多くの塾が生徒獲得に苦心しています。学習塾間の競争が激化し、サービス品質の向上と独自性の確立が事業存続の鍵となっています。

【出典】経済産業省「止まらない少子化、学習塾への影響は?」

教育のデジタル化・オンライン化への対応

コロナ禍以降は、Web会議システムを活用したオンライン授業が一般化し、学習塾に通う時間的・地理的な制約が大幅に緩和されました。その一方で、授業のオンライン化には直接的なコミュニケーションの減少による信頼関係構築の難しさや、生徒の集中力維持の問題、講師の技術的負担の増加といった課題が存在します。

また、近年はAI教材の導入が進んでおり、ICT対応力の差が中小塾と大手塾の経営格差をさらに広げています。

後継者不足による事業継続の問題

経営者の高齢化と後継者不足も深刻な問題です。長年地域に根ざした学習塾では、経営者の引退時に後継者がいないと、黒字経営であっても廃業を余儀なくされます。学習塾の事業を存続できない場合、講師が雇用を喪失して自社に蓄積された教育ノウハウが消失するだけでなく、通塾生は学習環境の変化を強いられてしまうでしょう。

教育産業市場のM&A最新動向(2025年)

教育産業市場では、M&Aを活用した経営基盤強化や市場シェア拡大の動きが加速しています。学習塾の最新動向も踏まえ、詳細をお伝えします。

大手教育企業による地域密着型学習塾の買収

大手教育企業では、スケールメリットを活かした効率化と教育施設の拡充を目指して、地域に根付いた中小学習塾を積極的に買収しています。事業を売却する学習塾側は、大手企業の傘下に入ることで経営基盤が安定化し、事業を継続できる可能性があります。

テック企業との経営統合で教育DX推進

教育産業市場では、DX推進に取り組む事業者が多くなっています。その背景にあるのは、AIやIoTといった先端テクノロジーを活用した、次世代学習の導入です。ただし、教育DXに一から対応するのは時間やコストがかかるため、M&Aでデジタル技術に強みのあるテック企業と経営統合するケースが見られます。

異業種からの教育事業参入

近年は新たに教育事業に参入する目的で、異業種企業による学習塾の買収が目立っています。こちらは新事業領域への進出のほか、教育ノウハウの共有、新たな顧客層との接点強化による業容拡大を目的とした動きです。ゼロベースでの学習塾の創業と比べて効率的なM&Aが、異業種からの参入ハードルを下げています。

学習塾が事業承継で売却するメリット

ここからは、学習塾がM&Aによる事業承継を検討するメリットについて売り手側の視点からご紹介します。

後継者問題の解決と事業存続

事業承継は、売り手企業の廃業を回避し、事業を存続させるための手段の一つです。学習塾経営で長年にわたり築き上げた教育サービスを継続でき、地域社会への貢献を維持できます。また、従業員の雇用を守れる可能性が高まり、社会的責任を果たすことにもつながります。

生徒や講師を維持したまま事業を引き継げる

売り手側は、これまで培ってきた生徒との関係性や、優秀な講師陣をそのまま維持しながら、第三者へ事業を引き継げます。場合によっては買い手側から新たな講師が補充される可能性もあり、教育サービスの質を維持しながら、人材面での課題解決が期待できます。

教育環境の質向上と新サービスの提供

大手の学習塾は経営資源が豊富であり、それらを活用することで売り手側の教育サービスの質を高められる可能性があります。大手教育企業の傘下に入ることによって、教育レベルの向上や経営の安定化が見込めるでしょう。

学習塾が事業承継で売却するデメリット

事業承継などのM&Aが活発化している一方、売り手側にはさまざまなデメリットが存在します。学習塾の経営者は、以下の点を考慮しましょう。

教育方針や指導スタイルの変更を余儀なくされる

事業承継により経営主体が変わると、これまで売り手側が大切にしてきた教育方針や指導スタイルが変更されることがあります。長年にわたり培ってきた独自の教育メソッドや指導方法が、買い手企業の方針によって変わってしまうかもしれません。

塾講師の離職リスク

教育産業市場では、講師の離職率が高い傾向にありますが、M&Aによる経営変更への不安や待遇の変化が、離職を加速させる可能性があります。特に、長時間労働や休日取得の難しさなど現状の労働環境に不満を感じている講師は、M&Aを機に転職を考えるケースが少なくありません。

学習塾がM&Aで売却を成功させるためのポイント

学習塾がM&Aを成功させる秘訣は、経営統合時の引き継ぎ方や生徒・講師陣のケアにあります。ここでは、事業承継を成功させるためのポイントをご紹介します。

学習塾の適正な価値評価を行う

学習塾のM&Aを成功させるためには、適正な価値評価が不可欠です。学習塾の企業価値は、以下の要素を総合的に評価して算出されます。

  1. 生徒数と売上実績

    安定した生徒数と売上があるかどうかは、学習塾の価値を大きく左右します。特に、過去3〜5年の推移を見て、安定性や成長性を評価する必要があります。

  2. 合格実績と教育ブランド

    難関校への合格実績や地域での評判・知名度は、無形資産として高く評価されます。長年にわたる実績は、学習塾の価値を高めるでしょう。

  3. 講師の質と継続性

    優秀な講師陣がどれだけ在籍し、M&A後も継続して勤務する見込みがあるかは、事業の継続性を左右する重要な評価ポイントです。

  4. 教室の立地と設備

    駅前や繁華街など好立地にある教室は、高い評価を受けます。また、教室のキャパシティや設備の状態も価値評価に影響します。

  5. 教材やカリキュラムの独自性

    独自の教材やカリキュラム、指導メソッドを持つ塾は、その知的財産としての価値が評価されます。

    一般的な学習塾のM&Aでは、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)の3〜5倍程度を基準に価格が算定されることが多いですが、上記の要素によって大きく変動することを理解しておきましょう。専門家による適切な価値評価を受けることで、納得のいく条件での事業承継が可能になります。

    生徒・保護者との関係維持を最優先する

    学習塾のM&Aでもっとも重要なのは、生徒や保護者との信頼関係を維持することです。経営者が変わっても、生徒や保護者に不安を与えないよう、丁寧な説明が欠かせません。

    特に受験を控えた生徒がいる場合は、M&Aのタイミングに配慮しましょう。可能であれば受験シーズンを避けるなど、生徒への影響を最小限に抑えるべきです。また、経営統合後も定期的な保護者面談を行い、学習塾の現状や課題について透明性を保つことが重要となります。

    講師陣の引継ぎを慎重に行う

    学習塾における講師は、生徒の学力向上や人間形成に直接関わる重要な存在です。とりわけ人気講師には一定数のファンがつき、特定の講師からの指導を目的に入塾する生徒も少なくありません。

    M&A後に優秀な講師が流出してしまうと、生徒の退塾につながるリスクとなります。講師の雇用条件や処遇はもちろん、教育理念や指導方針についても買い手側と徹底的に話し合ってすり合わせましょう。

    学習塾のM&A事例

    最後に、学習塾業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

    株式会社成学社による株式会社一会塾のM&A

    2024年4月、東証スタンダード上場の成学社は、医学部・難関大学受験に特化した予備校「一会塾」を運営する株式会社一会塾の全株式を取得し、完全子会社化することを発表しました。

    一会塾は少人数制クラスや個別指導を通じて、高い合格実績を有する専門塾であり、本件により成学社は医学部・難関大受験市場への本格参入を図ります。

    主力の「個別指導学院フリーステップ」とのシナジーにより、受験ノウハウの相互活用や教育サービスの高度化が期待される戦略的なM&Aです。

    【出典】株式会社成学社「株式会社一会塾の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

    株式会社早稲田アカデミーによる株式会社幼児未来教育のM&A

    2024年1月、東証プライム上場の早稲田アカデミーは、幼児教室「ベンチャースクール サン・キッズ」を運営する株式会社幼児未来教育の全株式を取得し、完全子会社化することを発表しました。

    同社は東京都心部で1歳~6歳の未就学児を対象に、受験対策を含めた独自プログラムを展開し、高い信頼を得ています。早稲田アカデミーは今回のM&Aにより、新たな収益基盤の創出と未就学児層との接点拡大を狙います。

    将来的なライフタイムバリューの向上や女性活躍推進も期待され、理念の親和性を活かしたシナジー創出が見込まれます。

    【出典】株式会社早稲田アカデミー「株式会社幼児未来教育の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

    英進館株式会社による株式会社ビーシー・イングスのM&A

    2021年9月、英進館株式会社は、中国・四国地方で「田中学習会」ブランドの学習塾を展開する株式会社ビーシー・イングス(BCI)の全株式を取得しました。

    売却元は、CLSAキャピタルパートナーズが運営するプライベートエクイティファンド「サンライズ・キャピタルII」で、BCIとは2016年より資本業務提携を結び、経営体制の強化や地域展開を支援してきました。

    本件は、BCIのさらなる成長を図るため、西日本最大級の塾運営規模を誇る英進館との協業体制が最適と判断された結果です。中堅教育事業者の広域連携によるスケールメリットの追求や、地域密着型サービスの質的向上が期待されるM&A事例といえます。

    【出典】CLSA キャピタルパートナーズ「株式会社ビーシー・イングスの株式譲渡に関するお知らせ」

    まとめ|教育産業市場のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

    学習塾の事業承継の場合、教育の質を高めるM&Aを目指すことが、経営者・生徒・講師にとって価値ある結果をもたらすといえます。そのためにも教育産業市場の業界動向を把握し、慎重に準備を進めることで、M&Aの成功確率を高められるでしょう。

    弊社CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、学習塾を含む教育産業のM&Aを専門的にサポートしています。当社の3つの強みは以下の通りです。

    1. 業界最低水準の手数料体系

      教育産業の事業特性を理解した合理的な料金設定で、塾経営者の負担を最小限に抑えています。特に中小規模の学習塾の実情に配慮した料金プランをご用意しています。

    2. 経験豊富な専門アドバイザー

      業界歴10年以上または教育業界に精通したアドバイザーのみがお客様をサポート。生徒や講師との関係維持など、学習塾特有の課題解決に向けた具体的なアドバイスを提供します。

    3. マーケティングテクノロジーの活用

      独自のマッチングシステムにより、指導方針や教育理念、地域特性などを考慮した最適な譲渡先候補を効率的に見つけ出し、成約率を高めています。

      M&Aを活用した学習塾の事業承継を検討中の経営者の方は、ぜひCINC Capitalにご相談ください。長年築き上げた教育の価値を守りながら、次世代へと事業をつなぐお手伝いをいたします。

      この記事の監修者

      阿部 泰士

      CINC Capital取締役執行役員社長

      阿部 泰士

      リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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