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銀行のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.04.11
  • 更新日2025.04.14

銀行のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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金融環境の激変により、銀行業界では生き残りをかけたM&Aが加速しています。メガバンクが好調な一方、地方銀行は低金利政策の長期化や人口減少、デジタル化対応の遅れなど複合的な課題に直面しています。

こうした状況下で戦略的なM&Aは、経営基盤強化と持続的成長における有効な選択肢です。本記事では、金融業界の最新M&A動向や、売り手としてのメリット・デメリット、そして成功のための具体的なポイントを徹底解説します。

金融業界の市場動向

「NIKKEI COMPASS」が公表するデータによれば、メガバンクの「三菱UFJフィナンシャル・グループ」は2024年4月~12月期に業務純益が前年同期比13%増の1兆7,146億円、純利益も35%増の1兆7,489億円と、良好な業績を記録しています。その背景には、円金利上昇による利ざや改善や保有株式の売却益増加といった要因が影響しています。

対照的に、地方銀行は厳しい環境に置かれています。業界では経営統合により地域寡占型再編が進んでいる状況です。また、地方銀行が人材派遣や再生可能エネルギー事業といった別の領域へ進出し、収益源を増やす動きも見られます。

【出典】NIKKEI COMPASS「都市銀行業界 市場規模・動向や企業情報」

【出典】NIKKEI COMPASS「地方銀行業界 市場規模・動向や企業情報」

金融業界が抱える課題

銀行業界は現在、低金利環境の長期化やデジタル化への対応、そして人口減少による地方銀行の経営悪化など、さまざまな課題を抱えています。詳しく見ていきましょう。

低金利環境の長期化による収益性の低下

貸出金利の低下により、銀行の主要な収益源である利息収入が減少しています。特に地方銀行を中心に、貸出残高が増加しているにもかかわらず、収益力は低くなっています。金利が下がると、金融機関は低金利での資金調達が可能となり、企業や個人への貸出でも金利を引き下げることになります。

デジタル化対応とIT投資負担の増加

近年では、ブロックチェーン技術を駆使した送金の実用化や、銀行APIによるオープンバンキングの拡大、AIによる与信判断の高度化など、デジタル技術が銀行の業務モデルを大きく変えつつあります。

金融業界は、デジタル技術の急速な進化に対応するため、大規模なIT投資に迫られています。それは銀行も例に漏れず、顧客体験の向上や競争力維持のために、新たなシステムやAIなどの導入が進められている状況です。

しかし、多くの銀行はレガシーシステムを使用しており、互換性の関係から最新システムの導入が遅れているといわれています。これは「2025年の崖」問題として知られており、対応が遅れると大きな経済損失につながる可能性があります。

人口減少による地方銀行の経営悪化

日本の人口減少は、地方銀行の経営に深刻な影響を与えています。特に減少が著しい東北地方などでは、2030年までに貸出残高が1割前後減少すると予測されています。地方銀行の収益基盤が一層脆弱になるとの声も少なくありません。

銀行のM&A最新動向(2025年)

金融業界は今、過去に例を見ない変革期を迎え、従来の銀行業の枠組みを超えたビジネスモデルの構築が急務となっています。ここでは、日本における銀行のM&A最新動向についてご紹介します。

地方銀行の再編・経営統合

近年は地方銀行の再編・経営統合が活発化しており、とりわけ同一県内に本店を持つ地方銀行同士の再編が目立ちます。これは経営資源の効率化と市場競争力の強化を狙った動きです。従来の枠を超えた新規性のあるサービスが求められる中、合併を通じて規模の経済を活用し、システムの効率化や新サービスの提供を始められます。

フィンテック企業の台頭

フィンテック企業の台頭により、実店舗で提供されてきたサービスや決済などがインターネット上で行われるようになりました。「フィンテック」は「金融(Finance)」と「技術(Technology)」を組み合わせた言葉で、IT技術と金融サービスを結びつけた動きやサービスを指します。

関連企業の台頭により、従来は実店舗でしか提供できなかったサービス・決済がオンライン化され、金融サービスの効率化が進みました。銀行の課題となるデジタル化の対応を進めるため、フィンテック企業との提携やM&Aなども行われています。

銀行がM&Aで売却するメリット

ここからは、銀行がM&Aをするメリットをご紹介します。売り手側目線の内容をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

財政難からの脱却

売り手側の銀行におけるメリットは、経営課題や財務難からの脱却です。長引く低金利環境や市場縮小により、多くの地方銀行は厳しい状況に直面しています。単独での収益回復が難しい銀行も、M&Aを通じて財務基盤を安定させられるでしょう。

特に赤字決算が続く銀行では、独立経営を続けると資本不足に陥るリスクがあります。しかし経営統合により財務健全性を回復し、顧客への安定したサービス提供が可能となります。

新たな顧客基盤の獲得

M&Aの大きなメリットとして、新たな顧客層の取り込みがあります。特に地域密着型の銀行同士の統合では、それぞれが持つ顧客ネットワークを融合することで、取引基盤を大きく広げられます。

デジタル技術導入の加速

銀行が単独でデジタル化に対応するにはコストも時間もかかります。すでに技術を持つ企業とのM&Aにより、モバイルバンキングやAI活用、クラウドサービスなど、顧客ニーズに応える先進的なデジタルサービスを展開できるようになります。顧客接点の強化と業務効率化を同時に実現できるでしょう。

地域経済への持続的貢献

地域密着型の銀行が売り手となる場合、単独経営を続けて財務状況が悪化するよりも、M&Aで経営基盤を強化し、地域への持続的支援を維持するほうが理に適っています。統合で経営資源が充実すれば、地域の中小企業の事業承継問題や創業支援など、高度なコンサルティング機能もできるようになります。何より、事業存続で社会的責任を果たせるのが大きいでしょう。

銀行がM&Aで売却するデメリット

M&Aには、経営権の消失や従業員の離職リスクなどのデメリットが存在します。これらを事前に理解し、適切な対策を講じることが重要です。

経営の自由度が下がる

統合後は経営方針や事業予算、人事など多くの決定事項で買い手企業の意向に従う必要があります。結果、創業者・経営者の経営権が制限されると、これまで当たり前だった自社の将来方向性に関する決定権も失われます。新規事業の立ち上げも買い手企業の承認が必要となり、経営の自由度は大幅に低下するでしょう。

人材流出による競争力低下のリスク

M&Aの実施により、従業員が買い手企業の文化や理念になじめず退職するケースが少なくありません。中核を担ってきた人材や専門知識を持つ従業員が離れると、事業継続に支障をきたすこともあります。買収後の人材マネジメントは重要な課題であり、統合計画の段階から考慮すべきです。

銀行がM&Aで売却を成功させるためのポイント

M&Aを成功させるには、売り手企業側の入念な準備が不可欠です。具体的なポイントを解説します。

財務体質の改善

健全な財務体質は買い手にとって魅力となり、より良い条件での売却につながります。財務改善は「現状の財務分析」「財務体質の改善」「財務管理体制の構築」の3ステップで進めるとよいでしょう。まず現状を正確に把握し、次に負債削減や収益性向上などの対策を実施し、最後に継続的な管理体制を整えます。また、自己資本比率の向上や借入金の返済負担軽減を漏れなく行いましょう。

自社の強みの把握

知的財産や顧客基盤などの無形資産は、交渉を有利に進める材料になります。特にデジタル技術やサステナビリティに関する専門知識は、昨今のM&A市場で高く評価される傾向があります。自社の強みとなる技術やノウハウを明確にし、必要に応じて特許取得や体系化を進めると市場価値向上につながるでしょう。

従業員や取引先への丁寧な説明

M&Aを円滑に進めるには、従業員や取引先など関係者への配慮と適切な説明が不可欠です。これらのステークホルダーはM&Aによって大きな影響を受けるため、慎重な対応が求められます。

従業員に対しては、給与体系や福利厚生、勤務体制の変更などについて丁寧に説明し、不安を取り除くことが重要です。また、優秀な人材流出を防ぐための施策も検討しましょう。

システム統合リスクを抑えるための準備

銀行におけるM&Aの大きな課題となるのが、基幹系システムの統合です。失敗すると業務の非効率化を招くだけではなく、顧客サービスの混乱や大規模なシステム障害を引き起こす可能性があります。

売却前にシステム環境を整備し、統合によるリスクを抑えることで、買い手からの評価が高まるでしょう。複雑なシステム構造の可視化や、移行データの整理などを進めておくことが求められます。加えて、段階的な統合案を検討し、売り手・買い手双方の担当者で綿密な計画を立てましょう。

銀行業界のM&A事例

最後に、銀行業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ

2024年11月、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)および三菱UFJ銀行は、フィリピンのコンシューマーファイナンス大手HC Consumer Finance Philippines, Inc.(HCフィリピン)の株式25%を、持分法適用会社であるフィリピンの商業銀行Security Bank Corporationに譲渡する契約を締結しました。

譲渡額は約265億円で、残る75%の株式はMUFGの連結子会社であるタイのアユタヤ銀行が引き続き保有します。HCフィリピンは、POSローン市場で圧倒的なシェアを持ち、全国に15,000以上の拠点を構築している有力企業です。

本件により、MUFGグループはフィリピン市場におけるリテール金融基盤をさらに強化し、東南アジアでの事業展開を加速させる狙いがあると考えられます。セキュリティバンクとの連携により、現地市場への対応力が一層高まることが期待されます。

【出典】株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ「HC Consumer Finance Philippines, Inc 株式の譲渡契約締結について」

株式会社福井銀行と株式会社福邦銀行の合併

2024年11月、福井銀行と福邦銀行は、2026年5月を効力発生日とする吸収合併契約を締結しました。福井銀行を存続会社、福邦銀行を消滅会社とする形で、既に福井銀行が福邦銀行の全株式を保有していることから、対価の交付は行われません。

本合併は、株主総会の承認を省略できる簡易・略式合併として実施される予定です。両行は、福井県内最大の金融グループとして地域に根差した経営を強化し、「地域の課題解決業」としての進化を目指しています。

シナジー効果の最大化やガバナンスの刷新を通じて、持続可能な地域金融の実現が期待されます。地方銀行再編が進む中、地域密着型金融の新たなモデルとして注目される事例です。

【出典】株式会社福井銀行、株式会社福邦銀行「合併契約の締結に関するお知らせ」

全国保証株式会社による東北保証サービス株式会社のM&A

2025年1月、東北銀行は100%子会社である東北保証サービス株式会社の全株式を、信用保証大手の全国保証株式会社に譲渡する契約を締結しました。

東北保証サービスは、住宅ローン等の信用保証業務を行うために1984年に設立された企業で、今回の譲渡は業務の効率化と専門性の強化を目的としています。

全国保証は、保証債務残高18兆円を誇る上場企業であり、今回の取得により保証体制の強化と顧客基盤の拡充が期待されます。なお、譲渡による顧客への影響はなく、手続き負担も生じないとのことです。

地方銀行におけるグループ再編と専門業務の外部委託の流れを反映した事例といえます。

【出典】株式会社東北銀行「連結子会社の異動を伴う株式の譲渡に関するお知らせ」

銀行業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

銀行業界のM&Aは、デジタル時代の競争力獲得と地域経済への持続的貢献を両立させる重要な戦略です。2025年以降も銀行の経営統合の波は続くと予想されており、M&Aを通じた新たな価値創造こそが、日本の金融業界の未来を切り拓くでしょう。

CINC Capitalでは最新の技術動向を踏まえ、金融業界に特化したM&Aアドバイザリーサービスを提供しています。当社の特徴は以下の3点です。

  1. 業界最低水準の手数料体系
    金融機関のM&Aに特化したシンプルな手数料体系で、経営者の負担を軽減します。特に地方銀行や信用金庫など、収益性に課題を抱える金融機関に配慮した料金プランをご用意しています。
  2. 金融業界経験10年以上のアドバイザー
    銀行法や金融商品取引法など業界特有の規制環境に精通したアドバイザーが、法的リスクを最小化したM&A戦略を提案します。
  3. マーケティングテクノロジーを活用した効率的なM&A
    独自のデータ分析技術により、金融機関の営業エリアや顧客層の重複・補完関係を詳細に分析し、最適なM&Aパートナーのマッチングを実現します。

銀行・金融機関のM&A・事業売却をお考えの経営者様は、ぜひCINC Capitalにご相談ください。初回相談は無料で承っております。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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