CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。

事業承継
- 公開日2025.04.30
- 更新日2025.04.30
事業承継マッチング支援とは?相談先や費用・支援を受ける際の注意点を解説
事業承継を考えているものの、「誰に相談すればよいか分からない」「後継者が見つからず不安が大きい」と感じていませんか?親族への承継が難しい場合、第三者への引継ぎという選択肢が注目されています。しかし、実際に動こうとすると分からないことが多く、前に進めない方も少なくありません。
本記事では、事業承継マッチング支援の仕組みや相談先、かかる費用、注意点について解説します。
目次
事業承継マッチング支援とは?
事業承継マッチング支援とは、後継者不在の中小企業と、事業を引き継ぎたい希望者を結びつける仕組みです。中小企業経営者の高齢化が進むなか、多くの企業が後継者未定という課題を抱えています。
中小企業庁の2023年版「中小企業白書」によれば、日本の中小企業経営者の平均年齢は65歳を超え、そのうち約60%が後継者未定の状態です。このままでは今後10年間で約50万社が廃業の危機に直面すると言われています。そのまま廃業すれば、地域経済や雇用にも大きな影響を及ぼします。
そこで注目されているのが、第三者への事業承継を支援するマッチング制度です。譲渡希望者と譲受希望者の条件をもとに、最適な相手と出会えるよう支援機関が調整を行い、交渉や契約手続きのフォローまで行います。この仕組みによって、企業は大切な事業を未来へつなぎ、希望者は既存のリソースを活かして新たなチャレンジを始めることができます。
事業承継マッチング支援の相談先
事業承継マッチング支援を受けたいと考えたとき、最初に悩むのが「どこに相談すれば良いか」という点です。現在は、公的機関と民間企業の両方で多様な支援サービスが展開されています。それぞれの特徴やサポート内容を把握しておくことで、目的や事業規模に合った相談先を選ぶことができるでしょう。
本章では、公的機関と民間サービスに分けて、代表的な支援内容を紹介します。
公的機関が実施している支援サービス
公的機関による事業承継マッチング支援は、費用をかけずに安心して相談できる点が最大の特徴です。たとえば、中小企業庁が全国に整備している「事業承継・引継ぎ支援センター」では、事業承継全般の悩みに対して、第三者承継も含めたサポートを無料で提供しています。税理士や弁護士などの専門家との連携もあり、初めての方でも安心して相談を進めることが可能です。
また、日本政策金融公庫が提供する「事業承継マッチング支援」は、譲渡希望者と譲受希望者の条件に基づいてマッチングを行い、面談の設定や事業引継ぎに関する調整を担当者が丁寧に支援します。登録や相談はすべて無料で、資金借入の有無にかかわらず利用できる点も利便性の高さにつながっています。
このように、公的機関の支援は中小企業や個人事業主にとって、初期費用を抑えつつ安心して相談できる有力な選択肢になるでしょう。
民間企業の支援サービス
民間企業による事業承継支援は、きめ細かなサポートとマッチング件数の豊富さが魅力です。具体的には、M&A仲介会社では、担当アドバイザーが譲渡から成約までを一貫してサポートします。
日本M&Aセンター、ストライク、M&Aキャピタルパートナーズなどの大手仲介会社から、地域に密着した中小の仲介会社、近年設立された新興企業(CINC Capitalなど)まで、様々な特色を持った仲介会社があります。
これらの会社では、事業評価や秘密保持契約の作成、条件交渉など、専門知識を要する場面も手厚く支援してくれるため、経験がなくても安心して任せられます。
さらに、TRANBIやBATONZ、M&Aサクシードといったマッチングサイトでは、売り手・買い手ともにインターネット上で登録・検索・交渉ができ、全国規模でマッチングの機会を広げることが可能です。中には、完全成功報酬制や一部無料プランを採用しているサイトもあり、初期費用を抑えたい人にも適しています。
また、近年では自治体と連携した地域限定のマッチングサイトも登場しており、地元密着型の事業承継が進めやすくなっています。このように、民間の支援サービスは選択肢が豊富で、目的や事業規模に応じて柔軟に利用できることが大きな利点です。
事業承継マッチング支援の利用にかかる費用
事業承継マッチング支援は、無料で利用できる公的機関のサービスと、有料で専門的支援を受けられる民間サービスに分かれます。
日本政策金融公庫や中小企業基盤整備機構が提供する公的支援は、登録からマッチングまで無料で利用でき、初めての承継でも安心して相談できます。ただし、契約書作成などで別途費用が発生する場合もあるので注意が必要です。
一方、民間サービスでは成約時に成功報酬が発生し、M&A仲介会社では着手金や中間金が必要なケースもあります。費用はかかりますが、専門性の高い支援が受けられます。コストとサポート内容のバランスを考慮し、自社に合ったサービスを選ぶことが大切です。
事業承継マッチング支援を利用する際の注意点
マッチング支援サービスを活用することで、第三者への事業承継をスムーズに進めることができます。しかし、マッチングが成立すればすぐに成功するわけではありません。契約条件や相手企業の実態、手数料体系、成約後の対応など、事前に確認しておくべき重要なポイントがいくつもあります。
本章では、利用時に特に注意すべき5つの視点を紹介します。
信頼できるマッチング支援サービスを選ぶ
事業承継は一度きりの重要な意思決定だからこそ、信頼性の高いサービスを選ぶ必要があります。マッチング支援サービスは年々増加していますが、中には手数料の内訳が不透明であったり、経験が少ない事業者も存在しているので注意してください。そのまま任せると、相場以上の費用を請求されたり、望まない相手との交渉が進んでしまうおそれがあります。
公的機関が設ける「M&A支援機関登録制度」などを参考に、登録実績やサポート体制、過去の成約事例が明確に提示されているかを確認することが重要です。信頼できる支援者とともに進めることで、トラブルを未然に防げます。
マッチング相手の事業内容や経営状況を慎重に確認する
マッチングが成立しても、相手の実態をよく確認せずに進めるのは危険です。
譲渡する側は、自社の理念や従業員の雇用が守られるかを気にする一方、譲受側は買収する企業に隠れた債務や法的リスクがないかを懸念します。
そうした不安を解消するには、デューデリジェンス(買収監査)によって事業の実態を把握することが欠かせません。
秘密保持契約(NDA)を締結した上で、財務状況や主要顧客、雇用条件などを確認し、必要に応じて弁護士や税理士に相談することをおすすめします。
仲介手数料や成功報酬の仕組みを理解する
マッチング支援サービスには、費用が発生するタイミングと金額の仕組みがあります。着手金・月額料金・中間金・成功報酬など、料金体系はサービスによって大きく異なるので注意しましょう。
たとえばBATONZは売り手無料、買い手のみ成功報酬を支払う仕組みである一方、仲介型のサービスでは譲渡金額に応じたレーマン方式を採用している場合もあります。こうした条件を事前に理解しておかなければ、成約後に思わぬコスト負担が生じるおそれがあります。
契約書や利用規約を必ず確認し、費用項目や支払時期について納得した上でサービスを選びましょう。
交渉や契約の進め方を事前に確認しておく
事業承継に関する交渉は、段階的に進める必要があります。交渉の流れには、秘密保持契約(NDA)、意向表明書(LOI)、基本合意書(MOU)、デューデリジェンス、最終契約(SPA)といった手順があります。
M&Aの実務では、特に以下の点に注意が必要です
- 秘密保持契約(NDA): 情報漏洩を防ぐため、詳細な情報開示の前に必ず締結します。事業内容や従業員に関する情報は慎重に扱うべきです。
- 意向表明書(LOI): 法的拘束力の有無を明確にし、独占交渉権の期間や対価の支払い方法など、重要な条件を明記します。
- デューデリジェンス: 財務、法務、税務、事業などの観点から買収対象の調査を行います。ここで問題が発見された場合は条件の再交渉が必要になることもあります。
- 最終契約(SPA): 表明保証や補償条項、クロージング条件など、法的に重要な条項について専門家のアドバイスを受けながら慎重に交渉します。
マッチングサイトや仲介会社によって、どの範囲までサポートが受けられるかは異なります。事前にどのような専門家(弁護士、税理士、会計士など)が関与するか、その費用はどうなるかも確認しておくことが重要です。
成約後の統合プロセス(PMI)まで見据える
事業承継の本当の成功は、契約が成立した後に始まります。PMI(Post Merger Integration)とは、成約後に譲渡企業と譲受企業の業務・文化・人材を統合するプロセスです。ここがうまく進まないと、従業員の離職や顧客の離反といった問題が生じる可能性があります。
たとえば、譲渡側の経営者が一定期間残って従業員との信頼関係を引き継いだり、買収側が現場と対話を重ねながら改善案を進めるといった取り組みが必要です。マッチングの時点で、成約後の体制や支援方法まで確認しておくことが、長期的な成功を左右します。
まとめ|自社に最適な支援の選択で、納得の事業承継を
事業承継マッチング支援は、後継者不足に悩む中小企業にとって有効な解決策です。公的機関の無料支援から、民間企業による専門的なサポートまで選択肢は多岐にわたります。
ただし、信頼できるサービスの見極めや、費用体系・交渉プロセス・PMIまでを見据えた準備が欠かせません。自社の状況に合った支援を選び、円滑かつ納得のいく事業承継を実現しましょう。
CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、事業承継のご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。事業承継の相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。