CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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業種
- 公開日2025.04.02
- 更新日2025.04.02
居酒屋業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説
近年は“若者のアルコール離れ”が指摘される通り、若年層を中心として飲酒の習慣が変わりつつあります。また、業界外からアルコールの提供・販売に参入する事例が多くなり、居酒屋業界はさまざまな課題に直面している状況です。
本記事では、そんな居酒屋業界の課題を解決するM&Aの基礎知識をお伝えします。
目次
居酒屋業界の現状
「矢野経済研究所」が2024年に実施した外食市場に関する調査によると、外食市場の規模は2023年時点で31兆2,411億円と推計されました。居酒屋を含む外食業界は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年には市場規模が25兆5,650億円まで落ち込みました。
その後、経済活動の回復にともない2021年から2023年にかけて市場規模は回復傾向にあります。ただし、居酒屋・パブ・ビアレストランに関しては店舗数が減少し、コロナ禍が収束した後も2020年以前の水準に達していないとされています。コロナ禍以降の宴会需要が低迷する中、居酒屋の経営は厳しい状況にあるといえるでしょう。
その一方で、昨今はアジア圏を中心として日本料理・居酒屋業態の飲食店の人気が高まっています。大手の居酒屋運営企業が海外へ進出する事例も少なくありません。
【出典】矢野経済研究所「外食市場に関する調査を実施(2024年)」
居酒屋業界が抱える課題
国内では飲酒の習慣や環境が変化し、業界の課題となっています。まずは、居酒屋業界が抱える課題を解説します。
飲酒習慣の減少
かつて国内では飲酒が冠婚葬祭や祭事と密接に結びつき、経済の発展とともに飲酒量が増大してきた経緯があります。
一方、近年はアルコールによって自制心を失うことに対するネガティブな印象が目立つほか、健康志向などを背景に若年層を中心として飲酒習慣が薄れつつある状況です。
居酒屋以外で飲酒できる環境の増加
近年の飲食業界では、居酒屋以外の業態の店舗でアルコール提供が広まっています。
例えば、大手ファミレスチェーンでアルコールとおつまみをセット販売するといった事例が挙げられます。消費者が居酒屋以外で飲酒する選択肢が増え、飲食業界内での競争が激化しました。
コンビニやスーパーなどの中食市場の拡大
中食を担うコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの小売店では、“家飲み(宅飲み)”の需要を受けて、豊富なラインナップの酒類を取り扱うようになりました。
店舗でアルコールやおつまみを購入し、自宅でリラックスしながら飲酒を楽しむ消費者が多くなっています。
居酒屋業界のM&A最新動向(2025年)
続いて、居酒屋業界のM&Aの最新動向をご紹介します。居酒屋M&Aを検討している事業者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
競争力強化のためのM&Aが盛んになっている
居酒屋業界では、アルコール需要が低迷する中で飲食業界や中食業界との競争が激化し、競争力強化を目的としたM&Aが活発になっています。M&Aによって業界内外の企業が連携することで、両社のメニュー展開やエリア展開などにシナジー効果が期待できます。
経営状況を改善する目的でM&Aを行うケースが増えている
居酒屋業界では、経営状況が下向きになった中小事業者がM&Aを検討するケースも見られます。例えば、特定のエリアで複数の居酒屋を経営する中小事業者が、全国で居酒屋をチェーン展開する大規模な事業者に買収され、経営を立て直す事例が挙げられます。
海外展開のためにM&Aを活用するケースもある
近年は国外での居酒屋人気を受けて、海外展開を目的としてM&Aを活用する事例も見られます。海外で飲食店を経営する事業者を買収することで、現地で人材や物件を調達するコストを抑えたり、外国の法律や慣習などのノウハウを取得したりして、スムーズな海外進出が期待できます。
居酒屋がM&Aをするメリット
売り手側の企業が居酒屋業界でM&Aをすると、以下のメリットが期待できます。
財務基盤の安定化
中小規模の居酒屋は、資金力のある大手の居酒屋チェーンと比較すると、財務基盤の安定性が課題となりやすいといえます。M&Aで事業の売却を行い、経営の安定した大手企業に受け渡すことで、財務基盤の安定化を図れます。
ブランド力の活用
居酒屋業界には、独自性のあるコンセプトやメニューで固定ファンを持つ居酒屋ブランドが少なくありません。売り手側は、自社のブランド力を活かしたM&Aが可能です。
その際は、自社の居酒屋ブランドを適切に継承する買い手を見つけることが重要となります。
競争力の強化
売り手と買い手の事業を統合し、両社の強みを活かした経営によって、競争力を強化できる可能性があります。居酒屋業界内にとどまらず、飲食業界・中食業界まで競争が激化する昨今、両社のノウハウや事業エリアを活かした戦略ができるM&Aは有効な手段だといえるでしょう。
居酒屋がM&Aをするデメリット
売り手側の企業が居酒屋業界でM&Aをする際は、以下のデメリットに注意しておきましょう。
競業避止義務を負う
競業避止義務とは、M&Aで事業を売却した後、競合する業務を行わない義務のことを指します。居酒屋事業を売却した場合、新たな居酒屋の経営が制限されるのが注意点です。
経営権を失う
M&Aによって居酒屋事業の経営権を失った後は、買い手側の企業に事業の運営を委ねることになります。オーナーは、創業から長年にわたり培ってきた居酒屋ブランドを手放し、経営から退かなければなりません。
居酒屋業界がM&Aを成功させるためのポイント
M&Aは、信頼できる専門家と連携することで成功の可能性を高められます。居酒屋業界でM&Aを成功させるためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
自店舗の強みや魅力を明確に示す
M&Aで買い手側の企業にアピールする際は、自店舗の強みや魅力を明確に示すことが重要です。居酒屋業界では、店舗ごとの収益性や、店舗の立地やブランド価値、店舗設備などが評価対象となります。
交渉へ向けて、居酒屋事業で経営する店舗数、売上、事業を展開するエリア、店舗のコンセプト、メニュー構成などを洗い出して整理しましょう。
賃貸店舗の貸主と協議しておく
賃貸店舗で居酒屋を経営している場合は、M&Aを行うにあたり貸主の承諾が不可欠です。貸主に対して事前に丁寧な説明を行うとともに、M&Aの了承を得るために、買い手も含めて慎重に協議を進めましょう。
M&Aの専門家に相談する
居酒屋業界のM&Aを成功へ導くには、業界内外の詳細な情報を収集し、自社と相性の良い買い手企業を選定する必要があります。また、事業譲渡や株式譲渡など、自社の目的に適したスキームを決める際に専門知識が求められます。
さらに、居酒屋業界のデューデリジェンスでは「店舗賃貸借契約」「フランチャイズ契約」「酒類販売免許」などの承継が必要です。従業員(アルバイト含む)の雇用契約や、食材仕入れ先との契約なども確認が求められます。このほかに、食品衛生法関連や酒類提供に関する法的なリスクも踏まえて検討する必要があるので、専門家によるアドバイスや支援があると望ましいでしょう。
居酒屋業界でM&Aを検討している場合は、業界のM&Aに詳しい仲介会社の専門家へご相談ください。
居酒屋業界のM&A事例
ここでは、居酒屋業界のM&A事例をご紹介します。
株式会社海帆による株式会社SSSのM&A
株式会社海帆は、2022年7月15日、居酒屋事業を展開する株式会社SSSの株式を取得し、完全子会社化したと発表しました。株式取得は同日付で完了しており、SSSは2023年3月期第2四半期より海帆の連結子会社となります。
海帆は「幸せな食文化の創造」を掲げ、飲食事業を通じた地域活性化を目指してきました。しかし、近年の外食業界は、原材料価格や人件費の上昇、さらにはコロナ禍による消費低迷など、厳しい経営環境に直面しています。そのため、海帆はM&Aによる新たな事業やブランドの獲得を成長戦略の一環として推進しており、今回のSSSの買収もその一環となります。
SSSは19店舗の居酒屋を運営しており、海帆との間でオペレーションや仕入れの共通化が可能であることに加え、従業員の独立支援制度を活用した店舗展開を行っている点も特徴です。今回の買収により、両社の経営資源を統合し、コスト効率の向上や事業基盤の強化が期待されます。
外食業界では、厳しい市場環境を乗り越えるためのM&Aが増加しており、今回の海帆によるSSSの買収もその流れを反映したものといえます。今後、海帆がどのようにSSSの事業を成長させるのか注目されます。
【出典】株式会社海帆「株式会社SSSSSの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
株式会社ダイナックホールディングスによるRESTAURANT SUNTORY U.S.A.,INCのM&A
株式会社ダイナックホールディングスは、2020年3月31日付で、米ハワイ・ワイキキで高級和食レストラン「燦鳥(Suntory Honolulu)」を運営するRESTAURANT SUNTORY U.S.A., INC.(RSホノルル)の株式51%を取得し、子会社化すると発表しました。本件は、親会社であるサントリーホールディングスのグループ会社Suntory F&B International(HK)Co., Ltd.(SFBI)との間で合意し、2019年12月9日に株式売買契約を締結しています。
ダイナックHDは「食の楽しさをダイナミックにクリエイトする」を掲げ、国内で多業態の飲食店を展開しています。特に、「ダイナミックキッチン&バー響」や「燦」といったアッパー層向けの和食ブランドを運営し、質の高い食体験を提供しています。RSホノルルが経営する「燦鳥」は、1980年の開業以来、ワイキキの老舗高級和食レストランとして地元住民や世界中の観光客から高い評価を受けており、今回の買収により、同店のさらなるオペレーション強化と事業基盤の安定を図る狙いがあります。
また、ダイナックHDにとって本件は、海外での経営ノウハウの獲得や人材育成の機会となるほか、今後の海外展開のモデルケースとなる可能性もあります。外食企業によるグローバル展開が進む中、ダイナックHDがどのように「燦鳥」を成長させるのか注目されます。
【出典】株式会社ダイナックホールディングス「レストランサントリーU.S.A.社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
株式会社フジオフードシステムによる有限会社暮布土屋のM&A
株式会社フジオフードシステムは、2019年11月7日付で、石臼挽き手打ち蕎麦専門店「土山人」を運営する有限会社暮布土屋の株式90%を取得し、子会社化することを発表しました。「土山人」は関西を中心に直営7店舗、のれん分け2店舗を展開しており、2016年から2018年の「ミシュランガイド」にも複数店舗が掲載されるなど、高品質な蕎麦を提供するブランドとして知られています。
フジオフードシステムは、「まいどおおきに食堂」や「神楽食堂 串家物語」など、大衆向けの飲食業態を中心に展開しており、近年は「博多ふくいち」「はらドーナッツ」「どん」などのM&Aを通じて事業を拡大してきました。今回の買収により、同社にとって未展開だった「蕎麦業態」を新たな事業の柱として加えることになります。
今後、フジオフードシステムは「土山人」のブランド力を生かしつつ、立地に応じた多様な出店戦略を進め、既存業態との相乗効果を図る方針です。大衆向け業態を強みとする同社が、高級感のある「土山人」をどのように展開するのかが注目されます。
【出典】株式会社フジオフードシステム「石臼挽き手打蕎麦専門店「土山人」を運営する有限会社暮布土屋の子会社化に関するお知らせ」
チムニー株式会社による株式会社シーズライフのM&A
チムニー株式会社は、2019年12月1日付で、焼肉店「牛星」などを運営する株式会社シーズライフの全株式を取得し、子会社化しました。シーズライフは、関東を中心に焼肉店10店舗と居酒屋1店舗を展開し、リーズナブルな価格で高品質な肉を提供する業態を強みとしています。また、居酒屋業態では、福井の熟成魚や地酒などを提供し、地産地消を重視した特徴的な店舗運営を行っています。
チムニーは、「はなの舞」や「さかなや道場」など海鮮を中心とした居酒屋業態を全国で展開しており、2019年9月末時点で732店舗を運営しています。一方で、消費者の嗜好の多様化や焼肉需要の高まりを受け、新たな業態の拡充を模索していました。今回のM&Aにより、焼肉業態を傘下に加えることで、新たな収益基盤を確立し、多店舗展開を加速させる狙いがあります。
今後、チムニーはシーズライフの店舗運営ノウハウを活かしながら、焼肉業態の拡大を図るとともに、居酒屋業態との相乗効果を生み出す戦略を進めていくと考えられます。
【出典】チムニー株式会社「株式会社シーズライフの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
SFPホールディングスによる株式会社クルークダイニングのM&A
クリエイト・レストランツ・ホールディングスの連結子会社であるSFPホールディングスは、2019年7月1日付で、長野県を中心に「からあげセンター」などを展開する株式会社クルークダイニングの株式99.8%を取得し、子会社化しました。
この買収は、SFPホールディングスが進める「SFPフードアライアンス構想」の一環で、地方の有力飲食企業と提携し、同社の主力ブランド「磯丸水産」などの展開を図る戦略の一環です。クルークダイニングは長野県内で12業態22店舗を運営し、地域に根ざした居酒屋経営のノウハウを持つ企業であり、SFPホールディングスにとって地方展開の有力なパートナーと位置づけられています。
このM&Aにより、SFPホールディングスは地方市場でのブランド展開を加速させるとともに、クルークダイニングの独自ブランドの成長を支援することで、企業価値の向上を図る狙いです。今後も同社は「SFPフードアライアンス構想」を全国、さらには海外へ広げ、シナジーを生み出していく方針です。
【出典】株式会社クリエイト・レストランツ・ホールディングス「当社連結子会社(SFPホールディングス株式会社)による株式取得に関するお知らせ」
まとめ|居酒屋業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう
居酒屋業界では、国内の飲酒習慣や飲酒環境の変化を受けて、経営に課題を感じている事業者が少なくありません。特に、数店舗を経営する中小規模の居酒屋では、競争力強化や経営状況の改善を目的としたM&Aが注目されています。居酒屋業界でM&Aを検討される際は、ぜひ業界の情報に詳しい専門家へご相談ください。
CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。